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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第12 経済産業省|
  • 不当事項|
  • 補助金

資源循環型地域振興施設整備事業の実施に当たり、購入した測定装置が使用されていなかったため、補助の目的を達していないもの


(243) 資源循環型地域振興施設整備事業の実施に当たり、購入した測定装置が使用されていなかったため、補助の目的を達していないもの

会計名及び科目
一般会計
(組織)経済産業本省
(項)経済産業本省
部局等
経済産業本省
補助の根拠
予算補助
補助事業者
広島県
間接補助事業者
(事業主体)
株式会社エコログ・リサイクリング・ジャパン
補助事業
資源循環型地域振興施設整備
補助事業の概要
地域における資源循環型社会の実現を目指した総合的な資源循環型システムの構築等を図るため、平成14年度に繊維廃棄物を分離、分解してポリエステルの原料に再生するリサイクル施設を整備するもの
事業費
267,920,000円
 
上記に対する国庫補助金交付額
125,000,000円
 
不当と認める事業費
6,000,000円
 
不当と認める国庫補助金交付額
3,000,000円
 

1 補助事業の概要

 この補助事業は、株式会社エコログ・リサイクリング・ジャパン(広島県福山市)が、資源循環型地域振興施設整備事業の一環として、地域における資源循環型社会の実現を目指した総合的な資源循環型システムの構築等を図るため実施したものである。同会社では、平成14年度に、綿やウール等の天然繊維とポリエステルの混紡繊維製品で従来再生利用が困難であるとして焼却又は埋立処分されてきたもの(以下、これを「繊維廃棄物」という。)を分離、分解してポリエステルの原料に再生するリサイクル施設に係る生産設備等の整備を行った。
 そして、同会社は、本件補助事業を事業費267,920,000円で実施したとして、広島県に実績報告書を提出し、これにより国庫補助金125,000,000円の交付を受けていた。

2 検査の結果

 本院は、広島県及び同会社において、合規性、有効性等の観点から、事業が補助金の交付要綱等に基づき適切に実施され、その経理は適正か、リサイクル施設は適切に稼働しているかなどに着眼して、会計実地検査を行った。そして、本件補助事業について、実績報告書、設計図書等の書類により検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、同会社は、整備した生産設備等のうち分離・分解装置における天然繊維の分解程度を測定、監視するため、同装置内で生成されたグルコースの濃度を自動測定し、これを記録することにより測定作業の効率化等を図るグルコース測定装置(注) を6,000,000円で購入し、本件リサイクル施設の生産ラインに組み込んで使用することとしていた。
 しかし、同会社は、納入後に同装置がグルコース濃度を正確に測定できないなどの不具合を生じたため、15年5月にリサイクル施設が稼働開始した後も同装置を生産ラインに組み込んでおらず、使用していなかった。そして、19年1月の会計実地検査時点においても、リサイクル施設は稼働しているものの、同装置については上記と同様の状況となっていた。
 このような事態が生じていたのは、同会社において補助事業の適正な執行に対する認識が不足していたこと、同県の指導、審査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。
 したがって、本件補助事業により購入した同装置は、リサイクル施設の生産ラインに組み込まれておらず、使用されていなかったため、補助の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額3,000,000円が不当と認められる。

 グルコース測定装置  繊維廃棄物から綿やウール等の天然繊維が分離、分解される際に発生するグルコース(ブドウ糖)の濃度を測定、記録する装置