会計名及び科目
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防衛省所管
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一般会計
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(組織)防衛本省
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(項)防衛本庁
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平成17年度は、
内閣府所管
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一般会計
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(組織)防衛本庁
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(項)防衛本庁
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部局等
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内部部局(旅費制度の所掌部局)
陸上自衛隊3駐屯地、海上自衛隊2地方総監部、航空自衛隊9基地(支払部局)
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着後手当の概要
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採用又は転任によって新居住地に到着後の諸雑費に充てるために支給される旅費
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上記に係る赴任旅費支給額の合計
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14億8464万余円
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(平成17、18両年度)
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上記に係る着後手当支給額の合計
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3億3403万余円
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節減できた着後手当支給額
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3590万円
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(平成17、18両年度)
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【是正改善の処置を求めたものの全文】
着後手当の支給について
(平成19年10月26日付け防衛大臣あて)
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。
記
貴省では、陸上、海上、航空各自衛隊(以下「各自衛隊」という。)の隊員が新たに採用され又は転任を命ぜられて移転する場合、国家公務員等の旅費に関する法律(昭和25年法律第114号。以下「法」という。)に基づき、赴任旅費として、居所又は旧在勤官署から新在勤官署への旅行に要する交通費、宿泊料等のほか移転料及び着後手当を支給している(扶養親族分を含む。)。このうち、着後手当は、新居住地に到着後、新住居を見つけるまでの旅館等の宿泊料や挨拶等に要する費用に充てるために支給するものとされている。そして、その支給額は、法第24条により、日当定額の5日分及び宿泊料定額の5夜分(以下「5日5夜分」という。)に相当する額と定められている。
一方、旅費の調整について定めた法第46条では、各庁の長は、法律の規定による旅費を支給した場合には不当に旅行の実費を超えた旅費又は通常必要としない旅費を支給することとなる場合においては、その実費を超えることとなる部分の旅費又はその必要としない部分の旅費を支給しないことができるとしている。そして、これを受けて、国家公務員等の旅費に関する法律の運用方針について(昭和27年蔵計第922号。以下「運用方針」という。)において、法の規定どおりの旅費を支給することが旅費計算の建前に照らして適当でない場合には旅費の調整を行うこととしており、着後手当については次のような支給基準を示している。
ア 新在勤地に到着後直ちに職員のための国設宿舎又は自宅に入る場合には日当定額の2日分及び宿泊料定額の2夜分(以下「2日2夜分」という。)に相当する額
イ 赴任に伴う移転の路程が鉄道50キロメートル未満の場合には日当定額の3日分及び宿泊料定額の3夜分(以下「3日3夜分」という。)に相当する額、同様に鉄道50キロメートル以上100キロメートル未満の場合には日当定額の4日分及び宿泊料定額の4夜分(以下「4日4夜分」という。)に相当する額
貴省では、防衛省所管旅費取扱規則(平成18年防衛庁訓令第109号。平成19年1月8日以前は「防衛庁旅費規則」(昭和38年総理府令第48号)。以下、これらを「規則」という。)第23条において、前記の運用方針に準じて以下の調整規定を定めて、着後手当の減額支給を行うこととしている。
ア 新在勤地に到着後直ちに国家公務員宿舎(以下「宿舎」という。)を利用した場合又は自宅に入った場合には2日2夜分に相当する額
イ 上記以外の場合において、赴任に伴う移転の路程が鉄道50キロメートル未満の場合等は3日3夜分に相当する額、鉄道50キロメートル以上100キロメートル未満の場合は4日4夜分に相当する額
そして、8年3月には、「赴任旅費支給時における着後手当の解釈等の統一について」(平成8年経理局監査課。以下「事務連絡」という。)を各自衛隊に発し、直ちに宿舎を利用しなかった場合とは、宿舎に入る条件で赴任したが次の理由により入れなかった場合と解釈することで統一的運用を図っている。
ア 官側の都合(宿舎の補修未了等で入居が許可されない)で入居できない
イ 宿舎には即入居可能であるが荷物が届かないため入居できない
また、着後手当は、新住居を見つけるまでの旅館等の宿泊料や挨拶等に要する費用等に充てるためのものであり、自己都合で、荷物の到着日を遅らせたり宿舎に入居しなかったりした場合は、直ちに宿舎に入らなかった場合には該当しないとしている。
そして、直ちに宿舎に入らなかった場合には、その理由や宿泊場所等を記載した宿泊申立書及び旅館等に宿泊した場合はこれに加えてその領収書等を、さらに、イの理由による場合には、上記の書類に加えて荷物の発送到着年月日等を記載した荷物状況証明書とその記載内容を証する領収書等を提出させ、旅費担当者は前任地の部隊等に旧宿舎の退去年月日を照会し、事実関係を確認することとしている。
このように、新在勤地で宿舎に入居する場合で着後手当5日5夜分若しくは移転の路程に応じて3日3夜分又は4日4夜分(以下、これらを総称して「5日5夜分等」という。)に相当する額を支給する場合は、当該異動者に上記の宿泊申立書や領収書等を提出させて宿泊状況等を確認することとしている。
貴省では、毎年度、多数の人事異動の発令を行っており、これに伴い支給される赴任旅費も多額に上っている。
そこで、本院は、陸上自衛隊3駐屯地(注1)
、海上自衛隊2地方総監部(注2)
及び航空自衛隊9基地(注3)
計14基地等(以下「基地等」という。)において、合規性、経済性等の観点から、赴任旅費のうち着後手当の支給が移転の実態に即して適切に行われているか、特に新在勤地で宿舎に入居する場合の減額調整が適切に行われているかなどに着眼し、会計実地検査を行った。そして、基地等が支給した赴任旅費の支給額17年度7億4598万余円、18年度7億3865万余円、計14億8464万余円のうち、着後手当を支給した17年度3,047件、1億7804万余円、18年度2,766件、1億5598万余円、計5,813件、3億3403万余円を対象にして、旅費請求書や宿泊申立書等の書類を検査したり、旅費担当者から旅費の請求、審査、支払事務等について説明を聴取したりするなどした。
検査したところ、着後手当の支給状況及び異動者の宿泊状況について、次のような事態が見受けられた。
すなわち、基地等において、17、18両年度に支給した着後手当計5,813件、3億3403万余円のうち、新在勤地で宿舎に入居したものに係る着後手当の支給件数及び金額は、17年度1,594件、1億1493万余円、18年度1,542件、1億0535万余円、計3,136件、2億2028万余円となっている。
上記の3,136件を減額調整の態様別にみると、直ちに宿舎に入居したとして減額調整後の2日2夜分の着後手当を支給したものは、1,061件(33.8%)、3278万余円で、これ以外の2,075件(66.1%)、1億8750万余円については、到着後直ちに宿舎に入居できなかったとして5日5夜分等の着後手当を支給していた。
