会計名及び科目 | 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)保健衛生諸費 | |
部局等 | 岡山県 | |
補助の根拠 | 予算補助 | |
補助事業者 | 岡山県 | |
間接補助事業者 (事業主体) |
学校法人川崎学園 | |
補助事業 | 救命救急センター運営事業 | |
補助事業の概要 | 地域住民の救急医療の確保を図るために、救命救急センターを運営するもの | |
上記に対する国庫補助金交付額 | 46,503,000円 | (平成17年度) |
不当と認める国庫補助金交付額 | 7,856,000円 | (平成17年度) |
医療施設運営費等補助金(救命救急センター運営事業分)は、地域住民の救急医療の確保を目的として、重篤救急患者の医療を確保するために、初期救急医療施設、第2次救急医療施設及び救急患者の搬送機関との円滑な連絡体制の下に、都道府県知事の要請を受けた病院の開設者が行う救命救急センター(以下「センター」という。)の運営事業に対して都道府県が補助する事業に対して、その費用の一部を国が補助するなどの事業である。
このうち、都道府県が補助する事業に係る補助金の交付額は、センターごとに、次のように算定することとなっている。
〔1〕 所定の基準額と対象となる経費の実支出額(以下「実支出額」という。)とを比較して少ない方の額を選定する。
〔2〕 〔1〕 により選定された額(以下「選定額」という。)と総事業費から診療収入額及び寄付金その他の収入額を控除した額(以下「差引額」という。)とを比較して少ない方の額に3分の2を乗じて得た額と、都道府県が補助した額とを比較して少ない方の額を補助対象事業費として、これに補助率2分の1を乗じて得た額を交付額とする。
上記の総事業費及び実支出額の対象となる経費は、給与、退職金等の人件費、減価償却費等の運営経費等センターの運営実態を反映する経費となっている。ただし、建物、構築物及び医療機器等備品で、国庫補助を受けて整備したものに係る減価償却費については、対象となる経費から除くこととなっている。
本院は、合規性等の観点から、補助対象事業費の算定は適正に行われているかに着眼して、3府県15市等計18事業主体において、事業実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、岡山県知事の要請を受けて、学校法人川崎学園(以下「法人」という。)が、自ら運営している川崎医科大学附属病院で実施したセンターの運営事業において、次のような事態が見受けられた。
すなわち、法人は、平成17年度に、上記センターの運営事業について、選定額と差引額とを比較して、選定額139,509,000円が少ない方の額であるとして、岡山県から県補助金の交付を受けて、同県に実績報告書を提出していた。そして、同県は、選定額に3分の2を乗ずるなどして補助対象事業費を93,006,000円として、これに対する国庫補助金46,503,000円の交付を受けていた。
しかし、法人は、差引額の算定に当たり、国庫補助を受けて整備した建物、構築物及び医療機器に係る減価償却費を対象となる経費に含めていて、総事業費に減価償却費を過大に計上するなどしていたため、差引額が過大となっていた。
したがって、適正な差引額を算定すると115,942,163円となり、選定額を下回ることから、これにより補助対象事業費を算定すると計77,294,000円となり、補助対象事業費が過大に精算されていた。そして、適正な補助対象事業費に基づき国庫補助金を算定すると計38,647,000円となり、交付額との差額計7,856,000円が過大となっていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、法人において補助制度の内容についての理解が十分でなかったこと、岡山県において法人から提出された事業実績報告書の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。
上記の事態については、厚生労働省は、従来発生防止に取り組んでいるところであるが、さらに、同省において、事務処理の適正化について補助事業者等への指導を徹底するとともに、都道府県における実績報告等に係る審査等の強化を図る必要があると認められる。