(ア) 18年報告では、JICAとPCIとの委託契約について、次のように記述した。
「会計検査院は、12年度から16年度までにJICAがPCIと締結した業務実施契約のうち、再委託契約が締結されているものすべてを対象として、JICAに対し、国内において会計書類を再度審査するとともに、再委託先に赴くなどして、現地で調査を実施し、その結果を報告するよう求めた。(中略)その結果、新たに11箇国13案件に係る再委託契約36件で、JICAに提出されていた再委託契約書の額よりも少額の再委託契約書が存在したり、JICAに提出されていた再委託契約書に記載された再委託先と実際には契約が締結されていなかったりしていて、経理処理や精算手続が事実と異なり適切でなかったものがあった。(中略)今後、JICAは、PCIとの業務実施契約で経理処理や精算手続が適切でなかった11箇国13案件について、PCIが実施した業務の内容、証憑等の精査を引き続き行い、返還請求の要否の検討及びその額の確定をすることにしている。」
(イ) 18年報告の後に、JICAにおいてこれらの再委託契約について精査した結果、実際の再委託契約の金額が確定するなどしたため、経理処理や精算手続が事実と異なり適切でない再委託契約の件数は、ナイジェリア連邦共和国の案件の再委託契約が2件増え、36件から38件となった。そして、JICAは、再委託契約ごとの契約金額を上限として精算を行った精算金額と精査の結果判明した支払金額との差額を返還金額として認定することとした。また、JICAは、コスタリカの「テンピスケ川中流域農業総合開発計画」等と同様に、PCIがJICAと協議を行うことなく、JICAとPCIとの契約に基づく仕様書で示された再委託業務をPCI自ら行ったり、仕様書で示されていない業務を行ったりした場合は、それらの経費は委託経費と認めないこととした。
JICAは、上記38件のうち、精算金額を上回る支払が行われていたことから返還を要しなかった3件を除いた35件について、PCIに対し、不正請求額計85,576,635円及び利息分等の返還を請求し、18年10月27日までにPCIから117,663,041円を返還させた。
会計検査院は、JICA本部において会計実地検査を行い、PCIから提出を受けた精算報告書及びJICAが現地調査で徴した領収書等の関係資料の提出を受けて上記の返還金額について検査した。また、PCIの本社に赴き、PCIの社員から、JICAへ提出した精算報告書の作成方法等や社内の経理処理について説明を聴取し、これに係る書類の提示を受けるなどして実地に検査した。
今回の検査で、JICAがPCIから返還を受けた上記の11箇国13案件に係る再委託契約35件のうちPCIが適切でない経理処理や精算手続を行っていたのは34件であり、トルコ共和国の「イスタンブール地震防災計画基本調査(第2年次)」に係る地質データベース構築の1件については、PCIと共同企業体を構成していた応用地質株式会社(以下「応用地質」という。)が適切でない経理処理や精算手続を行っていたことが判明した。
会計検査院は、上記のとおり、応用地質が再委託契約に関し適切でない経理処理や精算手続を行っていたことが判明したため、応用地質が12年度から16年度の間にJICAと契約した業務実施契約のうち、再委託契約が締結されているもの4案件7契約(応用地質が15年3月に営業譲渡したコンサルタントに係る1案件1契約を含む。)について実地に検査した。
その結果、11箇国13案件に含まれるトルコ共和国の13年度の「イスタンブール地震防災計画基本調査(第1年次)」(契約金額226,783,200円)に係るボーリング、土質試験、物理探査の再委託契約において、次のとおり、JICAが応用地質に対して4,841,881円を過大に支払っていると認められる事態が、前記35件のほか更に1件判明した。
すなわち、応用地質は、PCIと共同企業体を構成してこの調査を実施していた。応用地質は、ボーリング等の再委託契約について450,100米ドルを支払ったとして、共同企業体の代表者であるPCIを通じて、精算報告書に再委託契約書、領収書等を添付してJICAに提出し、JICAはこの額で精算を行っていた。
検査したところ、実際は、PCIを通じてJICAに提出された領収書は偽造されたものであり、応用地質は再委託契約書記載の額よりも少額の支払に関する書類を保存していて、応用地質が再委託先に実際に支払った金額は410,728.71米ドルであった。
したがって、本件再委託契約は精算金額に比べ39,371.29米ドル低額で実施されており、JICAは応用地質に対し4,841,881円(39,371.29米ドル相当)を過大に支払っていたと認められる。
JICAでは、19年8月末現在、共同企業体の代表者であるPCIに対し、不正請求額4,841,881円及び利息分等の返還を請求することとした。
会計検査院は、JICAが精査し返還を受けた11箇国13案件に係る再委託契約35件(うち1件は応用地質の再委託契約)及び上記応用地質の再委託契約1件、計36件(PCIの再委託契約34件、応用地質の再委託契約2件)について検査し、その返還金額計90,418,516円の妥当性について確認した(表1参照) 。
表1 PCI及び応用地質に係る経理処理や精算手続が適切でなかった11箇国13案件に係る返還金額
(単位:円)
国名
|
案件名
|
年度
|
契約金額
|
再委託契約
|
返還金額
|
|||||
件数
|
合計金額
|
18年報告において経理処理や精算手続が適切でなく今後支払内容の精査を必要とするとしていたもの
|
||||||||
件数
|
内容注(1)
|
