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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 役務

サービス産業における先導的な取組に関する支援等に係る委託事業の実施に当たり、免税事業者の人件費等について消費税相当額を含めて算出していたため、委託費の支払額が過大となっているもの


(242) サービス産業における先導的な取組に関する支援等に係る委託事業の実施に当たり、免税事業者の人件費等について消費税相当額を含めて算出していたため、委託費の支払額が過大となっているもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)経済産業本省
(項)情報処理振興対策費
電源開発促進対策特別会計(電源立地勘定)
(項)電源立地対策費
部局等
経済産業本省
契約名
(1)
平成17年度先導的分野情報化推進等委託事業(サービス産業創出支援事業)
(2)
平成17年度電源立地推進調整等委託事業(電源地域活性化先導モデル事業)
契約の概要
サービス産業における先導的な取組への支援を行い、新たなビジネスモデルの確立などによって、サービス産業の好循環を実現するもの
契約の相手方
特定非営利活動法人健康サービス産業振興機構(平成19年6月以降は特定非営利活動法人サービス産業振興機構)
契約
(1)
(2)
平成17年5月 随意契約
平成17年5月 随意契約
支払額
(1)
(2)
2,061,467,511円
1,232,210,051円
3,293,677,562円
(平成17年度)
(平成17年度)
過大になっている支払額
(1)
(2)
8,882,639円
7,000,979円
15,883,618円
(平成17年度)
(平成17年度)

1 委託事業の概要

 経済産業省では、健康・集客交流といった地域のサービス産業における先導的な取組に対し、初期段階での支援を行い、新たなビジネスモデルの確立などによって、サービス産業の好循環を実現することを目的として、平成17年度に、サービス産業創出支援事業(一般会計から支出。以下「創出支援事業」という。)及び電源地域活性化先導モデル事業(電源開発促進対策特別会計から支出。以下「先導モデル事業」という。)を17年2月16日に設立された特定非営利活動法人健康サービス産業振興機構(19年6月7日以降は特定非営利活動法人サービス産業振興機構。以下「機構」という。)に委託して行わせている。
 機構は、経済産業省の公募に対し応募のあった事業の中から81の事業(創出支援事業に係る分50事業、先導モデル事業に係る分31事業)を審査・採択し、それぞれの事業を提案した代表団体と参加団体等から構成される団体に再委託するなどして事業を行い、委託事業全体の運営を統括することとなっている。
 機構は、人件費、事業費、再委託費及び一般管理費並びに消費税(地方消費税を含む。以下同じ。)の額を合算し、創出支援事業に係る分2,061,467,511円、先導モデル事業に係る分1,232,210,051円、計3,293,677,562円を委託費とする実績報告書を経済産業省に提出し、同省はこれに基づき、額の確定を行い同額を支払っている。
 消費税法(昭和63年法律第108号)等によれば、課税期間の基準期間(法人の場合は前々事業年度)における課税売上高が1000万円以下である事業者については、消費税の納税義務が原則として免除されることとなっている。このことから、法人が設立された場合はこの設立事業年度とその翌事業年度は、基準期間における課税売上高がないことになるので、当該法人は原則として免税事業者となる。

2 検査の結果

 本院は、経済産業本省において、合規性等の観点から本件委託費の支払が適切に行われているかに着眼して会計実地検査を行った。そして、実績報告書等の書類により検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、機構は、前記のとおり17年2月に設立された法人であることから、設立2期目である17事業年度(17年4月1日から18年3月31日まで)は、免税事業者であり、経済産業省から支払われた委託費のうち消費税相当額は、納税義務がないものであった。
 そして、機構の職員に対する給与等や学識経験者等に対する委員謝金は消費税の課税の対象でなく、機構は、その支払に当たって消費税を負担していない。
 これらのことから、実績報告書において計上されていた消費税相当額のうち給与等の人件費、事業費中の委員謝金等に係る消費税相当額8,306,632円(創出支援事業に係る分5,204,114円、先導モデル事業に係る分3,102,518円)は、委託費として計上する必要がないものであった。
 また、機構は、受託した事業を経済産業省の承認を得た上で代表団体等に委託して行っているが、この再委託費に関し、機構が事業の一部を委託した者(98代表団体等。以下「再委託先」という。)及び再委託先が更に事業の一部を委託した者(265参加団体等。以下「再々委託先」という。)の中には、免税事業者(6再委託先及び41再々委託先)が含まれていた。このため、機構が再委託先に支払った額のうち、免税事業者である再委託先の人件費等に係る消費税相当額及び再委託先が再々委託先に支払った額のうち免税事業者である再々委託先の人件費等に係る消費税相当額、計7,576,986円(創出支援事業に係る分3,678,525円、先導モデル事業に係る分3,898,461円)は、再委託先及び再々委託先には納税義務がないものであり、委託費として計上する必要がないものであった。
 このような事態が生じていたのは、機構において委託費に係る消費税の取扱いについての理解が十分でなかったこと、また、経済産業省において、機構から提出された実績報告書等についての審査及び確認が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、実績報告書に基づいて支払われた前記の委託費は、免税事業者の人件費等に係る消費税相当額計15,883,618円(創出支援事業に係る分8,882,639円、先導モデル事業に係る分7,000,979円)が過大に支払われていて、不当と認められる。