科目
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経費
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外注加工費
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部局等
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独立行政法人国立印刷局
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製造加工請負契約の概要
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国立印刷局工場内で、官報号外等の原稿の入力・編集から校正・版下作成までの作業を電算システムを利用して行うもの
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契約名
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(入力〜校正)官報号外製造加工請負契約等6件(平成17年度)
(入力〜校正)官報号外製造加工請負契約等6件(平成18年度)
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契約の相手方
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株式会社朝陽会
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検査対象とした契約件数及び支払金額
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6件
6件
計 12件
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4億0333万余円
3億0717万余円
7億1051万余円
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(平成17年度)
(平成18年度)
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随意契約に係る契約単価が割高となっていた契約件数及び開差金額
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6件
6件
計 12件
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1億5780万円
6673万円
2億2454万円
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(平成17年度)
(平成18年度)
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(平成19年10月24日付け 独立行政法人国立印刷局理事長あて)
標記について、会計検査院法第34条の規定により、下記のとおり是正改善の処置を求める。
記
貴局では、虎の門工場において、官報、国会会議録、予算・決算書等の製造を行っている。このうち官報及び国会会議録の製造は、原稿又は電子データの入力・編集から校正・版下作成を経て印刷・発送という各作業からなっており、入力から版下作成までは全面電算化されている。そして、これらの製造は、貴局の業務として行っているものであるが、製造業務量が集中して貴局職員のみでは対応できない場合に、貴局では、入力・編集から校正・版下作成までの作業を製造加工請負契約として業者に外注している。
貴局制定の独立行政法人国立印刷局会計規則(平成15年規則第60号)及び独立行政法人国立印刷局契約事務規則(平成15年規則第61号)(以下、これらを合わせて「会計規則等」という。)によれば、売買、賃貸、請負その他の契約を締結する場合においては、原則として一般競争に付することとされている。ただし、契約の性質若しくは目的が競争を許さない場合又は緊急の必要により競争に付することができない場合には随意契約によることができるとされている。
貴局では、製造加工請負契約の外注に当たり、上記の会計規則等に基づき、製品仕様に精通し編集体裁を熟知した者の技術と安定した労働力の確保が必要となることから、これらの品質仕様を満足する技術を保有し、その製造ノウハウを熟知し品質管理体制が確立されていることを理由として、平成17、18両年度に、株式会社朝陽会(以下「朝陽会」という。)と(入力〜校正)官報号外製造加工請負契約等12件を随意契約により締結している。これらの契約は、1面当たりの単価を4,200円から13,125円とする単価契約であり、これらの契約に係る総支払額は、17年度4億0333万余円、18年度3億0717万余円、計7億1051万余円となっている。
貴局では、上記の製造加工請負契約の締結に当たり、次のように1面当たりの単価の予定価格を積算している。
ア 17年度においては、積算時の物価資料(17年3月号)に掲載されている印刷料金のうち、版下・組版料金に示される電子組版の入力料(編集料を含む)1文字1.6円、校正料1文字1円を採用し、それぞれの単価に官報号外等の1面当たり標準文字数を乗じ、これにFD(フロッピー・ディスク)への変換経費を加算するなどして積算している。
イ 18年度においては、17年度の積算に使用した版下・組版料金は需要の減少により物価資料に掲載されなくなったため、積算時の物価資料(18年3月号)に掲載されている印刷料金のうち、近年広く利用されるようになってきたDTP(デスク・トップ・パブリッシング(注)
)による制作料金を使用するなどして積算している。
