科目
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郵便貯金業務区分 経常費用 営業経費
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部局等
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7貯金事務センター
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契約名
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一類及び二類文書事務委託等12契約
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契約の概要
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貯金事務センターにおいて、受持ちの各郵便局から送付されてくる郵便貯金に係る郵便物を開封し、封書の中の各種証拠書類等を担当部署に振り分ける事務及びこれらの書類等に係る各種データの電算入力等を行う事務を請負契約により業者に委託して実施させるもの
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委託費の積算額
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16億1560万余円
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(平成17、18両年度)
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低減できた委託費の積算額
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1億8826万円
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(平成17、18両年度)
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日本郵政公社(平成19年10月1日以降は株式会社ゆうちょ銀行等。以下「公社」という。)では、国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的として郵便貯金事業を実施しており、事業の管理業務を行うため、全国11箇所に貯金事務センター(以下「事務センター」という。)を設置している。そして、各事務センターでは、受持ちの各郵便局から毎日大量に送付されてくる郵便物を開封し、封書の中の郵便貯金に係る各種証拠書類等を担当部署に振り分ける事務(以下「文書事務」という。)及びこれらの書類等に係る各種データの電算入力等を行う事務(以下「入力事務」という。)を請負契約によりそれぞれ業者に委託して実施している。そして、各事務センターが業者と締結しているこれら事務委託契約に係る委託費の支払額は、毎年度多額に上っている。
本院は、公社本社及び11事務センター(注1) において会計実地検査を行った。そして、文書事務委託契約及び入力事務委託契約について、経済性等の観点から、契約に係る委託費の積算は事務の実態等を反映した適切なものとなっているかなどに着眼し、予定価格の積算内訳書、作業記録等の書類及び委託事務の実施状況を検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
7事務センター(注2) が締結している文書事務委託契約について、次のような事態が見受けられた。
ア 作業時間について
大阪、広島、徳島、福岡各事務センターでは、文書事務委託契約に係る委託費として18年度に4億4279万余円を支払っていた。そして、委託費の積算に当たり、過去の処理実績等を基に全作業員の延べ作業時間を設定し、これに1時間当たりの人件費単価を乗じていた。
しかし、各受託業者が作業員に賃金を支払うために作成していた作業時間に関する資料(以下「作業時間資料」という。)により、作業時間の実績を調査したところ、表1のとおり、積算上設定した作業時間と開差が生じていた。
事務センター名
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年間作業時間
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積算 A
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実績 B
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開差 A-B
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大阪事務センター
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209,888
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204,013
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5,875
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広島事務センター
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47,502
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30,279
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17,223
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徳島事務センター
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22,162
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18,728
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3,434
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福岡事務センター
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75,658
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57,895
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17,763
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イ 人件費単価について
小樽、東京、長野、徳島各事務センターでは、文書事務委託契約に係る委託費として17年度に2億6665万余円、18年度に3億4447万余円、計6億1113万余円(徳島事務センターについては18年度のみ)を支払っていた。そして、委託費の積算において人件費単価を算出するに当たり、常勤労働者の給与を基にしたり、健康保険及び厚生年金保険(以下「健康保険等」という。)の保険料や児童手当拠出金(以下、これらを合わせて「社会保険料等」という。)に係る事業主負担額を加算したりするなどしていた。
しかし、作業時間資料等により文書事務の作業員の就労状況を検査したところ、表2のとおり、ほとんどの作業員は1日の労働時間が6時間未満の短時間就労者であった。
事務センター名
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作業員数A
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労働時間が6時間未満の労働者数B
(短時間就労者数)
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労働時間が6時間以上の労働者数
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短時間就労者の割合
B/A
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小樽事務センター
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72
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70