金額
|
||||||||
イラン
|
ガラス川沿岸農業基盤整備計画調査
|
第1年次
|
14
|
49,480,200
|
2件
|
1,349,000
|
2件
|
土壌調査
|
862,000
|
862,855
|
水質調査
|
||||||||||
第2年次
|
15
|
110,140,800
|
2件
|
4,424,000
|
1件
|
農村社会及び市場調査
|
418,000
|
418,040
|
||
ゴルガン平原かんがい排水及び農業開発計画調査
|
第1年次
|
13
|
46,226,250
|
3件
|
1,754,000
|
3件
|
雨量計・水位計設置
|
859,000
|
859,033
|
|
水質調査
|
267,000
|
267,546
|
||||||||
土壌調査
|
||||||||||
第2年次
|
14
|
104,422,500
|
2件
|
968,000
|
2件
|
農村社会及び市場調査
|
816,000
|
816,540
|
||
平面図作成
|
58,000
|
58,975
|
||||||||
ウガンダ
|
第2次地方給水計画基本設計調査
|
第1年次
|
14
|
34,127,100
|
1件
|
5,211,000
|
1件
|
自然条件調査
|
788,000
|
788,242
|
エジプト
|
大カイロ都市圏総合交通計画調査フェーズ2
|
第1年次
|
14
|
158,631,900
|
4件
|
16,276,000
|
1件
|
道路交通調査
|
2,785,000
|
2,675,510
|
コロンビア
|
ボゴタ首都圏防災対策基本計画調査
|
第2年次
|
13
|
310,119,600
|
3件
|
18,731,000
|
2件
|
建物・地域社会経済調査
|
3,423,000
|
3,329,741
|
デジタルマップ作成
|
6,832,000
|
750,165
|
||||||||
スロバキア
|
ザーホラスカ低地持続的農業開発支援調査
|
第1年次その1
|
13
|
162,873,900
|
1件
|
971,000
|
1件
|
GIS構築
|
590,000
|
0
|
第2年次
|
14
|
140,383,950
|
1件
|
2,346,000
|
1件
|
土地利用実態調査
|
2,198,000
|
2,080,860
|
||
セントクリストファー・ネーヴィス
|
バセテール漁業複合施設建設計画基本設計調査
|
12
|
32,892,300
|
2件
|
5,303,000
|
2件
|
土質調査
|
1,407,000
|
442,456
|
|
測量調査
|
82,000
|
69,080
|
||||||||
トルコ
|
イスタンブール地震防災計画調査
|
第1年次
|
13
|
226,783,200
|
4件
|
95,566,000
|
4件
|
建物現況調査
|
4,509,000
|
4,509,720
|
GISデータベース構築
|
4,384,000
|
4,384,450
|
||||||||
既存データ購入費 | 3,624,000
|
3,624,606
|
||||||||
ボーリング、土質試験、物理探査※
|
-
|
4,841,881
|
||||||||
第2年次
|
14
|
109,786,950
|
2件
|
14,135,000
|
2件
|
GISデータベース構築
|
2,138,000
|
2,136,695
|
||
地質データベース構築※
|
1,842,000
|
1,842,225
|
||||||||
ナイジェリア
|
オヨ州給水衛生改善計画基本設計調査
|
第1年次
|
13
|
84,189,000
|
6件
|
30,090,000
|
3件
|
物理探査(追加分)注(2) |
0
|
0
|
社会経済調査 | 840,000
|
840,000
|
||||||||
試掘注(2)
|
1,040,050
|
1,040,050
|
||||||||
ブラジル
|
グアナバラ湾の環境に関する管理及び改善調査
|
第2年次
|
14
|
258,871,200
|
2件
|
14,737,000
|
1件
|
水質調査
|
7,405,000
|
7,405,440
|
トカンチンス州北部地域農牧開発計画調査
|
第2年次
|
12
|
328,515,600
|
3件
|
22,952,000
|
3件
|
初期環境調査
|
6,024,000
|
2,768,025
|
|
農産物市場調査
|
9,063,000
|
2,225,275
|
||||||||
農村社会調査
|
7,685,000
|
7,658,340
|
||||||||
ベトナム
|
中部地域観光総合開発計画調査
|
第1年次
|
12
|
132,642,300
|
2件
|
8,320,000
|
1件
|
観光市場調査
|
921,000
|
921,395
|
第2年次
|
13
|
226,345,350
|
3件
|
11,420,000
|
3件
|
社会・経済影響調査
|
662,000
|
750,191
|
||
数値化及び編集
|
1,320,000
|
1,320,948
|
||||||||
観光市場調査
|
491,000
|
552,062
|
||||||||
ラオス
|
保健・医療サービス改善計画調査
|
第2年次
|
13
|
271,029,150
|
6件
|
32,719,000
|
6件
|
GIS構築
|
949,000
|
0
|
施設・機材調査