そして、物価資料の版下・組版料金やDTPによる制作料金は、受注業者が自社において業務を行うことを前提にしており、労務費以外に材料費、機械設備費、光熱水費等の製造経費及び一般管理費が含まれたものとなっている。
1面当たりの単価の決定に必要な校正時間、校正回数、編集の難易度などの条件は朝陽会からの聞き取りを基に貴局が決定している。そして、18年度においては、1面当たりの校正作業に必要となる時間を2時間又は1.5時間であるとしている。
本院は、前記の製造加工請負契約(契約件数12件、支払総額7億1051万余円)について貴局本局及び虎の門工場において、会計実地検査を行った。そして、合規性、経済性等の観点から、競争契約を導入することはできないか、積算が業務の実態を適切に反映したものとなっているかに着眼して、契約書等の書類を確認するなどして検査した。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
前記の製造加工請負契約について、旧大蔵省印刷局(13年1月から財務省印刷局)の職員のための福利厚生事業等を行っていた財団法人印刷局朝陽会が、2年4月以降は旧大蔵省印刷局から、15年4月以降は貴局から随意契約により請け負っていた。その後、15年7月に同財団法人が貴局向けの収益事業を朝陽会に譲渡して以降は朝陽会と随意契約を締結していた。
しかし、前記のとおり、会計規則等によれば、貴局が売買、賃貸、請負その他の契約を締結する場合は、競争に付することを原則としており、本件製造加工請負契約に係る官報号外等の製造作業はすべて電算化されているのであるから、貴局が製品仕様や編集体裁を明確に示せば、DTP制作に熟達した印刷業者であれば、朝陽会でなくても特段の支障なくこれらの官報号外等の製造が行えると認められる。
製造加工請負契約に係る朝陽会の業務実態をみると、次のとおり、前記の積算方法とかい離している事態が見受けられた。
ア 版下・組版料金等について
朝陽会は、製造加工請負契約に係る作業場所として貴局虎の門工場の構内所定の作業場所を無償で貸与され、光熱水料も無償で使用していた。また、朝陽会は、12件の製造加工請負契約のうち4件の契約では、リース契約により導入した電算システム(以下「リースシステム」という。)を使用して作業を行っているが、残りの8件の契約では、貴局が開発した官報編集システムを利用するためワークステーションなどの機械器具及び事務用備品類を貴局から無償で貸与されていた。
このような実態から、朝陽会が要する経費は、労務費、一般管理費及び4件の契約に係るリースシステム経費のみであり、材料費、機械設備費、光熱水費等の製造経費相当分は貴局が無償で提供しているものである。
したがって、貴局において、上記の製造経費相当分を控除することなく物価資料の版下・組版料金等をそのまま使用して積算していたことは適切とは認められない。
イ 校正時間等の条件について
18年度の積算によると18年度の総製造実績面数40,114面を校正する作業のみでも41人(1日8時間勤務、年間勤務日数244日)が必要であったことになる。
しかし、製造加工請負契約に係る人員数を朝陽会虎ノ門事業部の名簿、タイムカード等により調査したところ、17年度が37人、18年度が35人となっていて、これらの人員により業務が処理されている状況であった。
このように、貴局の積算を前提とした人員41人と実績人員35人との間に大きなかい離を生じており、貴局において、朝陽会から聞き取りを行った作業内容を十分検証することなく、実態を反映していない校正時間等の条件をそのまま使用して積算していたことは適切とは認められない。
そこで、以上のような業務の実態を踏まえ、入力・編集から校正・版下作成までの作業に係る経費の主たるものは労務費(賃金)であること、校正時間等の条件は実態調査の結果の人数に基づくことなどを前提として、本院で12件の製造加工請負契約に係る所要経費について修正計算すると、17年度2億4552万余円、18年度2億4044万余円、計4億8596万余円となり、総支払額17年度4億0333万余円、18年度3億0717万余円、計7億1051万余円に比べ、17年度1億5780万余円、18年度6673万余円、計2億2454万余円の開差が生じると認められる。
上記のように、製造加工請負契約について、長年、会計規則等の原則に従うことなく競争性の要素を導入してこなかったこと、これらの契約に係る積算が業務の実態とかい離していて、契約単価が割高になっていることは適切でなく、早急に是正改善を図る要があると認められる。
このような事態が生じているのは、次のことなどによると認められる。
ア 朝陽会との随意契約が長期にわたり引き継がれていたことから、見直しを行って契約に競争性を導入する意識に欠けていたこと
イ 製造加工請負契約作業は、貴局工場内で作業が行われていて所要経費のほとんどは労務費であるのに、こうした実態を考慮することなく物価資料の単価料金をそのまま適用したり、朝陽会から聞き取りを行った作業内容を十分検証することなく校正時間等を決定したりしていて、業務の実態とかい離した積算を行っていたこと
政府は「経済財政改革の基本方針2007」(平成19年6月19日閣議決定)の中で、「独立行政法人見直しの3原則」を掲げ、19年内を目途に、政府として「独立行政法人整理合理化計画」を策定するとしている。そして、上記3原則の中には、国が進めている随意契約の見直しとの整合性を確保する原則も含まれている。
ついては、貴局において、契約事務の公正性及び透明性を確保し、これにより競争の利益を享受するとともに、実態を反映した適切な積算を行って経済性を確保することができるよう、次のとおり是正改善の処置を求める。
ア 契約に当たっては、今後の契約方式については随意契約を見直し、競争性のある方式に移行すること
イ 予定価格の積算に当たっては、貴局工場内で作業が行われていて、材料費、機械設備費、光熱水費などの製造経費相当分を貴局が負担していたり、積算における校正時間等の条件が実績とかい離したりしているなどの業務の実態を十分に踏まえて所要経費を適切に算出し、1面当たりの契約単価に反映させること