会計名及び科目
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一般会計
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(組織)国土交通本省
(組織)地方整備局
(組織)北海道開発局
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(項)官庁営繕費等
(項)地方整備局等
(項)北海道開発局等
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道路整備特別会計
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(項)道路事業費等
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治水特別会計(治水勘定)
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(項)河川事業費等
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(特定多目的ダム建設工事勘定)
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(項)多目的ダム建設事業費等
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港湾整備特別会計(港湾整備勘定)
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(項)港湾事業費等 | ||
(特定港湾施設工事勘定)
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(項)エネルギー港湾施設工事費
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空港整備特別会計
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(項)空港整備事業費等
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部局等
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9地方整備局等
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契約名
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作業服(夏服)上衣長袖2,269着外4点物品購入契約等374契約
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契約の概要
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地方整備局等の職員が着用する作業服を調達するもの
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契約
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平成17年4月〜19年2月 一般競争契約、指名競争契約、随意契約
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契約金額
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2億6281万余円
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(平成17、18両年度)
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作業服の調達額
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2億3082万余円
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(平成17、18両年度)
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節減できた作業服の調達額
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4307万円
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(平成17、18両年度)
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国土交通省では、河川、道路、港湾、空港等の新設、改修等に関する事業を多数実施している。そして、これらの各事業の現場等における業務に従事する職員(以下「関係職員」という。)の危険防止を図るとともに、関係職員であることを明確にし円滑な業務遂行を確保することなどのために関係職員に対し着用する作業服を無償で貸与している。貸与に当たっては、9地方整備局等(注1)
(以下「地方整備局等」という。)が定めた被服貸与規則等に基づき貸与期間を2年等と定め、希望者には貸与を行っている。そして、貸与を受けることを希望した関係職員の作業服のサイズについても徴するなどして必要数量を算定している。
作業服の調達に当たっては、地方整備局等において、作業上の機能性、堅牢度及びデザイン等を定めた仕様書を作成している。そして、これに基づき地方整備局等が、被服の販売業者から見積りを徴したり、過去の契約の落札比率を勘案したりなどして作業服の予定価格を作成し、一般競争契約、随意契約等により契約を締結し、夏服、冬服等の作業服を毎年度多数購入するなどしている。
本院は、地方整備局等において、経済性等の観点から、地方整備局等における作業服の仕様及び調達価格は経済的なものとなっているか、また、契約方法は適切なものとなっているかに着眼して会計実地検査を行った。そして、平成17、18両年度の作業服の調達に係る契約計374件、2億6281万余円を検査の対象として、作業服の仕様書、予定価格調書、入札調書、契約書等の書類により検査するとともに、地方整備局等に対して作業服の価格の調査を求め、その調査結果の内容を確認するなどの方法により検査した。
検査したところ、作業服の仕様及び調達価格並びに契約方法について、次のような事態が見受けられた。
18年度における作業服上下一式の調達価格については、夏服の最高値は11,445円(札幌開発建設部)、最安値は2,351円(東北地方整備局)、冬服については、最高値15,645円(石狩川開発建設部)、最安値3,454円(東北地方整備局)となっており、夏服で4.8倍、冬服で4.5倍程度の価格差が生じていた。
作業服の調達に当たっては、前記のとおり、地方整備局等が定めた仕様を基に、作業服の予定価格を作成し、一般競争契約、随意契約等により契約を締結し調達していた。そして、その仕様についてみると、中には既製の作業服と同等以上という仕様も見受けられたが、地方整備局等がそれぞれの管内における作業現場において必要であるとした独自の仕様を定めていた。例えば、冬服の上着については、布地を構成する糸の密度を1インチ当たり縦93本、横48本としているものから縦137本、横50本としているもの、布地の厚さである質量を230g/m2
としているものから300g/m2
としているもの、上着のポケットを4個としているものから、7個としているものなど地方整備局等で区々となっていた。そして、これらの仕様の差異についてみると、寒冷地である東北地方整備局では作業服(上着)の糸の密度を1インチ当たり縦112本、横53本としている一方で、温暖地である九州地方整備局では縦156本、横65本と本数の多いものとしており、寒冷地であっても布地は厚いものとはなっていないなど地域的な気象条件などを反映したものとはなっていなかった。
一方、地方整備局等が実施している河川、道路、港湾、空港等の各事業の現場における業務は、当該作業現場での一般的な工事の監督、検査等であり、地方整備局等の間で差異はなかった。
したがって、地方整備局等がそれぞれ独自に仕様を定めていて、夏服で4.8倍、冬服で4.5倍程度調達価格の差が生じていることは合理性を欠いており、上記の業務内容を行うために支障のない標準的な仕様を定め、経済的な調達を図る必要があると認められた。
ア 7地方整備局(注2) においては、17年度計137件82,699,710円、18年度計88件78,940,402円の作業服を調達しており、それぞれの本局内の建設関係部門と港湾空港関係部門の作業服の仕様は統一されていた。このうち、5地方整備局(注3) においては、17年度計85件40,846,369円、18年度計49件40,403,286円の調達を行っていたが、両部門が別々に契約を締結して調達していて、両部門間で調達価格が異なっていた。しかし、両部門の仕様は統一されていることから両部門が別々に契約を締結して調達しなければならない特段の必要性は認められず、本局において一括して契約を締結して調達することにより経済的な調達を図ることができると認められた。