|
5,839,000
|
5,756,830
|
||||||||
ケースマネージメントを中心とした医療サービス調査
|
4,048,000
|
4,001,947
|
||||||||
PHCプログラムの実施現況調査
|
1,585,000
|
1,585,993
|
||||||||
村落レベル世帯調査
|
11,044,000
|
11,007,170
|
||||||||
栄養状況及び主要疾患の疫学調査
|
7,896,000
|
7,826,230
|
||||||||
11箇国
|
13案件
|
-
|
2,787,461,250
|
49件
|
287,272,000
|
39件注(3)
|
103,654,000
|
90,418,516
|
11箇国13案件に係る再委託契約39件の適切を欠く事態について、態様別に示すと以下のとおりである。
(ア) 再委託業務が精算金額に比べ低額で実施されていたもの
27件
JICAに提出されていた再委託契約書の額よりも少額の再委託契約書等が存在していて、これに基づき実際の支払が行われているため、再委託業務が、実際には精算金額に比べ低額で実施されていた。
<事例1>
14年度 ウガンダ共和国:第2次地方給水計画基本設計調査(第1年次)
PCIは、自然条件調査の再委託契約について42,000米ドルを支払ったとして、精算報告書に再委託契約書、領収書等を添付してJICAに提出し、JICAはこの額で精算を行っていた。
しかし、実際は、JICAに提出されていた再委託契約書及び領収書は偽造されたものであり、JICAに提出されていた再委託契約書記載の額よりも少額の35,568米ドルの再委託契約書を再委託先が保存していて、PCIが再委託先に実際に支払った金額は35,568米ドルであった。
したがって、本件再委託契約は精算金額に比べ6,432米ドル低額で実施されており、JICAはPCIに対し788,242円(6,432米ドル相当)を過大に支払っていたと認められる。
(イ) 再委託業務が実施されていなかったもの
9件
再委託契約が、実際には締結されておらず、当該再委託業務が実施されていなかった。
<事例2>
12年度 ブラジル連邦共和国:トカンチンス州北部地域農牧開発計画調査(第2年次)
PCIは、農村社会調査の再委託契約について70,800米ドルを支払ったとして、精算報告書に再委託契約書、領収書等を添付してJICAに提出し、JICAは再委託経費の上限額である70,548.13米ドルにより精算を行っていた。
しかし、実際は、JICAに提出されていた再委託契約書及び領収書は偽造されたものであり、JICAに提出されていた再委託契約書記載の再委託先とは再委託契約が締結されておらず、委託契約書に基づく再委託先による再委託業務が実施されていなかった。
したがって、本件再委託業務は再委託先により実施されておらず、JICAは、PCIに対し7,658,340円(70,548.13米ドル相当)を過大に支払っていたと認められる。
(ウ) 返還すべき差額が生じなかったもの
3件
再委託先により再委託契約の金額より低額で再委託業務が実施されるなどしていたが、別途、仕様書に定められた再委託業務の一部を再委託先以外の者が実施しているなどしていて、前記のとおり精算金額を上回る支払が行われていたことから、結果としてJICAのPCIに対する過大な支払とはなっていなかった。以上を再委託契約ごとに示すと、表2のとおりである。
表2 11箇国13案件の態様
(単位:円)
国名
|
案件名
|
再委託契約内容
|
返還金額
|
事態の態様
|
|||
(ア)
|
(イ)
|
(ウ)
|
|||||
イラン
|
ガラス川沿岸農業基盤整備計画調査
|
第1年次
|
土壌調査
|
862,855
|
○
|
||
水質調査
|
○
|
||||||
第2年次
|
農村社会及び市場調査
|
418,040
|
○
|
||||
ゴルガン平原かんがい排水及び農業開発計画調査
|
第1年次
|
雨量計・水位計設置
|
859,033
|
○
|
|||
水質調査
|
267,546
|
○
|
|||||
土壌調査
|
○
|
||||||
第2年次
|
農村社会及び市場調査
|
816,540
|
○
|
||||
平面図作成
|
58,975
|
○
|
|||||
ウガンダ
|
第2次地方給水計画基本設計調査
|
第1年次
|
自然条件調査
|
788,242
|
○
|
||
エジプト
|
大カイロ都市圏総合交通計画調査フェーズ2
|
第1年次
|
道路交通調査
|
2,675,510
|
○
|
||
コロンビア
|
ボゴタ首都圏防災対策基本計画調査
|
第2年次
|
建物・地域社会経済調査
|
3,329,741
|
○
|
||
デジタルマップ作成
|
750,165
|
○
|
|||||
スロバキア
|
ザーホラスカ低地持続的農業開発支援調査
|
第1年次その1
|
GIS構築
|
0
|
○
|
||
第2年次
|
土地利用実態調査
|
2,080,860
|
○
|
||||
セントクリストファー・ネーヴィス
|
バセテール漁業複合施設建設計画基本設計調査
|
土質調査
|
442,456
|
○
|
|||
測量調査
|
69,080
|
○
|
|||||
トルコ
|
イスタンブール地震防災計画基本調査
|
第1年次
|
建物現況調査
|
4,509,720
|
○
|
||
GISデータベース構築 | 4,384,450
|
○
|
|||||
既存データ購入費
|
3,624,606
|
○
|
|||||
ボーリング、土質試験、物理探査
|
