会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)総務本省 | (項)総務本省 |
部局等 | 総務本省 | ||
補助の根拠 | 予算補助 | ||
補助事業者 (事業主体) |
5市 | ||
補助事業 | 市町村合併推進体制整備 | ||
補助事業の概要 | 市町村の合併を円滑に推進することを目的として、合併した市町村が、当該合併市町村の建設に関する基本的な計画に基づいて事業を実施するもの | ||
事業費の合計 | 569,499,397円 | (平成17、18両年度) | |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 522,299,000円 | ||
不当と認める事業費 | 464,106,217円 | (平成17、18両年度) | |
不当と認める国庫補助金交付額 | 416,905,820円 | (平成17、18両年度) |
市町村合併推進体制整備費補助金(以下「合併補助金」という。)は、市町村の合併を円滑に推進することを目的として、市町村の合併の特例に関する法律(昭和40年法律第6号)及び市町村合併推進体制整備費補助金要綱(平成13年総務事務次官通知。平成18年一部改正。以下「補助要綱」という。)により、合併した市町村が、当該合併市町村の建設に関する基本的な計画を作成して、この計画に基づいて行う事業の実施に要する経費の一部を国が補助するものである。
また、総務省は、地方交付税法(昭和25年法律第211号)に基づき、普通交付税の算定方法によっては捕そくされなかった特別の財政需要があるなどの地方団体に特別交付税を交付している。
そして、「平成17年度における合併市町村補助金の取扱いについて」(平成18年2月総務省自治行政局合併推進課長通知。以下「取扱通知」という。)等によると、特別交付税の算定の基礎数値に含めている事業(合併補助金を特定財源として控除している場合を除く。)に係る経費は合併補助金の補助の対象とはならないこととされている。
本院は、総務本省及び199市町村において、会計実地検査を行った。そして、合規性等の観点から補助事業の事業費が適正に算定されているかなどに着眼して、交付申請書、特別交付税の算定資料等の書類により検査した。その結果、事業主体が実施した8件の補助事業(事業費計569,499,397円)については、その事業費の全部又は一部が特別交付税の算定の基礎数値に含まれていて、特別交付税が措置されている事業に対して合併補助金の交付を受けていた。したがって、これに係る国庫補助金17年度111,375,000円、18年度305,530,820円、計416,905,820円は特別交付税の措置と重複して交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において補助要綱等の理解が十分でなかったこと、総務省において事業主体から提出された実績報告書等の審査及び確認が十分でなかったことによると認められる。
これを事業主体別に示すと次のとおりである。
県名 | 事業主体 | 補助事業 | 年度 | 補助対象事業費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認める補助対象事業費 | 不当と認める国庫補助金 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | |||||
(3) | 群馬県 | 高崎市 | 統合型地理情報システム構築事業、市内循環バス購入事業 | 18 | 201,936 | 201,936 | 194,481 | 194,481 |
上記の事業主体は、地図情報をイントラネットにより庁内で利用するとともに市民に対してもインターネットで提供して、市域全体の地図情報を一体的に管理・運用することにより、地図情報を用いた各種業務が効率的に行われるようにする事業(統合型地理情報システム構築事業)を事業費142,590,000円で実施して、同額の合併補助金の交付を受けていた。
また、交通弱者の交通手段の確保等を目的として、バスを購入する事業(市内循環バス購入事業)を事業費59,346,000円で実施して、同額の合併補助金の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、前記の統合型地理情報システム構築事業の事業費のうち135,135,000円を、統合型地理情報システム(GIS)導入に要する経費として、また、市内循環バス購入事業の事業費59,346,000円を、地方バス路線運行維持対策に要した経費として特別交付税の算定の基礎数値に含めて総務本省に報告して、その措置を受けていた。
したがって、前記の事業費のうち194,481,000円については、特別交付税の措置と重複して合併補助金の交付を受けており、これに係る同額の国庫補助金が過大に交付されていた。
(4) | 長野県 | 大町市 | 市民バス運行事業 | 18 | 67,047 | 59,300 | 58,249 | 50,502 |
上記の事業主体は、旧市村ごとに運行していた公営バスを新市の統一的業務として運行する業務等を民間に委託するなどの事業を事業費67,047,708円で実施して、合併補助金59,300,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、本件事業の事業費のうち52,075,000円を、地方バス路線運行維持対策に要した経費として特別交付税の算定の基礎数値に含めて総務本省に報告して、その措置を受けていた。
したがって、上記の事業費のうち58,249,978円については特別交付税の措置と重複して合併補助金の交付を受けており、これに係る国庫補助金50,502,270円が過大に交付されていた。
(5) | 岐阜県 | 中津川市 | GIS整備 | 17 | 43,323 | 43,000 | 25,273 | 24,950 |
上記の事業主体は、地図データの作成及びシステムの統一をすることにより各担当部署において情報を利用して合理的な事務を行うとともに必要な箇所を必要な縮尺でその場で提供できるという市民サービスを実施するための事業を事業費43,323,500円で実施して、合併補助金43,000,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、本件事業の事業費のうち25,000,000円を、統合型地理情報システム(GIS)導入に要する経費として特別交付税の算定の基礎数値に含めて総務本省に報告して、その措置を受けていた。
したがって、上記の事業費のうち25,273,500円については、特別交付税の措置と重複して合併補助金の交付を受けており、これに係る国庫補助金24,950,000円が過大に交付されていた。
(6) | 岡山県 | 新見市 | 地域バス対策事業 | 17、18 | 134,019 | 106,500 | 134,019 | 106,500 |
上記の事業主体は、旧市町村ごとに運行していた公営バスを、合併に伴い系統を整備して、新市の市営バスとして維持するため、運行業務を民間に委託する事業を事業費134,019,739円で実施して、合併補助金106,500,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、本件事業の事業費全額を、地方バス路線運行維持対策に要した経費として特別交付税の算定の基礎数値に含めて総務本省に報告して、その措置を受けていた。
したがって、上記の事業費全額については、特別交付税の措置と重複して合併補助金の交付を受けており、これに係る国庫補助金106,500,000円が過大に交付されていた。
(7) | 大分県 | 佐伯市 | GISの構築、情報ネットワークの整備事業 | 17、18 | 123,172 | 111,563 | 52,082 | 40,472 |
上記の事業主体は、合併後の新市の事務の効率化を図るためGIS(地理情報システム)の構築を行う事業(GISの構築)を事業費31,563,000円で実施して、同額の合併補助金の交付を受けていた。
また、行政運営の合理化及び効率化を図るため合併に関係した旧市町村の行政ネットワークを一本化するなどの事業(情報ネットワークの整備事業)を事業費91,609,450円で実施して、合併補助金80,000,000円の交付を受けていた。
しかし、事業主体は、前記のGISの構築の事業費のうち29,925,000円を、統合型地理情報システム(GIS)導入に要する経費として、また、情報ネットワークの整備事業の事業費のうち22,157,000円を、統合型地理情報システム(GIS)導入に要する経費として、特別交付税の算定の基礎数値に含めて総務本省に報告して、その措置を受けていた。
したがって、前記の事業費のうち52,082,000円については、特別交付税の措置と重複して合併補助金の交付を受けており、これに係る国庫補助金40,472,550円が過大に交付されていた。
(3)−(7)の計 | 569,499 | 522,299 | 464,106 | 416,905 |