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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
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  • 第9 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

臨床研修費等補助金の算定において、補助の対象とはならない法人負担分の共済掛金等を補助対象事業費に含めていたため、国庫補助金が過大に交付されているもの


(99) 臨床研修費等補助金の算定において、補助の対象とはならない法人負担分の共済掛金等を補助対象事業費に含めていたため、国庫補助金が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)厚生労働本省
部局等 神奈川県
補助の根拠 予算補助
補助事業者
(事業主体)
学校法人聖マリアンナ医科大学
補助事業 臨床研修費補助事業
補助事業の概要 医師等の資質の向上を目的として、公私立大学附属病院等が行う臨床研修事業に対して、その経費の一部を補助するもの
上記に対する国庫補助金交付額 116,056,000円 (平成18年度)
不当と認める国庫補助金交付額 8,777,000円 (平成18年度)

1 補助金の概要

 臨床研修費等補助金は、医師等の資質の向上等を目的として、公私立大学附属病院等が行う医師法(昭和23年法律第201号)に基づく臨床研修事業に対してその経費の一部を国が補助するものである。
 この補助金の交付額は、次のとおり算定することとなっている。
〔1〕  臨床研修事業の種目ごとに定められた基準額と対象経費の実支出額とを病院等の施設ごとに比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕  〔1〕 により選定された額の合計額と総事業費から寄付金その他の収入額を控除した額とを施設ごとに比較して、少ない方の額を交付額とする。
 そして、上記の種目には、研修医を指導する医師の人件費等を対象とする教育指導経費と、研修医の宿日直研修事業費等を対象とする導入円滑化特別加算(以下「特別加算」という。)とがある。このうち、特別加算の基準額は、研修医に係る平均年間給与支払額等を用いて算出することとなっている。そして、研修医の平均年間給与支払額には、事業主体負担分の共済掛金、雇用保険及び労災保険料を含まないことになっている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、補助対象事業費の算定は適正に行われているかに着眼して、3府県、4市等計22事業主体において、事業実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、学校法人聖マリアンナ医科大学(以下「法人」という。)において、次のような事態が見受けられた。
 すなわち、法人は、平成18年度に実施した医師に係る臨床研修事業について、補助対象事業費118,872,000円で事業を実施したとする事業実績報告書を神奈川県に提出して、国から国庫補助金116,056,000円の交付を受けていた。
 しかし、法人は、特別加算の基準額の算定に当たり、研修医に係る平均年間給与支払額に補助の対象とはならない法人負担分の共済掛金、雇用保険料及び労災保険料を加えて算出していた。
 したがって、研修医に係る適正な18年度平均年間給与支払額を用いて国庫補助金を算定すると107,279,000円となり、国庫補助金交付額116,056,000円との差額8,777,000円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、法人において事業費の算定についての理解が十分でなかったこと、同県において法人から提出された事業実績報告書等の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。