4,841,881
|
○
|
|||||
第2年次
|
GISデータベース構築
|
2,136,695
|
○
|
||||
地質データベース構築
|
1,842,225
|
○
|
|||||
ナイジェリア
|
オヨ州給水衛生改善計画基本設計調査
|
第1年次
|
物理探査(追加分) | 0
|
○
|
||
社会経済調査 | 840,000
|
○
|
|||||
試掘
|
1,040,050
|
○
|
|||||
ブラジル
|
グアナバラ湾の環境に関する管理及び改善調査
|
第2年次
|
水質調査
|
7,405,440
|
○
|
||
トカンチンス州北部地域農牧開発計画調査
|
第2年次
|
初期環境調査
|
2,768,025
|
○
|
|||
農産物市場調査
|
2,225,275
|
○
|
|||||
農村社会調査
|
7,658,340
|
○
|
|||||
ベトナム
|
中部地域観光総合開発計画調査
|
第1年次
|
観光市場調査
|
921,395
|
○
|
||
第2年次
|
社会・経済影響調査
|
750,191
|
○
|
||||
数値化及び編集
|
1,320,948
|
○
|
|||||
観光市場調査
|
552,062
|
○
|
|||||
ラオス
|
保健・医療サービス改善計画調査
|
第2年次
|
GIS構築
|
0
|
○
|
||
施設・機材調査
|
5,756,830
|
○
|
|||||
ケースマネージメントを中心とした医療サービス調査
|
4,001,947
|
○
|
|||||
PHCプログラムの実施状況調査
|
1,585,993
|
○
|
|||||
村落レベル世帯調査
|
11,007,170
|
○
|
|||||
栄養状況及び主要疾患の疫学調査
|
7,826,230
|
○
|
|||||
合計
|
90,418,516
|
27件
|
9件
|
3件
|
なお、JICAが精査した再委託契約38件について、18年報告で経理処理や精算手続が適切でなく今後支払内容の精査を必要とするものとして示した金額(以下「18年報告の金額」という。)と今回算出された返還金額とを再委託契約ごとに比較すると、表3のとおり開差が生じている。
表3 18年報告の金額と今回算出した返還金額との開差及びその理由
(単位:円)
国名
|
案件名
|
再委託契約内容
|
18年報告の金額(A)
|
返還金額(B)
|
18年報告の金額との開差額(C)=(B)-(A) | 開差が生じている理由
|
||||
〔1〕
|
〔2〕
|
〔3〕
|
〔4〕
|
|||||||
イラン
|
ガラス川沿岸農業基盤整備計画調査
|
第1年次
|
土壌調査
|
862,000
|
862,855
|
855
|
○
|
|||
水質調査
|
○
|
|||||||||
第2年次
|
農村社会及び市場調査
|
418,000
|
418,040
|
40
|
○
|
|||||
ゴルガン平原かんがい排水及び農業開発計画調査
|
第1年次
|
雨量計・水位計設置
|
859,000
|
859,033
|
33
|
○
|
||||
水質調査
|
267,000
|
267,546
|
546
|
○
|
||||||
土壌調査
|
○
|
|||||||||
第2年次
|
農村社会及び市場調査
|
816,000
|
816,540
|
540
|
○
|
|||||
平面図作成
|
58,000
|
58,975
|
975
|
○
|
||||||
ウガンダ
|
第2次地方給水計画基本設計調査
|
第1年次
|
自然条件調査
|
788,000
|
788,242
|
242
|
○
|
|||
エジプト
|
大カイロ都市圏総合交通計画調査フェーズ2
|
第1年次
|
道路交通調査
|
2,785,000
|
2,675,510
|
‐109,490
|
○
|
|||
コロンビア
|
ボゴタ首都圏防災対策基本計画調査
|
第2年次
|
建物・地域社会経済調査
|
3,423,000
|
3,329,741
|
‐93,259
|
○
|
○
|
||
デジタルマップ作成
|
6,832,000
|
750,165
|
‐6,081,835
|
○
|
○
|
|||||
スロバキア
|
ザーホラスカ低地持続的農業開発支援調査
|
第1年次その1
|
GIS構築
|
590,000
|
0
|
‐590,000
|
○
|
○
|
||
第2年次
|
土地利用実態調査
|
2,198,000
|
2,080,860
|
‐117,140
|
○
|
|||||
セントクリストファー・ネーヴィス
|
バセテール漁業複合施設建設計画基本設計調査
|
土質調査
|
1,407,000
|
442,456
|
‐964,544
|
○
|
○
|
|||
測量調査
|
82,000
|
69,080
|
‐12,920
|
○
|
||||||
トルコ
|
イスタンブール地震防災計画調査
|
第1年次
|
建物現況調査
|
4,509,000
|
4,509,720
|
720
|
○
|
|||
GISデータベース構築 | 4,384,000
|
4,384,450
|
450
|
○
|
||||||
既存データ購入費
|
3,624,000
|
3,624,606
|
606
|
○
|
||||||
第2年次
|
GISデータベース構築
|
2,138,000
|
2,136,695
|
‐1,305
|
○
|
|||||
地質データベース構築
|
1,842,000
|
1,842,225
|
225
|
○
|
||||||
