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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第9 厚生労働省|
  • 不当事項|
  • 補助金

障害者医療費国庫負担金の算定において、負担金の対象とならない事業費を国庫負担対象事業費に含めていたため、国庫負担金が過大に交付されているもの


(211) 障害者医療費国庫負担金の算定において、負担金の対象とならない事業費を国庫負担対象事業費に含めていたため、国庫負担金が過大に交付されているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)厚生労働本省 (項)障害者自立支援給付諸費
部局等 大阪府
国庫負担の根拠 障害者自立支援法(平成17年法律第123号)
補助事業者
(事業主体)
堺市
障害者医療費国庫負担金の概要 自立支援医療を受けた障害者等に対して、都道府県又は市町村が自立支援医療費を支給した場合に、その支給に要する費用の一部を負担するもの
上記に対する国庫負担金交付額 591,420,839円 (平成18年度)
不当と認める国庫負担金交付額 5,241,587円 (平成18年度)

1 負担金の概要

 障害者医療費国庫負担金(以下「負担金」という。)は、医療機関から自立支援医療を受けた障害者又は障害児(以下「障害者等」という。)に対して、都道府県又は市町村(特別区を含む。以下同じ。)が自立支援医療費を支給した場合等に、その支給に要する費用の一部を国が負担するものである。
 自立支援医療は、平成18年4月の障害者自立支援法(平成17年法律第123号)等の施行により、改正前の児童福祉法(昭和22年法律第164号)における育成医療(注1) 、身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)における更生医療(注2) 、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)における精神通院医療(注3) が統合・再編されたもので、障害者等は医療の種類ごとに都道府県又は市町村による支給認定を受けて、同年同月以降に自立支援医療を受けた場合に、自立支援医療費が支給される。
 なお、同年3月までに医療機関により障害者等に対して行われた更生医療等に要した経費については、身体障害者福祉法等の規定により身体障害者保護費国庫負担金等の交付対象となっている。

(注1)
 育成医療  児童福祉法第4条に規定する障害児(身体に障害のある者に限る。)の健全な育成を図るため、当該障害児に対して行われる生活の能力を得るために必要な医療
(注2)
 更生医療  身体障害者福祉法第4条に規定する身体障害者の自立と社会経済活動への参加の促進を図るため、当該身体障害者に対して行われるその更生のために必要な医療
(注3)
 精神通院医療  精神障害の適正な医療の普及を図るため、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律第5条に規定する精神障害者に対して、当該精神障害者が病院又は診療所へ入院することなく行われる精神障害の医療

 そして、負担金の交付額については、所定の方式によって算定した基準額(以下「基準額」という。)と、自立支援医療費の支給に要する費用(以下「対象経費の実支出額」という。)から寄付金その他の収入額を控除した額(以下「差引額」という。)とを比較して少ない方の額を選定して、これに補助率100分の50を乗じて得た額とすることとなっている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、合規性等の観点から、負担金の交付額の算定が適切に行われているかに着眼して、24都道府県の67市区町において、事業実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、堺市において、次のような事態が見受けられた。
 すなわち、同市は、18年度の負担金の交付額の算定に当たり、対象経費の実支出額、差引額、基準額がいずれも同額であるとして、負担金を591,420,839円と算定してその交付を受けていた。
 しかし、同市は、自立支援医療のうち、更生医療の対象経費の実支出額62,211,403円の算定に当たり、負担金の対象経費とはならない18年3月に障害者等に対して行われた更生医療に要した経費10,483,175円を計上しており、そのため負担金の交付額が過大に算定されていた。
 なお、同市は、上記18年3月分の更生医療の経費について、身体障害者保護費国庫負担金の対象経費として別途計上していた。
 したがって、負担金の対象経費とならない18年3月に障害者等に対して行われた更生医療に要した経費10,483,175円を対象経費の実支出額から控除して適正な負担金交付額を算定すると586,179,252円となり、交付額591,420,839円との差額5,241,587円が過大に交付されていて不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、同市において対象経費の実支出額の算定について計数等の確認が十分でなかったこと、厚生労働省において適正な事務処理の執行についての指導が十分でなかったことなどによると認められる。