会計名及び科目 | 登記特別会計 | (項)事務取扱費 |
部局等 | 松江地方法務局 | |
契約名 | 地図等改製数値化作業請負 | |
契約の概要 | 平成18年度に、登記所に備え付けている地図及び地図に準ずる図面の土地の地番、区画等に関する情報を電子化したり、地図に準ずる図面の座標値を公共座標値に変換したりなどする作業を請け負わせるもの | |
契約の相手方 | 国土情報開発株式会社 | |
契約 | 平成18年8月 随意契約 | |
契約額 | 70,140,000円 | |
割高になっている契約額 | 4,600,000円 |
全国の法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下、これらを「登記所」という。)は、不動産登記法(平成16年法律第123号。以下「法」という。)等に基づき、不動産に関する登記事務等を処理している。そして、登記所は、土地について登記簿と現地との関係を明らかにするために、法第14条第1項に規定されている地図(以下「14条地図」という。)を備え付けることとされている。この14条地図は、各土地の区画を明確にして地番を表示するものとされており、測量法(昭和24年法律第188号)に基づく三角点、基準点等を基礎として正確に測量している(以下、測量した結果の値を「公共座標値」という。)ことから、現地においてその土地の位置及び区画を明確に表示できる能力(以下「現地復元能力」という。)を有している。
また、登記所は、14条地図が備え付けられるまでの間、これに代えて14条地図に準ずる図面(以下「準地図」という。)を備え付けることができることとされている。この準地図は、土地の位置、形状及び地番を表示して、その土地の相対的な位置関係を表示する機能は有するものの、区画を明確に表示するまでの精度を有していないことから、公共座標値を持たず、現地復元能力を有していない。
法務省は、平成18年度から22年度までに、逐次、いずれの登記所でも全国の14条地図や準地図に関する情報を取得できる機能等を有する地図情報システムを、全国の登記所に導入することとしている。
そのため、全国の各法務局及び地方法務局は、管内の登記所に備えている14条地図及び準地図の土地の地番、区画等に関する情報をDVD−RAM等に記録(以下「電子化」という。)したり、公共座標値を有しない準地図の座標値を変換プログラムにより公共座標値に変換(以下「公共座標値変換」という。)したりなどする地図等改製数値化作業を行っている。
松江地方法務局は、18年度の地図等改製数値化作業の請負契約を、18年8月に、随意契約により、国土情報開発株式会社と契約額70,140,000円で締結している。
契約に当たって、同地方法務局は、電子化に要する費用及び公共座標値変換に要する費用を14条地図及び準地図の枚数に単価を乗じて得られる額とするなどして、予定価格を70,144,123円と積算していた。
本院は、松江地方法務局において、上記の契約を対象として、経済性等の観点から予定価格の積算が適切に行われているかに着眼して、会計実地検査を行った。そして、契約書、仕様書、予定価格積算内訳書等の書類により検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
すなわち、松江地方法務局は、公共座標値変換に要する費用について、対象枚数を準地図の5,736枚に14条地図の8,338枚を加えた14,074枚として、これに単価を乗ずるなどして算出していた。
しかし、前記のとおり、公共座標値変換の作業を行うのは、公共座標値を有しない準地図についてのみであり、このことは本件契約の仕様書にも明示されている。このため、14条地図については公共座標値変換の作業を行わないことから、正しくは準地図の枚数5,736枚により積算すべきであったと認められる。したがって、本件地図等改製数値化作業請負契約の予定価格を修正計算すると65,500,525円となり、本件契約額70,140,000円はこれに比べて約460万円割高になっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、松江地方法務局において、予定価格の積算に当たり、作業の内容と積算内容との照合が十分でなかったことによると認められる。