会計名及び科目
|
一般会計
|
(組織)林野庁
|
(項)林業振興費
|
部局等
|
林野庁
|
||
補助の根拠
|
予算補助
|
||
補助事業者
(事業主体)
|
7公益法人等
|
||
補助事業
|
木材需給安定対策事業等6事業
|
||
補助事業の概要
|
木材需給の安定、流通の効率化等を図るため、国内外の木材需給に関する情報の収集・分析等を行うもの
|
||
事業費
|
20億6903万余円
|
(平成16、17両年度)
|
|
上記に対する国庫補助金交付額
|
18億4591万余円
|
||
節減できた事業費
|
1億0223万円
|
(平成16、17両年度)
|
|
上記に対する国庫補助金相当額
|
9854万円
|
林野庁では、木材需給の安定、流通の効率化等を図るため、国内外の木材需給に関する情報の収集・分析等を行う木材需給安定対策事業等6事業(注1)
(以下「6事業」という。)を実施する公益法人等の民間団体(以下「団体」という。)に対して、国庫補助金を交付している。
そして、林野庁では、上記の各補助事業ごとに補助金交付要綱等(以下「要綱等」という。)を定めており、要綱等では、各補助事業の目的が明確にされており、これらの事業を行うのに要する経費を補助対象経費として定めている。
そして、補助対象経費の主なものは、次のとおりである。
〔1〕 「使用料及び賃借料」
〔2〕 調査、分析等に従事する技術者の人件費である「技術者給」
〔3〕 会議費、消耗品費等の「需用費」
また、補助対象経費に対する国庫補助金交付額は定額(一部の事業については定率補助となっていて経費の2分の1以内)とされている。そして、補助事業に要した経費ごとに国庫補助金の交付決定額と実支出額(定率補助分については、実支出額に補助率を乗じて得た額)とのいずれか低い額を算出し、補助金の確定額とすることとされている。
上記の各補助事業について、合規性、経済性等の観点から、補助対象経費の範囲及び算定方法が適切なものとなっているかなどに着眼して検査した。
本院は、林野庁及び7団体(注2) において会計実地検査を行った。そして、7団体が平成16、17両年度に事業費計20億6903万余円(国庫補助金計18億4591万余円)で実施した6事業について、事業計画書、実績報告書等の書類により補助対象経費の使途の実態を確認するなどして検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
7団体では、通常の団体運営に伴い使用する事務所を賃借しており、賃借料、共益費、光熱水費等の管理的経費(以下「事務所経費」という。)を支払っていたが、この事務所経費について、補助対象経費としての取扱いが、次のとおり区々となっていた。
7団体では、本件補助事業の補助対象経費である「技術者給」について、技術者の日当たり単価(以下「人件費単価」という。)に補助事業に従事した日数を乗じて算定していたが、この人件費単価の算定方法が、次のとおり区々となっていた。
しかし、前記の要綱等では、補助事業の目的が明確にされており、補助対象経費はこれらの事業を行うのに要する経費とされている。このことから、「使用料及び賃借料」は当該補助事業に直接必要な機材等の借上料とし、通常の団体運営に伴い発生する管理的な経費である事務所経費は対象とすべきでない。また、「技術者給」として計上する経費は当該補助事業に要した実支出とし、後年度の支出に充てるためにあらかじめ積み立てる退職給与引当に要する経費等は対象とすべきでない。
以上のように、各団体において、通常の団体運営に伴い発生する管理的な経費等を含めて補助対象経費を算定し、林野庁がこれに対して国庫補助金を交付している事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
上記の事態について一例を示すと次のとおりである。
A団体では、国際林業協力事業の一環として、平成17年度に熱帯等に属する地域での森林の保全・造成に資するための調査等を実施し、事業費として計1億3292万余円を要したとして林野庁に実績報告書を提出し、これに対して国庫補助金1億3176万余円の交付を受けていた。
しかし、A団体では、当該事業を行うのに要する経費とは認められない通常の団体運営に伴い発生する事務所経費の一部427万余円を補助対象経費に含めて計上していた。
7団体が実施した6事業について、補助対象経費を当該補助事業に直接要する経費に限ることとし、通常の団体運営に伴い発生する事務所経費を補助対象経費から除外し、また、「技術者給」に係る補助対象経費については、所定内給与(基本給及び諸手当)、賞与及び法定福利費を算定の基礎とするなどして事業費を修正計算すると、16、17両年度で計19億6679万余円(国庫補助金相当額17億4737万余円)となり、前記の事業費計20億6903万余円(国庫補助金計18億4591万余円)との差額計1億0223万余円(国庫補助金相当額9854万余円)を節減できたと認められる。
このような事態が生じていたのは、次のことによると認められた。
ア 林野庁において
(ア) 補助対象経費の範囲及び算定方法を明確に定めていなかったこと
(イ) 事業計画書及び実績報告書の審査が十分でなかったこと
イ 各団体において、補助事業に対する認識及び理解が十分でなかったこと
上記についての本院の指摘に基づき、林野庁では、19年9月に7団体に対して通知を発するなどして、7団体が実施する木材需給安定対策事業等に係る補助対象経費について、当該事業に直接要する経費に限ることとするために、その範囲及び算定方法を明確に定めるなどの処置を講じた。