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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
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  • 不当事項|
  • 役務・補助金

小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業等の実施に当たり、領収書等による支払の事実の裏付けがない経費を含めるなどしていたため、委託費の支払額及び補助金の交付額が過大となっているもの


(88) 小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業等の実施に当たり、領収書等による支払の事実の裏付けがない経費を含めるなどしていたため、委託費の支払額及び補助金の交付額が過大となっているもの

会計名及び科目 労働保険特別会計(労災勘定) (項)労働福祉事業費
部局等 厚生労働本省
〈役務〉
契約名 小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業等3事業に係る委託(平成14年度〜18年度)
契約の概要 小規模事業場の労働安全衛生水準の向上のための事業等の実施
契約の相手方 中央労働災害防止協会
契約 平成14年4月ほか 随意契約
支払額 6,307,301,006円 (平成14年度〜18年度)
過大になっている支払額 3,613,121円 (平成14年度〜18年度)
〈補助金〉
補助の根拠 労働災害防止団体法(昭和39年法律第118号)
補助事業者 中央労働災害防止協会
補助事業 労働災害防止対策事業
補助事業の概要 安全衛生管理活動等の実施
上記に対する国庫補助金交付額 7,179,636,412円 (平成14年度〜18年度)
不当と認める国庫補助金交付額 563,534円 (平成14年度〜18年度)
過大になっている委託費の支払額及び不当と認める国庫補助金交付額 4,176,655円 (平成14年度〜18年度)

1 委託事業等の概要

(1) 委託事業の概要

 厚生労働本省(以下「本省」という。)は、小規模事業場の労働安全衛生水準の向上、労働者の自殺予防に必要な相談体制の整備、知識の普及・啓発、化学物質が原因となる職業性疾病の防止に資することなどを目的として、中央労働災害防止協会(以下「協会」という。)に対して、小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業、メンタルヘルス対策の推進事業及び化学物質による労働災害防止対策事業(以下、これらを合わせて「委託事業」という。)の実施を委託している。

(2) 委託費の交付、精算等の手続

 委託事業に係る委託費の交付、精算等の手続は、「小規模事業場等団体安全衛生活動援助事業委託要綱」(平成11年4月基発第221号)等によると、おおむね次のとおりとなっている。
〔1〕  本省は、委託事業の実施に当たり、協会から委託事業実施計画書の提出を受けて、その内容が適当と認めるときは、協会との間で委託契約を締結する。そして、当該委託契約に基づき、概算払により委託費を交付する。
〔2〕  協会は、委託事業に係る経理について、その内容を明らかにするため、他の経理と区分して会計帳簿その他の証拠書類等を備え付ける。
〔3〕  協会は、各都道府県で委託事業を実施する場合、委託費の一部を各支部に交付する。そして、委託事業が終了したときは、各支部から本部へ経費精算報告書(以下「支部精算報告書」という。)を提出させて、これを基に委託事業費精算報告書(以下「精算報告書」という。)を作成して、本省に提出する。
〔4〕  本省は、協会から提出された精算報告書の内容を審査して、適当と認めるときは委託費の額を確定して精算する。
 そして、本省は、協会が平成14年度から18年度までの間に実施した委託事業について、協会から提出された精算報告書に基づき、委託費の支払額を6,307,301,006円と確定して精算している。

(3) 補助事業の概要等

 本省は、上記の委託事業のほか、労働者の安全と健康の増進を図るため、労働災害の防止を目的として組織された団体に対して、労働災害防止対策費補助金(以下「補助金」という。)を「労働災害防止対策費補助金交付要綱」(平成5年4月労働省発基第40号)等に基づき、前記委託費の交付、精算等とほぼ同様の手続により額を確定するなどして交付している。
 そして、本省は、協会に対して、14年度から18年度までの間に安全衛生管理活動等の事業に係る経費を対象として計7,179,636,412円の補助金を交付している。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、本省及び協会において会計実地検査を行い、14年度から18年度までの間に協会に支払われた委託費及び交付された補助金(以下、これらを「委託費等」という。)を対象として、合規性等の観点から、委託費等が事業の目的に沿って適正に使用されているかに着眼して、精算報告書等の書類により検査した。そして、適正でないと思われる事態があった場合には、更に本省等に調査及び報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、協会の徳島県支部における委託費等について、次のような事態が見受けられた。

ア 委託費

 消耗品等に係る経費について、領収書等による支払の事実の裏付けがないなど委託事業に要したと認められない経費を含めていたため、委託費計1,700,121円が過大に支払われていた。
 また、郵送料に係る経費について、領収書を検査したところ、職員が領収書の金額を記入していたことが判明したため、郵券の購入実績及び委託事業に係る郵送実績を確認した結果、委託費計1,913,000円が過大に支払われていた。
 このため、14年度から18年度までの間に実施した委託事業に係る適正な委託費の額は計6,303,687,885円となり、前記の委託費の支払額計6,307,301,006円との差額計3,613,121円が過大に支払われていた。

イ 補助金

 補助金計7,179,636,412円について、委託費と同様に、領収書等による支払の事実の裏付けがないなど補助対象経費とは認められない経費を含めていたため国庫補助金計563,534円が過大に交付されていた。
 したがって、委託費が過大に支払われていたり、国庫補助金が過大に交付されたりしており、委託費及び補助金の経理が適正を欠いていて、上記ア及びイの合計4,176,655円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、協会の徳島県支部において、委託事業、補助事業の適正な執行及び委託費等の適正な会計経理に関する認識が欠けていたこと、協会の本部において、支部精算報告書の内容の審査が十分でなかったこと、さらに、本省において、精算報告書の内容の審査が十分でなかったことなどによると認められる。