ナイジェリア
|
オヨ州給水衛生改善計画基本設計調査
|
第1年次
|
物理探査(追加分) | -
|
0
|
0
|
○
|
|||
社会経済調査 | 840,000
|
840,000
|
0
|
○
|
||||||
試掘
|
-
|
1,040,050
|
1,040,050
|
○
|
||||||
ブラジル
|
グアナバラ湾の環境に関する管理及び改善調査
|
第2年次
|
水質調査
|
7,405,000
|
7,405,440
|
440
|
○
|
|||
トカンチンス州北部地域農牧開発計画調査
|
第2年次
|
初期環境調査
|
6,024,000
|
2,768,025
|
‐3,255,975
|
○
|
○
|
|||
農産物市場調査
|
9,063,000
|
2,225,275
|
‐6,837,725
|
○
|
○
|
|||||
農村社会調査
|
7,685,000
|
7,658,340
|
‐26,660
|
○
|
||||||
ベトナム
|
中部地域観光総合開発計画調査
|
第1年次
|
観光市場調査
|
921,000
|
921,395
|
395
|
○
|
|||
第2年次
|
社会・経済影響調査
|
662,000
|
750,191
|
88,191
|
○
|
○
|
||||
数値化及び編集
|
1,320,000
|
1,320,948
|
948
|
○
|
||||||
観光市場調査
|
491,000
|
552,062
|
61,062
|
○
|
○
|
|||||
ラオス
|
保健・医療サービス改善計画調査
|
第2年次
|
GIS構築
|
949,000
|
0
|
‐949,000
|
○
|
○
|
||
施設・機材調査
|
5,839,000
|
5,756,830
|
‐82,170
|
○
|
||||||
ケースマネージメントを中心とした医療サービス調査
|
4,048,000
|
4,001,947
|
‐46,053
|
○
|
||||||
PHCプログラムの実施状況調査
|
1,585,000
|
1,585,993
|
993
|
○
|
||||||
村落レベル世帯調査
|
11,044,000
|
11,007,170
|
‐36,830
|
○
|
||||||
栄養状況及び主要疾患の疫学調査
|
7,896,000
|
7,826,230
|
‐69,770
|
○
|
||||||
合計
|
103,654,000
|
85,576,635
|
‐18,077,365
|
8件
|
2件
|
2件
|
35件
|
注(1)
|
18年報告の金額は、JICAに提出されていた再委託契約書の額よりも少額の再委託契約書が存在した事態についてはそれら差額を、再委託契約書に記載された再委託先と契約が締結されていなかった事態についてはその契約金額を、それぞれ邦貨換算して表示したもので、更に精査する必要があるとしていたものである。また、千円未満の端数については、切捨て処理したものである。
|
注(2)
|
開差が生じている理由は以下のとおりである。
〔1〕 18年報告時に、JICAに提出されていた再委託契約書の額よりも少額の再委託契約書が存在していた事態について、精査の結果、18年報告時の再委託契約と異なる実際の再委託契約の金額が新たに判明したことによるもの 〔2〕 18年報告時に、JICAに提出されていた再委託契約書に記載された再委託先と契約が締結されていなかった事態について、精査の結果、再委託先以外の者が仕様書で定められた再委託業務を実施したことが新たに判明したことによるもの 〔3〕 実際の再委託契約の金額を確認できなかったなどのため、JICAの精査が終了していなかった再委託契約について、精査の結果、これらの返還金額が確定したことによるもの 〔4〕 18年報告の金額の算出方法と異なり、JICAで返還金額の算出方法について、精算金額を基にして、円単位まで計算する方法としたことによるもの |
注(3)
|
応用地質が再委託契約を締結したトルコ共和国の「イスタンブール地震防災計画基本調査(第1年次)」における「ボーリング、土質試験、物理探査」は、18年報告には含まれていないので、本表には含めていない。
|
オ 18年報告の「テンピスケ川中流域農業総合開発計画」等における返還の状況
18年報告で契約及び精算が適正を欠いていたと記述したコスタリカの「テンピスケ川中流域農業総合開発計画」における第2年次の水質調査については、その後、JICAにおいて、精査を行い、PCIに対し不正請求額83,518円及び利息分等の返還を請求し、18年10月27日までにPCIから116,217円を返還させた。
また、18年報告で契約及び精算が適正を欠いていたと記述した4箇国4案件のうちボスニア・ヘルツェゴビナの運輸交通マスタープラン調査及びグアテマラ共和国の全国観光開発調査の2案件に係る再委託契約2件については、その後、精査を行い、PCIに対し不正請求額計3,205,432円及び利息分等の返還を請求し、同日までにPCIから4,662,067円を返還させた。
