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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第14 環境省|
  • 不当事項|
  • 補助金

廃棄物処理施設整備事業により整備した灰溶融設備を故障させたまま放置していて補助の目的を達していないもの


(285) 廃棄物処理施設整備事業により整備した灰溶融設備を故障させたまま放置していて補助の目的を達していないもの

会計名及び科目
厚生省所管
一般会計
(組織)厚生本省
  (項)離島振興事業費
平成12年度以降は、
環境省所管  
 
一般会計
 
(組織)環境本省
  (項)離島振興事業費
部局等
新潟県
補助の根拠
廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)
補助事業者
(事業主体)
南部地区清掃組合(平成16年3月1日以降は新潟県佐渡市が業務を承継)
適正な維持管理を行っていなかった事業者
新潟県佐渡市
補助事業
廃棄物処理施設整備
補助事業の概要
ごみ処理施設が老朽化したことなどから、灰溶融設備を備えたごみ処理施設を新設するもの
事業費
1,071,673,000円
(平成10、11両年度)
上記に対する国庫補助金交付額
357,224,000円
 
不当と認める事業費
9,618,076円
(平成10年度)
不当と認める国庫補助金交付額
3,206,022円
(平成10年度)

1 補助事業の概要

 この補助事業は、南部地区清掃組合が、昭和53年度に建設したごみ処理施設が老朽化したことなどから、平成10、11両年度に、灰溶融設備(注) を備えたごみ処理施設である南佐渡クリーンセンターの整備を事業費1,071,673,000円(国庫補助金357,224,000円)で実施したものである。そして、16年3月1日の市町村合併により同組合は解散し、新潟県佐渡市が業務を承継している。
 この補助事業により取得した財産については、廃棄物処理施設整備費国庫補助金交付要綱(昭和53年厚生省環第382号厚生事務次官通知)において、事業完了後においても善良な管理者の注意をもって施設の適正な維持管理を行わなければならないとされている。

2 検査の結果

 本院は、新潟県佐渡市において、有効性等の観点から灰溶融設備は当初の計画どおり機能しているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、この補助事業について、現地の状況及び事業実績報告書等の書類により検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、同市では、18年1月5日、灰溶融設備の運転中、温度センサーが損傷したためバーナーの火が消失し、設備が自動停止した際、損傷した温度センサーを交換して設備を再起動させるべきであったのに、その交換を行わないまま再起動し、炉内の温度が十分上昇しないうちに灰の投入を開始した。
 このことが原因となり、炉の回転する力で灰投入機が変形するという事故が発生して、灰溶融設備の運転が不可能になった。そして、同市では、設備を故障させたまま放置していた。
 したがって、本件灰溶融設備(事業費相当額9,618,076円)は、設備を故障させたまま放置していて適正な維持管理が行われていないため補助の目的を達しておらず、これに係る国庫補助金相当額3,206,022円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同市において補助事業完了後の適正な施設の維持管理についての認識が十分でなかったことなどによるものと認められる。

 灰溶融設備  ごみ焼却後の灰を加熱溶融し、固形化する設備。本件灰溶融設備は、ごみ焼却後の灰を灰投入機から回転する炉に投入し、温度センサーによって温度管理をしながらバーナーの火により加熱溶融し、固形化する方式である。


(参考図)

灰溶融設備の概念図

灰溶融設備の概念図