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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 文部科学省|
  • 不当事項|
  • 役務

情報の整理、解析等に係る委託業務の実施に当たり、部分休業制度を利用した職員の給与の減額分を委託費に含めていたため、委託費の支払額が過大となっているもの


(39) 情報の整理、解析等に係る委託業務の実施に当たり、部分休業制度を利用した職員の給与の減額分を委託費に含めていたため、委託費の支払額が過大となっているもの

会計名及び科目 (1) 一般会計 (組織)文部科学本省
(項)原子力平和利用研究促進費
(2) 電源開発促進対策特別会計(電源利用勘定)
(項)電源利用対策費
部局等 文部科学本省
契約名 (1) 保障措置に関する情報処理業務(平成16年度〜18年度)
(2) 大型MOX燃料加工施設保障措置試験研究(平成17、18両年度)
契約の概要 (1) 核兵器の不拡散に関する条約下における国内保障措置に資するために、国際規制物資の使用に関する情報を整理及び解析するもの
(2) 大型MOX燃料加工施設に最適な保障措置システムの適用を図るために、保障措置機器の配置や仕様等の検討を行うもの
契約の相手方 財団法人核物質管理センター
契約 (1) 平成16年4月ほか随意契約
(2) 平成17年4月ほか随意契約
支払額 (1) 913,726,500円 (平成16年度〜18年度)
(2) 138,762,598円 (平成17年度〜19年度)
1,052,489,098円
過大になっている支払額 (1) 2,442,387円 (平成16年度〜18年度)
(2) 106,944円 (平成17年度〜19年度)
2,549,331円

1 委託業務の概要

(1) 委託業務の概要

 文部科学本省(以下「本省」という。)は、平成16年度から18年度までの各年度に、核兵器の不拡散に関する条約(昭和51年条約第6号)下における国内保障措置(注1) の実施等に資するために、国際規制物資の使用に関する情報を整理及び解析する「保障措置に関する情報処理業務」(以下「情報処理業務」という。)を、随意契約により、財団法人核物質管理センター(以下「センター」という。)に委託して実施している。
 また、17、18両年度に、大型MOX(注2) 燃料加工施設に最適な保障措置システムの適用を図るために、保障措置機器の配置や仕様等の検討を行う「大型MOX燃料加工施設保障措置試験研究」(以下「試験研究業務」という。)を、随意契約により、センターに委託して実施している(以下、「情報処理業務」と「試験研究業務」を合わせて「情報処理業務等」という。)。

(注1)
 保障措置  核物質が平和目的だけに利用され、核兵器やその他の核爆発装置に転用されないことを担保するために行われる検認活動
(注2)
 MOX  Mixed−Oxideの略で、ウランとプルトニウムの混合酸化物

(2) 委託費の算出方法

 センターは、本件委託契約の締結に当たり、情報処理業務等に要する人件費、電子計算機諸費等の経費を積み上げるなどして委託業務計画書等を作成しており、これらの経費のうち人件費については、情報処理業務等に従事する予定の職員に支払う給与等の月額に予定の月数を乗ずるなどして算出している。そして、本省は、センターから委託業務計画書等の提出を受けて、その妥当性を審査して契約額等を決定している。

(3) 委託費の支払

 本省がセンターとの間で締結した委託契約によると、センターは、情報処理業務等が完了した場合には、各業務の結果及び収支決算を記載した委託業務完了報告書等を提出することとされている。センターは、委託業務完了報告書等を作成する際に、人件費について、委託管理部門が作成した委託に係る人件費を管理するための人件費算出プログラム(以下「委託人件費プログラム」という。)により、情報処理業務は計381,295,352円、試験研究業務は計88,657,056円と算定している。
 そして、本省は、委託業務完了報告書等の内容が適正であるとして、委託費の額を、情報処理業務については計913,726,500円、試験研究業務については計138,762,598円で確定して、同額を支払っている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、本省及びセンターにおいて、合規性、経済性等の観点から、情報処理業務等に要した経費が適正に算定されているかなどに着眼して、本件委託契約について、委託契約書、委託業務完了報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、本件情報処理業務等に従事した職員の中に、1日の勤務時間の一部について勤務しない部分休業の制度を利用した短時間勤務の職員(以下「時短勤務職員」という。)が含まれていた。
 そして、時短勤務職員については、センターの給与規程に基づき給与が減額されて支給されていた。
 しかし、委託人件費プログラムにおいては、時短勤務職員の給与の減額分が反映されることにはなっておらず、委託業務完了報告書等に計上された人件費は、その減額分だけ過大に算定される結果となっていた。
 したがって、時短勤務職員について減額後の給与を適用して、情報処理業務等に実際に要した人件費を算定すると、情報処理業務は計378,980,072円、試験研究業務は計88,521,518円となる。そして、これに基づいて、本件情報処理業務等について適正な委託費を計算すると、情報処理業務は911,284,113円、試験研究業務は138,655,654円、計1,049,939,767円となり、前記委託費の支払額との差額2,442,387円、106,944円、計2,549,331円が過大に支払われていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、センターにおいて、給与を管理する部門と本件委託業務を管理する部門との連携が十分でなかったこと、本省において、委託業務完了報告書等に対する調査及び確認が十分でなかったことなどによると認められる。