会計名及び科目 | 一般会計 (組織)文部科学本省 (項)私立学校助成費 | |
部局等 | 2県 | |
補助の根拠 | 私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号) | |
補助事業者 (事業主体) |
2県 | |
補助事業 | 私立高等学校等経常費助成費補助 | |
補助事業の概要 | 私立の小学校、中学校、高等学校等の専任教職員給与費等の経常的経費を補助する都道府県に対して、その一部を国が補助するもの | |
上記に対する国庫補助金交付額の合計 | 12,941,828,000円 | (平成14、16、18、19各年度) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 5,431,000円 | (平成14、16、18、19各年度) |
私立高等学校等経常費助成費補助金(以下「補助金」という。)は、私立学校振興助成法(昭和50年法律第61号)に基づき、都道府県が、私立の小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び幼稚園(以下「私立学校」という。)の専任教職員給与費等の経常的経費を補助する場合に、その一部を国が補助するものである。この補助金は、私立学校の教育条件の維持及び向上並びに私立学校に在学する児童、生徒又は幼児(以下「生徒等」という。)に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに私立学校の経営の健全性を高めることを目的として交付されるものである。
補助金の額は、私立高等学校等経常費助成費補助金(一般補助)交付要綱(昭和51年文部大臣裁定。以下「交付要綱」という。)等に基づき、各都道府県が、小学校、中学校等の学校の区分及び全日制・定時制等の課程の区分(以下「学校等の区分」という。)ごとに次の算式により算定した額の合計額となっている。
上記算式の「生徒等1人当たりの国庫補助単価」は、次のア及びイを合算したものである。
ア 学校等の区分ごとの生徒等1人当たりの都道府県の助成額を基に算定した都道府県ごとの生徒等1人当たりの補助単価(以下「基本国庫補助単価」という。)
イ 情報教育の推進を図るなど交付要綱に定められた特定の事由に該当する施策を行っている私立学校に対して都道府県が特別な助成をしている場合に、基本国庫補助単価に加算される学校等の区分別、特定の事由別に算定した額(以下「加算単価」という。)の合計
そして、この加算単価の制度は国が特定の事由の定着を政策的に誘導するためのもので、交付要綱及び「平成14年度私立高等学校等経常費助成費補助金(一般補助)の配分方法について(通知)」(平成14年文部科学省高等教育局私学部私学助成課長通知)等によれば、加算単価の対象となる特定の事由には、次表に掲げるものなどがある。
加算単価の対象となる特定の事由 | 内容 |
レンタル又はリース方式による教育用コンピュータ等整備の推進 | 教育用コンピュータ等をレンタル又はリース方式により整備するもの |
教員の能力開発及び資質向上の促進 | 現職教員の大学院修士課程への派遣、各種研修事業への派遣(新学習指導要領への対応)等を行うもの |
ティーム保育の推進 | 幼稚園において複数の教員が学級の担任となるなどティーム保育の推進を図るもの |
情報処理技術者等の活用 | 授業の補助や教員の教材作成等に対して補助・助言等を行う情報処理技術者等を活用するもの |
この加算単価は、文部科学省が、学校等の区分別、加算単価の対象となる特定の事由別に、年度ごとに定めた全国一律の生徒等1人当たりの配分単価を基に、都道府県ごとに次のとおり算定することとなっている。
そして、上記の算式における「学校等の区分ごとの加算単価の対象となる生徒等数」は、加算単価の対象となる特定の事由に該当する施策を行っている私立学校に対して、都道府県が特別な助成をしている場合の当該私立学校の生徒等数とされている。
本院は、本件補助金について、加算単価の対象とならない生徒等数を含めて加算単価を算定していたため補助金が過大に交付されていた事態について、平成16年度決算検査報告では不当事項として、平成17年度決算検査報告では本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として、それぞれ掲記したところである。
文部科学省は、本院の指摘を踏まえて、平成18年11月に、本院が検査を実施していなかった14県に対して依頼文書を発して、文部科学省において処置を講ずる前の13年度から17年度の本件補助金の加算単価について申請内容の見直しを行い、誤りがある場合には報告するよう要請した。
そして、本院は、上記の見直しが本院の指摘の趣旨を踏まえて適切に行われているかを確認するために、19年次の検査では、合規性等の観点から、上記の14県のうち10県について見直しが正確に行われていたかに着眼して検査を実施した。その結果、報告には記載のない誤りがあるなどしたため県の見直し結果による過大交付額を除いても、なお補助金が過大に交付されていた事態について、平成18年度決算検査報告に不当事項として掲記したところである。