そして、5日5夜分等の着後手当を支給した上記の2,075件について、異動者が提出した宿泊申立書等に基づいて実際に利用した宿泊施設等について検査したところ、表のとおり、実際に宿泊費用が発生する旅館等を利用したものは1,354件(支給額1億2743万余円)で、これ以外の721件(支給額6006万余円)については、旅館等を利用せず、実家や友人宅等を利用したとしていた。
区分
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17年度
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18年度
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計
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件数
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割合
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金額
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件数
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割合
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金額
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件数
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割合
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金額
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旅館等を利用したもの
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件
667
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%
60.9
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円
63,417,250
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件
687
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%
70.1
|
円
64,019,008
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件
1,354
|
%
65.3
|
円
127,436,258
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実家、友人宅等を利用したもの
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428
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39.1
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36,096,302
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293
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29.9
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23,968,282
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721
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34.7
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60,064,584
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合計
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1,095
|
100
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99,513,552
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980
|
100
|
87,987,290
|
2,075
|
100
|
187,500,842
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このため、上記の721件については宿泊費に係る領収書を提出しておらず、実際に費用の発生を伴う宿泊をしたことが確認できないのに5日5夜分等の着後手当を支給している状況となっていた。
A自衛官は、平成17年4月1日付けでB基地からC基地への異動を命ぜられ、扶養親族2人と共に4月1日に移動を開始し、宿舎には即入居可能であるが荷物の到着が翌2日となるため、1日はC基地近くの友人宅に宿泊し、翌2日に宿舎に入居したとして宿泊申立書及び荷物状況証明書等を提出した。しかし、友人宅を利用したことから宿泊に係る領収書は提出しておらず、実際に費用の発生を伴う宿泊をしたことが確認できないのに、C基地では、宿舎に直ちに入居できなかったとして減額調整を行わず、法の規定どおり5日5夜分の着後手当本人分60,000円及び扶養親族分60,000円、計120,000円を支給していた。
貴省では、前記のとおり、運用方針に準じた規則及び事務連絡に基づき、到着後直ちに宿舎に入居した場合には着後手当の支給額を2日2夜分に減額調整することとし、到着後直ちに宿舎に入居できなかったとして5日5夜分等を支給する場合は宿泊申立書や旅館等の領収書により宿泊の事実を確認することとしている。
したがって、実家や友人宅等を利用したとして宿泊に係る領収書を提出しなかったものについては、宿泊に係る費用の発生が確認できないのであるから、直ちに宿舎に入居したものとして着後手当を2日2夜分に減額調整する要があると認められる。前記の721件に係る着後手当の支給額17年度3609万余円及び18年度2396万余円、計6006万余円について、減額調整を行い2日2夜分を支給したとすれば、支給額は17年度1449万余円及び18年度967万余円、計2416万余円となり、支給額をそれぞれ2160万余円及び1429万余円、計3590万余円節減できたと認められる。
上記のように、赴任旅費の支給に当たり、実家や友人宅等を利用したものについて着後手当を減額調整していない事態は適切とは認められず、是正改善を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、貴省において、着後手当の支給に当たり、費用発生の実態に即して、旅行の実費を超えることとなる部分や通常必要としない部分の旅費については減額調整ができるという法第46条及び運用方針の趣旨に対する認識が十分でなかったことによると認められる。
各自衛隊では、毎年度、多数の人事異動の発令に伴う赴任旅費の一部として今後も多額の着後手当を支給することが見込まれることから、その支給に当たっては、異動者の宿泊の実態を的確に把握し、費用発生の実態に即して法第46条に基づく減額調整を適切に運用する必要があると認められる。
ついては、上記の事態にかんがみ、貴省において、着後手当の支給に当たり、宿泊申立書において実家や友人宅等を利用したとして宿泊に係る領収書を提出しなかったものについては、宿泊費用の発生を伴うことなく直ちに宿舎に入居したものとして、着後手当を2日2夜分に減額調整することを明確に定めるなどの所要の措置を講じ、もって着後手当の支給を適切に行うよう是正改善の処置を求める。
陸上自衛隊3駐屯地 福知山、伊丹、健軍各駐屯地
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海上自衛隊2地方総監部 呉、佐世保両地方総監部
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航空自衛隊9基地 千歳、三沢、百里、市ヶ谷、入間、岐阜、美保、春日、那覇各基地
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