会計検査院は、JICAとPCIとの委託契約のうち、18年報告において再委託契約に係る経理処理や精算手続が事実と異なっていることを記述した11箇国13案件について、引き続き検査を実施した。その結果、PCI以外に、PCIと1案件2契約において共同企業体を構成していた応用地質においても、適切でない経理処理や精算手続を行っていたことが判明した。このように、PCI及び応用地質が現地で締結した再委託契約の精算に当たって適正を欠く事態があったことは遺憾である。
また、会計検査院は、JICA等とPCI以外のコンサルタントとの委託契約のうち、18年報告においてJICA等から再委託契約の精算の適否について特に問題がなかった旨の報告を受け、その内容を検証する必要があるとした71案件について、JICA等及びコンサルタントの調査内容を検査した。会計検査院が今回検査した範囲では、現時点で返還を要すると認められる事態は見受けられなかったが、JICAがコンサルタントから提出を受けていた精算報告書の再委託契約に関する支払の内容が事実と相違していたものが見受けられ、コンサルタントから精算に関して事実に即した的確な報告を受ける必要があると認められる。
JICA等においては、今回のPCIの不祥事にかんがみ、再委託契約を伴うコンサルタントとの委託契約について、ガイドライン等を改正するなどしているところであるが、コンサルタントの業務主任者等の精算報告に対する社内の審査体制と確実な支払方法とされている銀行送金による支払の状況にも留意して、適正な契約の履行の確保に努める必要があると認められる。
外務省、JICA等においては、このような事態が生じることのないよう、引き続き不正等に対する取組を一層強化するとともに再発防止に努める必要がある。
「開発コンサルタント、NPO等への委託契約の状況について」については、以上のとおり報告する。そして、会計検査院としては、今後とも、ODAに関するコンサルタントとの委託契約について、特に再委託契約に関しては、JICA等が講じた再発防止策が有効に機能して、適正な契約の履行が確保されているか、引き続き検査していくこととする。