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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第21 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構|
  • 本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項

職員寮の入居者に食事を提供するなどの業務に係る委託契約において、年間の業務日数を見直すことなどにより委託費の節減を図るよう改善させたもの


職員寮の入居者に食事を提供するなどの業務に係る委託契約において、年間の業務日数を見直すことなどにより委託費の節減を図るよう改善させたもの

科目
(建設勘定)
(項)業務経費
(項)受託経費
(項)一般管理費
部局等
5支社等
契約名
賄等業務委託契約
契約の概要
職員寮の入居者の希望に応じて食事を提供するなどの業務を行わせるもの
契約の相手方
3会社
契約
平成16年4月、17年4月、10月、18年4月、7月、10月 一般競争契約、随意契約
職員寮の賄等業務に係る委託費
2億3585万余円
(平成16年度〜18年度)
節減できた委託費
3050万円
(平成16年度〜18年度)

1 委託契約の概要

 独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)では、独身者及び単身赴任者のための寮(以下「職員寮」という。)68施設を管理・運営している。そして、機構の7支社等(注1) では、このうちの40施設について、職員寮内又は機構の事務所内の食堂において入居者の希望に応じて朝・夕2回の食事を提供するなどの業務(以下「賄等業務」という。)を4会社等に委託している。
 7支社等では、賄等業務を委託する契約(以下「委託契約」という。)の予定価格の積算に当たり、機構本社が制定した「賄等業務積算要領」(平成9年3月総厚第918号)等に基づき、次のとおり、積算している。

職員寮の入居者に食事を提供するなどの業務に係る委託契約において、年間の業務日数を見直すことなどにより委託費の節減を図るよう改善させたものの図1


 そして、同積算要領によれば、1日当たりの労務費については、1日当たりの給食対象人員が1名から21名の場合には賄等業務を行うために必要となる基本的な要員(以下「基本要員」という。)を1名、22名以上の場合には基本要員を2名計上し、これに本社が定めた1日(8時間)当たりの労務単価を乗ずるなどして算出することとされている。
 このように、基本要員を計上しているのは、賄等業務に実際に従事する者(以下「従事者」という。)は、原則として職員寮に住み込み、朝・夕2回の食事を提供する業務と、その合間に付随して行われる職員寮の一般的な管理業務等も合わせて断続的に1日当たり8時間程度の作業を行うことを想定していることによる。
 また、同積算要領によれば、年間の業務日数については、賄等業務を行う日数を計上することとされており、7支社等では、各委託契約において賄等業務を行わない日を定め、これを除いた日数を年間の業務日数としている。

2 検査の結果

(検査の観点、着眼点、対象及び方法)

 本院は、7支社等において、前記の40施設における平成16年度から18年度までの委託契約(委託費16年度1億2425万余円(35施設)、17年度1億2765万余円(38施設)、18年度1億3145万余円(40施設)、計3億8336万余円)について、経済性等の観点から、委託契約の内容及び予定価格の積算が食事の提供状況や業務の実施状況を反映したものとなっているかなどに着眼して、契約書、仕様書、予定価格積算調書等の書類により会計実地検査を行った。

(検査の結果)

 検査したところ、次のような事態が見受けられた((1)、(2)の事態には重複している職員寮が3施設ある。)。

(1) 賄等業務を行わない日の取扱い及び食事の提供状況について

 各職員寮とも、日曜日、国民の祝日、年末・年始に賄等業務を行わないとすることは同一の取扱いとなっていたが、土曜日については、次のとおり、職員寮により取扱いが区々となっていた。

〔1〕 土曜日に賄等業務を行わないとしていたもの

18施設

〔2〕 第2、第4土曜日のみ賄等業務を行わないとしていたもの

3施設

〔3〕 土曜日に賄等業務を行うとしていたもの

19施設


 そして、上記の〔2〕、〔3〕に該当する4支社等(注2) 管内の22施設における土曜日の食事の提供数は、平日に比べて著しく少ない状況となっていた。特に、上記の〔3〕に該当する職員寮のうち5施設では、18年度において賄等業務を行うとしていた土曜日(48日)のうち食事が提供されたのは1日だけとなっていた。
 このように、土曜日の食事の提供数が著しく少なくなっていたのは、土曜日が機構の勤務日ではないことから、単身赴任者の多くが週末は自宅に帰っていたり、週末の食事を入居者が自ら工面していたりなどしていることによると認められた。
 以上のことなどから、前記の〔2〕、〔3〕に該当する22施設について、機構の勤務日ではなく、入居者の食事提供の希望も少ない土曜日に賄等業務を行うとしていたのは適切とは認められず、委託契約における年間の業務日数から土曜日を除くこととして委託費の節減を図る必要があると認められた。

(2) 賄等業務の実態について

 職員寮内に食堂がない2支社等(注3) 管内の4施設では、従事者は、職員寮に住み込んでおらず、朝、夕それぞれの食事提供時間に合わせて機構の事務所内の食堂に通ってきて作業を行い、作業終了後は帰宅していた。また、1日当たりの給食対象人員数も3名から7名と比較的少ないものとなっていた。このため、従事者の1日当たりの総作業時間は、8時間に満たない状況となっていた。
 したがって、上記の4施設について、基本要員を計上して予定価格を積算していたのは適切とは認められず、実態に応じた必要な作業時間に基づいて予定価格を積算する必要があると認められた。

(節減できた委託費)

 以上のことから、土曜日に賄等業務を行うとしている職員寮の委託契約において、土曜日を年間の業務日数から除き、また、従事者が通いで作業をしている職員寮に係る委託契約の予定価格の積算において、必要な作業時間に基づいて算定したとすれば、5支社等(注4) 管内の23施設に係る委託費2億3585万余円は2億0532万余円となり、委託費を約3050万円(16年度約866万円、17年度約889万円、18年度約1297万円)節減できたと認められた。

(発生原因)

 このような事態が生じていたのは、次のことなどによると認められた。
ア 4支社等において、土曜日に食事の提供を希望する入居者が少ない状況となっているにもかかわらず、この点を踏まえた経済的な委託契約についての検討が十分でなかったこと
イ 2支社等において、従事者の1日当たりの作業時間が8時間に満たない場合の予定価格の積算方法についての検討が十分でなかったこと

3 当局が講じた改善の処置

 上記についての本院の指摘に基づき、機構では、19年8月に、7支社等に対して次のような内容の指示文書を発し、年間の業務日数を見直すなどして賄等業務に係る委託費の節減を図る処置を講じた。
ア 土曜日における食事の提供については、原則として廃止すること
イ 事務所内の食堂等で賄等業務をする場合等であって、作業時間が8時間に満たないと認められる場合については、その賄等業務の実態に応じた必要な作業時間に基づき積算すること

 7支社等  東京支社、大阪支社、北海道新幹線建設局、東北新幹線建設局、北陸新幹線建設局、北陸新幹線第二建設局、九州新幹線建設局
 4支社等  東京支社、東北新幹線建設局、北陸新幹線第二建設局、九州新幹線建設局
 2支社等  大阪支社、東北新幹線建設局
 5支社等  東京支社、大阪支社、東北新幹線建設局、北陸新幹線第二建設局、九州新幹線建設局