本院は、19年次に引き続いて、前記14県のうち19年次には検査を実施していなかった兵庫県等4県において、合規性等の観点から、見直しが正確に行われ補助金の返還等の措置が適切に執られているかなどに着眼して13年度から17年度までに交付された補助金の算定について、前記の依頼文書に基づく報告と事業計画書等の書類を照査することにより会計実地検査を行った。
そして、19年次に会計実地検査を行った高知県については、同様の着眼点から、検査を継続して、事実関係を確認した。
また、18、19両年度に交付された補助金の算定については、兵庫県等4県を含む21都府県において、合規性等の観点から、本件補助金についての指摘を踏まえて、加算単価の対象となる生徒等数が適正に算定されているかなどに着眼して会計実地検査を行った。
検査したところ、兵庫県及び高知県において、報告には記載のない誤りがあるなどしたため、国庫補助金5,431,000円が過大に交付されたままとなっていて不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、上記の2県において、本院の指摘を踏まえて、文部科学省から過年度の補助金の加算単価について申請内容の見直しを行うよう要請があったにもかかわらず、見直しが十分でなかったこと、また、本院の指摘にもかかわらず事業計画書の作成に当たり加算単価の対象となる生徒等数の確認が十分でなかったこと、文部科学省において、両県に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
これを県別に示すと次のとおりである。
県名 | 年度 | 国庫補助金交付額 | 不当と認める国庫補助金 | |
千円 | 千円 | |||
(50) | 兵庫県 | 16、18、19 | 12,328,211 | 2,226 |
兵庫県は、管内の私立学校の加算単価の対象としていた生徒等数に基づき、平成16年度4,020,058,000円、18年度4,235,251,000円、19年度4,072,902,000円、計12,328,211,000円の補助金の交付を受けていた。そして、16年度は、前記の依頼文書に基づく見直しの結果、誤りがなかったとしていた。
しかし、16年度における幼稚園のティーム保育の推進分に係る園児数について188園の38,654人とすべきところ、誤って、前年度の園児数を使用するなどしていたため、加算単価の対象とならない園児数67人が含まれていた。
また、見直し後に交付された補助金の算定については、18年度における中学校の情報処理技術者等の活用分に係る生徒数について2校の238人とすべきところを、誤って、前年度の生徒数を使用していたため、加算単価の対象とならない生徒数21人が含まれていたり、19年度における中学校の教員の能力開発及び資質向上の促進分に係る生徒数について16校の7,484人としていたが、その中に同県が特別な助成をしていないため加算単価の対象とならない1校の生徒数144人が含まれていたりなどしていた。
したがって、これらの加算単価の対象とならない生徒等数を除外して加算単価を算定すると加算単価がそれぞれ減少して、生徒等1人当たりの国庫補助単価も減少するなどのため、適正な国庫補助金は16年度4,019,858,000円、18年度4,234,675,000円、19年度4,071,452,000円、計12,325,985,000円となり、16年度200,000円、18年度576,000円、19年度1,450,000円、計2,226,000円が過大に交付されていた。
(51) | 高知県 | 14 | 613,617 | 3,205 |
高知県は、管内の私立学校の加算単価の対象としていた生徒等数に基づき、平成14年度613,617,000円の補助金の交付を受けていた。そして、前記の依頼文書に基づく見直しの結果、小学校の教員の能力開発及び資質向上の促進分に係る児童数の算定などに誤りがあるとしていた。
しかし、上記の誤りのほかにも、14年度における高等学校のレンタル又はリース方式による教育用コンピュータ等整備の推進分に係る生徒数について6校の3,589人としていたが、その中に同県が特別な助成をしていないため加算単価の対象とならない4校の生徒数3,351人が含まれているなどの誤りがあった。
したがって、この加算単価の対象とならない生徒数を除外して加算単価を算定すると加算単価が減少して、生徒1人当たりの国庫補助単価も減少するなどのため、適正な国庫補助金は14年度603,769,000円となり、同県の見直しの結果による過大交付額6,643,000円を除いても、なお3,205,000円が過大に交付されていた。
(50)(51)の計 | 12,941,828 | 5,431 |