東北地方整備局では、建設関係部門と港湾空港関係部門の作業服の仕様は統一されているのに、両部門は別々に契約して購入していた。そして、平成18年度の購入状況は次表のようになっており、購入数量の多い建設関係部門に比べて購入数量の少ない港湾空港関係部門は調達価格が高くなっていた。
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建設関係部門
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港湾空港関係部門
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上着(長袖)
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ズボン
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計
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上着(長袖)
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ズボン
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計
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購入数
(着)
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価格
(円)
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購入数
(着)
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価格
(円)
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価格
(円)
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購入数
(着)
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価格
(円)
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購入数
(着)
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価格
(円)
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価格
(円)
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夏服
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1,061
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1,291
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1,069
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1,060
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2,351
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82
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1,680
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91
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1,470
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3,150
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冬服
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1,209
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1,816
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1,229
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1,638
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3,454
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78
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2,100
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97
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1,785
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3,885
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イ 北海道開発局においては、17年度計77件40,901,201円、18年度計64件44,923,271円の調達を行っていたが、本局及び11開発建設部(以下「開発建設部等」という。)の作業服の仕様は異なっており、開発建設部等ごとに契約を締結して調達していて、その調達価格も異なっていた。しかし、前記の(1)で記述したことと同様にそれぞれの現場における業務に差異はないことから、開発建設部等が仕様を異にする特段の必要性は認められず、北海道開発局における標準的な仕様を定め、本局において一括して契約を締結して調達することにより経済的な調達を図ることができると認められた。
また、九州地方整備局においては、17年度計5件13,790,910円、18年度計3件1,559,144円の調達を行っていたが、建設関係部門と港湾空港関係部門の作業服の仕様は異なっており、両部門が別々に契約を締結して調達していて、その調達価格も異なっていた。しかし、両部門が仕様を異にする特段の必要性は認められず、両部門における仕様を統一し、本局において一括して契約を締結して調達することにより経済的な調達を図ることができると認められた。
上記のように、地方整備局等ごとに独自に仕様を定めていて調達価格に大きな差が生じていたり、地方整備局等の部門等において別々に契約を締結していたりしている事態は、経済的な調達の点から適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
上記の作業服について、地方整備局等の仕様を標準的なものとし、地方整備局等の本局において一括して調達することとすると、見積価格の平均でも大半の調達で実際の調達価格を下回ることとなり、これについて修正計算すると、17、18両年度の調達額計2億3082万余円は1億8775万余円となり、4307万円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、次のことによると認められた。
ア 国土交通省において、地方整備局等の間において作業服を着用する関係職員の業務内容に差異はないのに、作業服の仕様について標準的なものを定めていなかったこと
イ 地方整備局等の本局において、本局で一括して契約を締結することによる経済的な調達についての検討が十分でなかったこと
上記についての本院の指摘に基づき、国土交通省では、19年9月に地方整備局等に対し通知を発し、経済的な調達が図られるよう、次のような処置を講じた。
ア 地方整備局等の作業服の仕様について標準的なものを定めた。
イ 地方整備局等の本局が一括して契約を締結することとした。
9地方整備局等 東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国、九州各地方整備局、北海道開発局(本局及び札幌開発建設部ほか10開発建設部)
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7地方整備局 東北、関東、北陸、中部、近畿、中国、四国各地方整備局
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5地方整備局 東北、中部、近畿、中国、四国各地方整備局
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