18年報告では、JICAが開発調査を実施したコスタリカの「テンピスケ川中流域農業総合開発計画」及び4箇国4案件に係る適正を欠く事態の発生原因として、「JICAにおいて、再委託契約の事前の審査・承認や提出された精算報告書、証憑の形式的な審査確認は行われていたが、海外に存在する再委託先の選定、再委託契約の実施状況等についての実質的な把握が十分行われていなかったこと」と記述したほか、「PCIにおいて、再委託に関し、現地の事情の変化により調査方法の変更や経費の流用等の必要が生じた場合は、JICAと協議して契約を変更する要があったのに、開発調査等は、比較的短期間に調査を終える必要があることから、業務主任者等が、手続に時間を要すると考えてこれを行わずに、再委託契約書、領収書等を偽造したり、支払を証明する領収書等を廃棄したりするなど、適正な会計処理を行っていなかったこと。また、本社でも、調査の実施とともに現地における支払について業務主任者の裁量に任せており、この支払に対するチェック体制が確立されていなかったこと」と記述した。
そこで、会計検査院は、19年次の検査において、PCIの本社で、11箇国13案件に係る再委託契約39件のうちPCIが再委託契約の当事者となっていた37件について、PCIがJICAへ提出した精算報告書の作成方法、社内の経理処理の状況の説明を聴取するとともに、JICAが提出を受けていた領収書等とPCIの社内の伝票等を照合するなどして実地に検査した。
(ア) PCIの業務主任者の精算の報告に対する本社の審査状況
会計検査院は、11箇国13案件に係る精算報告書に対するPCI本社の審査状況について実地に検査した。
前記の再委託契約37件のうち、23件については、PCIの現地における業務主任者はPCI社内の経理担当(以下「経理担当」という。)には事実に基づく報告を行うなどしていた。しかし、その一方で、PCI社内のJICAに対する精算担当(以下「精算担当」という。)には虚偽の精算の報告を行っていた。このため、社内の経理においては実際の支払額が現地再委託の経費として計上されていたが、精算担当では、この虚偽の報告に基づき精算報告書を作成し、これを社内で特段の審査等を行わないままJICAに提出していた。
残りの14件については、業務主任者が虚偽の報告を経理担当及び精算担当の両者に行っていた。
PCIの本社から現地の再委託先の銀行口座へ銀行送金を行うことにより、再委託先への支払が確実なものとなり、事後の確認も容易となると考えられることから、会計検査院は、現地再委託経費の支払方法について検査した。
前記の37件の再委託契約のうち、再委託業務が実施されていなかった9件を除く28件について、PCIでは、次の2つの方法で支払を行ったとしていた。
〔1〕 本社から現地の再委託先の銀行口座へ銀行送金する方法
本社から現地の再委託先の銀行口座へ銀行送金する場合は、業務主任者から送付された請求書等を本社で審査し、社内の経理としては、経理担当が再委託先の銀行口座へ銀行送金する際に委託事業の経費に計上する。そして、JICAに対する精算に当たっては、精算担当が、事業完了後、再委託先から提出された領収書を証拠書類として添付して提出する。
〔2〕 業務主任者等が現地で再委託先に支払う方法
業務主任者、会計担当者(以下「業務主任者等」という。)が本社から事前に渡されていた資金から現地で再委託先に支払うのは、再委託先が現金での支払を求めたり、本社から再委託先の銀行口座や現地へ銀行送金ができなかったりする場合等である。そして、業務主任者等が現地経費に係る領収書等の精算書類を取りまとめ、精算担当には原本を、経理担当にはその写しを、それぞれ提出する。
そして、〔1〕の方法のみで支払を行ったとしていたものは2件、〔1〕及び〔2〕の方法で支払を行ったとしていたものは2件、〔2〕の方法のみで支払を行ったとしていたものは24件であった。
PCIは、再委託先への支払に当たっては、盗難等による事故を防ぐため、上記〔1〕の本社から銀行送金する方法が望ましいとしていたが、開発調査等は比較的短期間に調査を終える必要があることなどから、再委託先の調査を円滑に行わせるなどのため上記〔2〕の業務主任者等が現地で支払う方法が大半となっていた。
このように、11箇国13案件については、業務主任者の精算の報告に対する本社の審査体制が十分整備されていなかったり、支払が確実なものとされる本社からの再委託先の銀行口座への支払が、再委託契約28件のうち4件と少なく、大半は業務主任者等が再委託先に支払う方法となっていたりしていた。
<事例3>
13年度 ベトナム社会主義共和国:中部地域観光総合開発計画調査(第2年次)
社会・経済影響調査の再委託契約の支払に当たり、PCIの業務主任者等は、本社の経理担当に現地の再委託先の銀行口座への銀行送金を依頼し、これに基づき、経理担当は29,250米ドルの銀行送金を行い、社内の経理においてこの29,250米ドル相当の邦貨額を現地再委託費として経費計上していた。
一方、本社の精算担当は、経理担当とは別に処理を行い、現地で偽造された領収書による業務主任者からの虚偽の報告に基づいて現地再委託費を35,486米ドルとする精算報告書を作成し、これをJICAに提出していた。
このように、PCIでは、経理担当と精算担当が個別に処理を行っているのに、社内で特段の審査等を行っていなかったため、社内の経理において経費計上した金額と業務主任者からの精算の報告に基づく金額とが異なっていた。
このため、JICAはPCIに対し、750,191円(6,236米ドル相当)を過大に支払っていた。
PCIでは、現地で再委託契約を締結した時点では、従来は業務主任者が再委託契約書等を本社に提出することとなっていなかったが、これを新たに本社に提出することとするなどして、再委託契約に対する審査体制を強化したり、JICAに提出する精算報告書の作成に当たっては新たに監査部署が監査を行うこととして、精算の報告に対する審査体制を強化したりするなどした。また、PCIでは、再委託先への支払に当たっては、再委託先の銀行口座への銀行送金を原則とすることとし、業務主任者は再委託先への支払について本社の承認を受けた後に、経理担当に対し本社からの再委託先の銀行口座への銀行送金を依頼することとするなど、本社からの銀行送金の徹底を図るとするなどして再発防止に取り組んでいる。