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2
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97.2%
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東京事務センター
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61
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61
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0
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100%
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長野事務センター
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41
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40
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1
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97.5%
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徳島事務センター
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16
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13
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3
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81.2%
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計
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190
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184
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6
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96.8%
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(ア) 常勤労働者の給与を基にしていたことについて
小樽、長野両事務センターでは、文書事務の作業員の人件費単価を算出するに当たり、作業員の就労状況が上記のとおりとなっているのに、表3のとおり、短時間就労者の時給に比べて割高な常勤労働者の給与を基にしていた。
事務センター名
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事務センターが常勤労働者の給与月額を基に算出した1時間当たり人件費の単価
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短時間就労者の時給
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小樽事務センター
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993円
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854円
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長野事務センター
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1,512円
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987円
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(イ) 社会保険料等に係る事業主負担額を加算していたことについて
小樽、東京、徳島各事務センターでは、文書事務の作業員の人件費単価を算出するに当たり、社会保険料等に係る事業主負担額を加算していた。
健康保険等では、パートタイム労働者等の短時間就労者については、1日の所定労働時間が一定の時間数以上であるなどの加入要件(注3)
に該当しない場合は、保険料徴収の対象外とされている。しかし、前記のとおり、ほとんどの作業員はこの加入要件に該当していないのに、全作業員について社会保険料等に係る事業主負担額を加算していた。
福岡事務センターでは、入力事務委託契約に係る委託費として17年度に1億5652万余円、18年度に1億6592万余円、計3億2245万余円を支払っていた。そして、委託費の積算に当たっては、積算参考資料に記載されている1文字当たりの入力単価(データエントリー料金)又は入力作業従事者に係る人材派遣料金の時給を基に1タッチ当たり又は1時間当たりの入力単価を算出した上、これに受託業者の管理費を加算するなどして算出していた。
しかし、積算参考資料に記載されているデータエントリー料金及び人材派遣料金の時給にはいずれも業者の管理費が含まれているのに、更に管理費を加算していた。
このように、委託費の積算に当たり、〔1〕積算の基礎となる作業時間が実態とかい離していたのに、その見直しを行わずそのまま積算に用いていたこと、〔2〕短時間就労者である作業員の人件費単価について、割高な常勤労働者の給与を基にしたり、必要のない社会保険料等に係る事業主負担額を加算したりしていたこと、〔3〕管理費を過大に計上して積算していたことは適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
上記により、各事務センターにおける委託費の総額を、作業時間の実態、就労状況等に基づいて修正計算すると、17、18両年度計14億2734万余円となり、積算額16億1560万余円を1億8826万余円低減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、公社本社において、事務センターにおける委託費の積算について、その状況を十分把握しておらず、統一的な取扱いを示すなど事務センターに対する指導が十分でなかったことや、事務センターにおいて次のような状況となっていたことによると認められた。
ア 文書事務委託契約について
(ア) 作業時間の実態及び作業員の就労状況の把握が十分でなく、これに基づく積算の見直しを適切に行っていなかったこと
(イ) 人件費単価の算出に当たり、就労状況に応じた単価を算出する必要があることや就労状況によっては社会保険料等を支払う必要がないことについての認識が十分でなかったこと
イ 入力事務委託契約について
積算参考資料に記載されている料金等には業者の管理費が含まれている場合があるのに、そのような料金等の取扱いに関する認識が十分でなかったこと
上記についての本院の指摘に基づき、公社本社では、19年9月に、全事務センターに対して、次のような内容の指示文書を発し、文書事務及び入力事務の委託費の積算が適切に行われるよう処置を講じた。
ア 文書事務委託契約について
(ア) 作業員の人数、作業時間等を適切に確認、把握できる体制を確立し、委託費の積算を見直すこと
(イ) 予定している作業内容に対応した労働時間を想定して、参考とすべき給与額や社会保険料等に係る事業主負担額の加算の要否を十分検討の上、適切に積算に反映させること
イ 入力事務委託契約について
積算参考資料に記載されている料金等を使用する場合は、管理費を過大に計上することにならないかなど、料金等の内訳を確認し、適正に委託費を積算すること
11事務センター 小樽、仙台、東京、横浜、長野、金沢、名古屋、大阪、広島、徳島、福岡各事務センター
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7事務センター 小樽、東京、長野、大阪、広島、徳島、福岡各事務センター
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加入要件 1日又は1週間の所定労働時間及び1箇月の所定労働日数が、同じ事業所において同種業務に従事する通常の就労者のおおむね4分の3以上あること
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