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  • 平成18年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • その他

建物等の移転補償の実施に当たり、地区別補正率の適用を誤ったため、補償費が過大となっているもの


(356) 建物等の移転補償の実施に当たり、地区別補正率の適用を誤ったため、補償費が過大となっているもの

科目
(都市再生勘定)
(項)都市機能更新事業費
部局等
独立行政法人都市再生機構神奈川地域支社
契約名
物件移転補償契約(2件)
契約の概要
土地区画整理事業の施行に伴い支障となる建物等の移転補償を行うもの
契約額
(1)
(2)
273,935,700円
668,585,100円
942,520,800円
 
契約
(1)
(2)
平成18年10月31日
平成19年2月7日
 
支払
(1)
 
(2)
平成18年12月11日(前払)
平成19年3月30日(完了払)
平成19年3月30日(前払)
 
不当と認める補償費
(1)
(2)
2,090,500円
5,151,600円
7,242,100円
 

1 契約の概要

 独立行政法人都市再生機構神奈川地域支社(以下「支社」という。)では、藤沢市内の辻堂神台一丁目地区において大規模工場跡地の土地利用転換等を行う土地区画整理事業を施行するため、平成18年度に、同地区に所在する会社所有の建物、機械設備等に対する移転補償を行っている。
 支社では、事業の施行に伴う損失の補償を、「独立行政法人都市再生機構の事業の実施に伴う損失補償の基準を定める規程」(平成16年規程第113号)及び平成17年度版損失補償算定標準書(関東地区用地対策連絡協議会監修。以下「標準書」という。)に基づいて行うこととしている。
 標準書によれば、建物の移転補償費は、その解体及び再建築に係る直接工事費に都県ごとに定められている地区別補正率、諸経費率等を乗ずるなどして算定することとなっている。そして、地区別補正率は、木造建物及び非木造建物の別に定められていて、神奈川県の木造建物については1.01、非木造建物については1.00となっている。
 支社では、本件建物等移転補償費(以下「補償費」という。)について、標準書等に基づき調査、積算する建物等調査算定業務を補償コンサルタントに委託して、その成果品を検査の上受領し、これに基づいて算定していた。そして、建物等の所有者である会社と次のとおり契約を締結し、補償費を支払っていた。 
〔1〕工場、倉庫等の生産・物流関連施設(延床面積5,064.7m2 )については、補償費を273,935,700円と算定して18年10月31日に契約を締結し、12月11日に前払金136,967,800円を支払い、19年3月30日に残金136,967,900円を支払っていた。 
〔2〕機械実験棟等の研究関連施設(同3,725.1m2 )については、補償費を668,585,100円と算定して19年2月7日に契約を締結し、3月30日に前払金468,009,500円を支払っていた。

2 検査の結果

 本院は、支社において、合規性等の観点から、補償費の算定が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件建物等移転補償契約について、契約書等の書類により検査したところ、補償費の算定が次のとおり適切でなかった。
 すなわち、工場、機械実験棟等の非木造建物に係る補償費の算定に当たり、神奈川県における非木造建物の地区別補正率1.00を用いるべきであるのに、誤って1.01を用い、これにより契約を締結していたため、本件の非木造建物に係る補償費が過大となっていた。
 このような事態が生じていたのは、支社において、委託した建物等調査算定業務の成果品に誤りがあったのに、これに対する検査が十分でなかったことによると認められる。
 したがって、本件建物等移転補償に要する適正な費用を算定すると計935,278,700円(前記の〔1〕契約271,845,200円、〔2〕契約663,433,500円)となり、本件建物等移転補償契約額との差額7,242,100円(〔1〕契約2,090,500円、〔2〕契約5,151,600円)が過大となっており、不当と認められる。