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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第18 独立行政法人宇宙航空研究開発機構|
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  • 役務

建物の定期清掃作業等の請負契約に当たり、仕様が適切でなかったなどのため、契約額が割高となっているもの


(351) 建物の定期清掃作業等の請負契約に当たり、仕様が適切でなかったなどのため、契約額が割高となっているもの

科目
役務費
部局等
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
契約名
建物定期清掃管理及び研究資材の整理整頓作業
契約の概要
航空宇宙技術研究センター内の建物の定期清掃及び研究資材の整理整頓作業を行うもの
契約の相手方
キョウワプロテック株式会社
契約
平成18年4月〜19年3月 随意契約
契約額
19,061,122円
(平成18年度)
割高になっている契約額
2,233,959円
(平成18年度)

1 契約の概要等

(1) 請負契約の概要

 独立行政法人宇宙航空研究開発機構(以下「機構」という。)は、平成18年度に航空宇宙技術研究センターの建物の定期清掃及び研究資材の整理整頓を行う作業を、随意契約により契約金額19,061,122円でキョウワプロテック株式会社(以下「請負業者」という。)に請け負わせている。
 機構は、17年4月に、上記の請負作業について、一般競争契約により請負業者と契約金額11,445,000円で契約した後、17年9月に作業の拡充のための仕様変更に伴う増額の変更契約を行っている。そして、この契約が良好に履行されたと判断し、18年度に、上記のとおり、請負業者と随意契約により契約を締結したものである。
 これらの作業は契約の仕様書によると、次のとおりとなっている。

ア 定期清掃作業

 床面定期清掃、手洗所定期清掃等

イ 整理整頓作業

 各建屋の共用部分の清掃、実験室における研究資材の整理整頓、構内及びフェンス周り等の落ち葉、ゴミ清掃、その他監督官の指示する作業等

 このうち整理整頓作業については、17年度当初契約の仕様書において、作業量を考慮して作業員3名を機構の閉庁日を除く毎日常駐させることとしていたが、17年度変更契約では、各建屋の共用部分の清掃について、それまでの週1回の清掃を週2回にするなど作業量を増やしたことから、作業員を5名に増員している。
 そして、18年度契約においても、17年度変更契約と同じく引き続き5名を常駐させることとし、また、この5名は定期清掃作業とは兼務させないこととしている。

(2) 契約金額等

 契約金額は、請負業者から提出された見積額と同額となっており、その内容は次のとおりとなっている。
ア 定期清掃作業については、居室、廊下等の清掃面積及び衛生陶器、手洗器等の個数にそれぞれの作業単価(面積については1m2 当たり10円から50円、個数については1個当たり9円又は10円)を乗じるなどして年額7,891,327円としている。
イ 整理整頓作業については、年間の作業日数245日に作業員1人当たりの単価8,684円を乗じて得た額(2,127,580円)に作業員数5名を乗じるなどして年額11,169,795円としている。
 そして、両作業は前記のとおりそれぞれ別の作業員が行うこととしていることから、アとイの合計額19,061,122円を契約金額としている。

2 検査の結果

 本院は、航空宇宙技術研究センターにおいて会計実地検査を行った。そして、本件契約について、経済性等の観点から、定期清掃作業や整理整頓作業に係る仕様は適正か、作業は仕様に従って適切に行われているかなどに着眼し、契約書、仕様書、作業日報等の書類により検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
 すなわち、機構は、18年度の仕様書の作成に当たり、整理整頓作業に係る作業内容については、建屋の共用部分の清掃作業の回数を17年度変更契約において週1回から週2回に変更したため作業員の人数を3名から5名に増やしたことを失念し、次表のとおり、週2回であった作業の回数を週1回としたにもかかわらず作業員を5名としていた。

表 仕様書による作業内容の比較
平成17年度当初契約
17年度変更契約
18年度契約
清掃作業の回数
1回/週
2回/週
1回/週
作業員の人数
3人
5人
5人

 また、この作業の実態についてみても、各建屋の共用部分の清掃は、仕様書どおり5名で週1回作業していたため、作業員に相当の待機時間が発生していた。そこで、請負業者は、前記のように整理整頓作業を行う作業員を定期清掃作業には従事させないこととなっているのに、この待機時間に定期清掃作業の一部を行わせていた。
 以上のように、整理整頓作業について、仕様で求めている作業量に見合った人数よりも作業員の人数が多くなっているのに、作業の実態を十分確認しないまま契約どおり支払っていたのは、適切とは認められない。
 このような事態が生じていたのは、機構が、本件契約の作業を請け負わせるに当たり、作業量に比べて過大な作業員の人数を誤って仕様で決めていたことなどによると認められる。
 したがって、18年度の仕様書で求めている整理整頓作業の作業員5名は、17年度末に新築した建屋に係る作業量の増加などを考慮したとしても4名で足りることから、これに基づき修正計算すると、契約金額は16,827,163円となり、作業員1名分の契約金額相当額2,233,959円が割高となっていて、不当と認められる。