(2) JICA等とPCI以外のコンサルタントとの委託契約に係る71案件96契約
(ア) 会計検査院が求めたJICA及びコンサルタントの調査の状況
a 18年報告では、JICAとPCI以外のコンサルタントとの委託契約について、次のように記述した。
「会計検査院は、PCI以外のコンサルタントについてもPCIと同様に、再委託契約を含む委託契約について、現地における調査を実施するようJICA等に求めた。(中略)そして、JICAは、PCI以外のコンサルタントと締結した契約で、再委託契約が締結されていたもののうち、受注実績が上位を占めるコンサルタントとの契約や在外事務所が存在しない国において実施された案件で再委託契約が1000万円以上のものである19案件について、再委託先に赴いて再委託契約の有無及び契約金額の確認を行うなどの現地における調査を実施した。それに加えて、JICAが上記現地における調査の対象とした案件に係るコンサルタント各社に対して、その他の案件についても自ら調査を行い、その結果をJICAに報告するよう求めたものが41案件ある。(中略)会計検査院は、これらの調査の結果として、契約又は精算に当たり適切を欠いていた事態は見受けられなかったとの報告を18年5月までに受けた。」
b 18年報告の後に、会計検査院は、JICA本部において会計実地検査を行うなどして、JICAの委託契約に係る上記の計60案件の再委託契約について、JICA及びコンサルタントから再委託契約に係る調査の方法及び内容について説明を聴取するなどして、引き続き検査した。
JICAでは、会計検査院が、前記のとおり、現地における調査を実施するよう求めたことに応じ、19案件について調査した。JICAの調査の方法は、現地の再委託先を訪問して調査したものが19案件中14案件、電話又はファックス等により調査したものが4案件、訪問及び電話等の両方を実施したものが1案件となっていた。そして、調査の内容は、契約書、領収書等を確認したとしていたものが17案件、確認が困難などとしていたものが2案件であった。
また、前記のとおり、会計検査院が調査を実施するよう求めたことに応じて、JICAがコンサルタント各社に対して、その他の案件についても自ら調査を行うよう求め、コンサルタントが調査したものが41案件ある。これらのすべてについて、コンサルタントは、社内で契約書、領収書等の経理書類による確認を行い、それに加えて、調査の方法として業務主任者からの聞取り調査を行った案件が22案件、電話、ファックス又はメールにより確認を行った案件は2案件であった。
なお、これらの60案件には、JICAの調査した案件で再委託先の確認が取れなかったものや、コンサルタントが調査した案件で一部の再委託契約のみを調査したものも含まれていた。
会計検査院は、60案件に係る20コンサルタントの本社に赴くなどして、JICAに対する再委託契約の精算方法や社内の経理処理の状況について説明を聴取するとともに、JICAが提出を受けていた領収書等とコンサルタントが保存していた社内の伝票等の経理書類とを照合するなどして、実地に検査した。
会計検査院がコンサルタント20社に赴くなどして今回検査した範囲では、現時点で返還を要すると認められる事態は見受けられなかった。
ただし、会計検査院による検査の過程で、2案件において再委託先に対する前払等の支払について、JICAが提出を受けていた領収書がコンサルタントの社内の経理処理に用いられた実際の領収書と異なっていて、JICAに対する精算報告書の内容が事実と相違していたものが見受けられた。再委託先への支払額の総額は再委託契約に係る精算金額と一致していたが、上記のとおり事実と相違した領収書がJICAに提出され、JICAの精算に用いられていたことは適切とは認められない。
なお、PCIと同様に、コンサルタントの業務主任者等の精算の報告に対する審査状況、現地再委託経費の支払方法について検査したところ、次のとおりであった。
コンサルタントにおける審査状況については、精算担当と経理担当が異なり、両者において再委託契約に係る領収書等を確認した上で社内の経理処理を行っているとしたものが、20社のうち19社と大半を占めていた。
再委託先への支払方法については、原則としてコンサルタントの本社等から銀行送金する方法で支払を行っているとしたものが20社のうち15社を占めていた。また、JICA及びコンサルタントが調査した60案件85契約については、本社等から銀行送金する方法のみで支払を行っていたものが29契約、業務主任者等が現地で支払う方法のみで支払を行っていたものが43契約、両方の方法で支払を行っていたものが13契約となっていた。
また、会計検査院では、再委託先の協力の下に5案件の再委託契約について、タイ王国、インドネシア共和国及びグアテマラ共和国の3箇国に職員を派遣して、次の点に留意して再委託先に対し、実地に調査した。
〔1〕 再委託契約書及び領収書の署名者が実在の人物で、それぞれの署名は本人の署名に間違いないか。
〔2〕 コンサルタントがJICAに提出した領収書に記載された金額と再委託先が実際にコンサルタントから受け取った金額に相違はないか。
〔3〕 再委託業務が契約どおりに実際に行われ、成果品がコンサルタントに納入されているか。
会計検査院が再委託先を今回調査した範囲では、現時点で特に報告すべき事項は見受けられなかった。
