会計名及び科目 | 一般会計 (組織)文部科学本省 (項)文部科学本省 | ||
部局等 | 文部科学本省 | ||
補助の根拠 | 予算補助 | ||
補助事業者 | (1) | ユネスコ・文化交流協会 (平成15年度〜18年度) | |
(2) | 財団法人日本語教育振興協会(事業主体)(平成19年度) | ||
間接補助事業者 (事業主体) |
(1) | 財団法人日本語教育振興協会(平成15年度〜18年度) | |
補助事業 | 日本語教育機関の質的向上の推進に資する事業 | ||
補助事業の概要 | 日本語教育機関の新設等に当たり審査を行う審査委員会の設置・運営等 | ||
補助対象経費 | (1) | 1億8117万余円 | (平成15年度〜18年度) |
(2) | 4386万余円 | (平成19年度) | |
計 | 2億2504万余円 | ||
上記に対する国庫補助金交付額 | (1) | 1億8117万余円 | |
(2) | 4386万余円 | ||
計 | 2億2504万余円 | ||
節減できた国庫補助金交付額 | (1) | 4382万円 | (平成15年度〜18年度) |
(2) | 802万円 | (平成19年度) | |
計 | 5184万円 |
文部科学省は、平成15年度から18年度までの毎年度、「ユネスコ活動費補助金・政府開発援助ユネスコ活動費補助金・国際文化交流促進費補助金・文化交流団体補助金・政府開発援助文化交流団体補助金(ユネスコ・文化交流協会補助)交付要綱」(昭和53年文部大臣裁定)等に基づき、ユネスコ・文化交流協会に対して、政府開発援助文化交流団体補助金を交付している。この補助金は、ユネスコ・文化交流協会が財団法人日本語教育振興協会(以下「日本語教育振興協会」という。)の実施する日本語教育機関の質的向上の推進に資する事業について補助金を交付する場合に、ユネスコ・文化交流協会に対して同額が交付されるものである。
また、文部科学省は、19年度については、「文化交流協会団体補助金・政府開発援助文化交流協会団体補助金交付要綱」(平成19年文部科学大臣決定。以下「交付要綱」という。)に基づき、上記の事業を実施する日本語教育振興協会に対して直接、当該補助金を交付している。
そして、15年度から19年度までの間に日本語教育振興協会に対して交付されたこれらの補助金の額は、計2億2504万余円となっている。
これらの補助金の補助対象経費は、日本語教育機関の質的向上の推進に資する事業に要する経費とされており、この経費には、審査委員会の実施経費が含まれている。この審査委員会の実施経費は、日本語教育振興協会が日本語教育機関の新設、定員改定等の際に教員数、校舎面積等の基準を満たしているかの審査を行い、当該基準を満たしている場合にその旨の認定を行う事業(以下「審査・認定事業」という。)に要する経費のうち、その審査を行うために審査委員会を設置して運営するための経費である。
一方、日本語教育振興協会は、審査・認定事業を実施するに当たり、実施要項を定めて、審査・認定を申請する日本語教育機関から審査料を徴収して、審査料収入により審査・認定事業を実施することを基本としている。そして、審査料収入が審査・認定事業に要する経費を下回った場合には、審査料を増額改定するなどしている。
本院は、経済性、有効性等の観点から、15年度から19年度までの間に日本語教育振興協会が実施した本件補助事業について、補助対象経費の算定が適切に行われているか、審査委員会の実施経費を補助対象とする必要があるかなどに着眼して、文部科学省、ユネスコ・文化交流協会及び日本語教育振興協会において、補助金交付申請書、実績報告書、収支計算書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
15年度以降の各年度において、審査料収入と審査・認定事業に実際に要した経費を比較したところ、次表のとおり、15年度を除き各年度とも審査料収入が審査・認定事業に要する経費を上回っていた。
表 | 審査料収入と審査・認定事業に要する経費の比較 | (単位:千円) |
年度\区分 | 審査料収入 (A) | 審査・認定事業に要する経費 (B) | 差額(A−B) |
平成15年度 | 15,390 | 17,993 | △2,603 |
16年度 | 17,570 | 14,748 | 2,821 |
17年度 | 21,740 | 17,433 | 4,306 |
18年度 | 20,195 | 19,185 | 1,009 |
19年度 | 23,540 | 20,422 | 3,117 |
計 | 98,435 | 89,783 | 8,651 |
このように、審査料収入が審査・認定事業に要する経費を上回っていることから、同事業に要する経費の一部である審査委員会の実施経費についても審査料収入で賄うことができるのに、これを補助の対象としている事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
審査委員会の実施経費を補助対象経費から除外して補助金交付額を算定すると、15年度から19年度まで計1億7319万余円となり、前記の補助金交付額計2億2504万余円を計5184万余円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、日本語教育振興協会が審査に当たって日本語教育機関から審査料を徴しているにもかかわらず、文部科学省において、審査委員会の実施経費を補助対象とする必要があるかどうかの検討を行っていなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、文部科学省は、20年8月に交付要綱を改正して、補助対象経費から審査委員会の実施経費を除外することとする処置を講じた。