会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)総務本省 (項)総務本省 | |
(組織)管区行政評価局 (項)管区行政評価局 | |||
部局等 | 総務本省、50管区行政評価局等 | ||
第三者委員会の概要 | 年金記録の確認について、社会保険庁側に年金保険料の納付記録がなく、本人も領収書等の物的な証拠がない場合に、関連資料を調査検討して、記録訂正に関する判断を示すことを任務とする委員会 | ||
第三者委員会の運営経費 | 21億9583万余円 | (平成19年度) | |
上記のうち本来経理するための「目」ではない「目」から支出したとして経理していた経費の額 | 8億0982万円 |
総務省は、年金記録確認第三者委員会令(平成19年政令第186号)等に基づき、年金記録の訂正に関して、平成19年6月に総務本省に年金記録確認中央第三者委員会(以下「中央委員会」という。)を、同年7月に50管区行政評価局等(注1)
に年金記録確認地方第三者委員会(以下「地方委員会」という。また、中央委員会と地方委員会とを合わせて「第三者委員会」という。)をそれぞれ設置している。第三者委員会は、年金記録の確認について、社会保険庁側に年金保険料の納付記録がなく、本人も領収書等の物的な証拠がない場合に、関連資料を調査検討して、記録訂正に関する判断を示すことを任務としている。
そして、総務省は第三者委員会を運営するために、表1のとおり、非常勤職員に対する手当、備品の購入費等の経費を支出しており、19年度に要した運営経費は計2,195,837,612円となっている。
表1 | 第三者委員会の運営経費 | (単位:円) |
経費の内容 | 総務本省 (項)総務本省 |
50管区行政評価局等 (項)管区行政評価局 |
計 |
職員に対する超過勤務手当 | − | 3,686,381 | 3,686,381 |
委員に対する手当 | 20,108,800 | 212,162,400 | 232,271,200 |
非常勤職員に対する手当 | 129,357,637 | 786,669,017 | 916,026,654 |
年金記録に関する講義等の謝金 | 1,763,800 | 7,300 | 1,771,100 |
職員の旅費 | 6,390,120 | 24,936,904 | 31,327,024 |
委員等の旅費 | 2,225,980 | 17,124,001 | 19,349,981 |
参考人の旅費 | 305,510 | 414,489 | 719,999 |
備品の購入費等 | 135,278,311 | 498,816,063 | 634,094,374 |
情報処理費 | 192,684,080 | − | 192,684,080 |
事務室の借上費 | 88,934,051 | 60,468,118 | 149,402,169 |
行政相談委員に対する実費弁償金 | − | 14,504,650 | 14,504,650 |
合計 | 577,048,289 | 1,618,789,323 | 2,195,837,612 |
これらの運営経費の予算執行に当たっては、財政法(昭和22年法律第34号)等に定められた手続により行うこととされており、同法第33条第2項によれば、財務大臣の承認を経なければ「目」の間において流用することができないこととされている。
本院は、合規性等の観点から、財政法等に基づき適正に経理されているかに着眼して、第三者委員会の運営経費について、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき本院に提出された計算書、証拠書類等を検査するとともに、総務本省及び10管区行政評価局等(注2) において会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
すなわち、総務本省は、中央委員会を運営するための経費として、表1のとおり、19年度に(項)総務本省から計577,048,289円を支出したとして経理していた。これらの経費のうち、事務室の借上費等の支払について、19年8月から20年2月までの間に、表2のとおり、本来これらの経費の支払を経理するための「目」ではない(目)庁費等から計103,253,394円を支出したとして経理していた。
経費の内容 | 左の経費を支出したとして経理していた「目」 | ||
(目)委員等旅費 | (目)政策評価業務庁費 | (目)庁費 | |
参考人の旅費 | 174,800 | − | − |
非常勤職員に対する手当 | − | 36,481,149 | − |
事務室の借上費 | − | − | 66,597,445 |
計 | 103,253,394 |
また、50管区行政評価局等は、地方委員会を運営するための経費として、表1のとおり、19年度に(項)管区行政評価局から計1,618,789,323円を支出したとして経理していた。これらの経費のうち、非常勤職員に対する手当や備品の購入費等の支払について、19年6月から20年1月までの間に、表3のとおり、本来これらの経費の支払を経理するための「目」ではない(目)職員基本給等から計706,572,558円を支出したとして経理していた。
経費の内容 | 左の経費を支出したとして経理していた「目」 | ||
(目)職員基本給 | (目)行政評価旅費 | (目)庁費 | |
委員に対する手当 | 87,628,800 | − | − |
非常勤職員に対する手当 | 318,746,560 | − | − |
年金記録に関する講義等の謝金 | 7,300 | − | − |
職員の旅費 | 5,078,684 | 7,946,300 | − |
委員等の旅費 | 7,698,317 | 149,684 | − |
参考人の旅費 | 113,792 | − | − |
備品の購入費等 | 248,619,168 | − | − |
事務室の借上費 | 29,782,176 | − | 801,777 |
小計 | 697,674,797 | 8,095,984 | 801,777 |
計 | 706,572,558 |
このように、総務本省及び50管区行政評価局等が、19年6月から20年2月までの間に、第三者委員会の運営経費合計809,825,952円について、本来これらの経費の支払を経理するための「目」ではない(目)職員基本給等から支出したとして経理していたことは、財政法第33条第2項により、「目」の間において流用するには財務大臣の承認が必要であるとされている規定に照らして適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
なお、地方委員会の運営経費については、20年1月8日に「目」間の流用が承認されて、同日に予備費の使用が閣議決定された。また、中央委員会の運営経費については、同年2月6日に「目」間の流用が承認された。そして、総務省は、(目)職員基本給等から支出したとして経理していた非常勤職員に対する手当等計809,825,952円について、これらの「目」間の流用や予備費の使用により、本来これらの経費の支払を経理するための「目」にそれぞれ科目更正していた。
このような事態が生じていたのは、総務省において、第三者委員会を年度途中に急きょ設置した際に、その運営経費に係る処理方針等がなかったために、その経費を適正に経理して支弁するための適切な対応が速やかに執られなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、総務省は、20年9月に、年度途中に急きょ設置された組織等の運営経費が多額に上るような場合に、速やかに一定の運営経費の見積りを行い、財政当局との協議を行うこととする旨の処理方針を会計課長名で決定して、直ちに適切な「目」からの支出を行うことの趣旨の徹底を図った。
50管区行政評価局等 北海道、東北、関東、中部、近畿、中国四国、九州各管区行政評価局、四国行政評価支局、青森、岩手、秋田、山形、福島、茨城、栃木、群馬、千葉、東京、神奈川、新潟、山梨、長野、富山、石川、岐阜、静岡、三重、福井、滋賀、京都、兵庫、奈良、和歌山、鳥取、島根、岡山、山口、徳島、愛媛、高知、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島、沖縄各行政評価事務所、函館、旭川、釧路各行政評価分室
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10管区行政評価局等 関東、中部両管区行政評価局及び東京、神奈川、富山、石川、岐阜、兵庫、奈良、和歌山各行政評価事務所
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