JBICがコンサルタントと締結する委託契約の中には、業務の内容により現地コンサルタントを使用する再委託業務を伴うものがあるが、コンサルタントが現地コンサルタントを使用する必要があると判断した場合には、事前にJBICに了解を得て再委託契約を締結することになっている。
そして、この現地で再委託する場合の費用については、JBICに提出する精算のための報告書に精算内容が分かる再委託契約書と領収書等を添付することとされている。また、妥当な事由があれば、現地再委託の費用が変更になっても、契約時に定めた直接業務費の総額の範囲内で流用して精算を行うことができることになっている。
a 18年報告では、JBICとPCI以外のコンサルタントとの委託契約について、次のように記述した。
「会計検査院は、PCI以外のコンサルタントについてもPCIと同様に、再委託契約を含む委託契約について、現地における調査を実施するようJBICに求めた。(中略)そして、JBICは、PCI以外のコンサルタントと締結した契約金額が3000万円以上の契約で、再委託契約が締結されていたもののうち11案件について、JBICが保存していた精算報告時に提出されていた契約書、領収書等を各駐在員事務所に送付し、各事務所が再委託先に赴くなどして再委託契約の有無及び契約金額の確認を行うなどの現地における調査を実施した。(中略)会計検査院は、これらの調査の結果として、契約又は精算に当たり適切を欠いていた事態は見受けられなかったとの報告を18年5月までに受けた。」
b 18年報告の後に、会計検査院は、JBIC本店において会計実地検査を行い、JBICから再委託契約に係る調査方法及び内容について説明を聴取した。
JBICでは、会計検査院が、前記の現地における調査を実施するよう求めたことに応じて調査した11案件11契約について、コンサルタントから提出を受けた再委託契約書、領収書等と再委託先が保存していた契約書、領収書等の照合を駐在員事務所を通じて行わせた。その調査の方法は、現地の再委託先を訪問するなどして確認したものが10案件、訪問等及び電話により調査したものが1案件となっていた。また、その調査の内容は、契約書及び領収書を確認したものが全11案件であった。
会計検査院は、JBIC本店において会計実地検査を行い、11案件すべてについて、JBICに精算報告時に提出されていた再委託契約書、領収書等と、JBICが再委託先を調査した際に確認した再委託契約書、領収書等の関係書類を照合した。また、コンサルタントから、社内の経理で計上されている再委託契約の支払額等について、JBICを通じて報告を受けて、上記のJBICが提出を受けていた領収書等と照合した。
会計検査院がJBICなどを今回検査した範囲では、現時点で特に報告すべき事項は見受けられなかった。
なお、再委託先への支払方法について検査したところ、次のとおりであった。
コンサルタントの本社から銀行送金する方法のみで支払を行っていたものが6案件、業務主任者等が現地で支払う方法のみで支払を行っていたものが1案件、両方の方法で支払を行っていたものが4案件となっていた。JBICでは、16年4月に制定した「経費支出に伴う契約・支払いに係る積算・精算の運用指針」のなかで、契約先に対しては、支払の確認を確実に行うため、可能な場合には銀行送金などによる支払を推奨している。
また、会計検査院は、再委託先の協力の下に2案件の再委託契約について、タイ王国及びインドネシア共和国の2箇国に職員を派遣し、前記のJICAの委託契約についての調査と同様の点に留意して再委託先に対し、実地に調査した。
そして、JBIC駐在員事務所において、再委託契約の相手方に面会し、JBICに提出されていた再委託契約書、領収書等と再委託先が保存していた再委託契約書、領収書等について、契約内容、契約金額を照合するなどし、また、成果品について確認をするなどした。
会計検査院が再委託先を今回調査した範囲では、現時点で特に報告すべき事項は見受けられなかった。
JICAは、再発を防止するために、検討委員会を発足させ、検討を進めた結果、事後チェックの強化と事前手続の合理化、効率化等の面から手続の見直しを行い、17年12月に前記のガイドラインを制定した。
このガイドラインにおいては、コンサルタントが再委託契約を締結した後、速やかに監督職員に対し、再委託先の選定経緯の報告を行ったり、再委託契約書の写しを提出したりするなどして、再委託先への確認を徹底することなどとしている。また、再委託契約業務完了後の第三者機関による抽出検査を導入することなどとしている。
そして、このガイドラインに示された再委託契約の確認のための項目の19年6月末までの実施状況は、表4のとおりとなっている。
項目
|
対象契約件数
|
実施、確認件数
|
〔1〕 再委託契約締結後の監督職員への報告と契約書写しの提出
|
495件
|
495件
|
〔2〕 再委託契約締結後における監督職員による事実確認
|
495件
|
495件
|
〔3〕 1000万円以上の契約又は入札を行う場合の立会い
|
122件
|
113件
|
〔4〕 再委託業務終了後の業務完了報告と成果品の確認
|
495件
|
495件
|
〔5〕 再委託契約業務完了後の第三者機関による抽出検査
|
495件
|
0件
|
JICAは、1000万円以上の契約又は入札を行う場合に立会いができなかった9件については、後日再委託先への電話により再委託契約の内容等について確認を行ったとしている。また、第三者機関による抽出検査については、19年8月に3箇国を対象に開始された。
また、JICAは、ガイドラインを18年6月に改正し、現地再委託契約に係る支払を確実なものとするため、支払に当たっては、現金によらず可能な限り銀行振込によるよう求めている。