会計名及び科目 | 労働保険特別会計(雇用勘定) (項)雇用安定等事業費 | ||
部局等 | 厚生労働本省 | ||
補助の根拠 | 雇用保険法(昭和49年法律第116号) | ||
補助事業者 | (1) 中央職業能力開発協会(事業主体) | ||
(2) 栃木県、福井県 | |||
間接補助事業者 (事業主体) |
(2) 栃木県職業能力開発協会、福井県職業能力開発協会 | ||
補助事業 | 技能向上対策事業 | ||
補助事業の概要 | 雇用保険の被保険者等の職業能力の開発及び向上を促進するために、職業訓練、職業能力検定等に関する事業を実施するもの | ||
上記に対する国庫補助金交付額 | (1) | 4,165,256,642円 | (平成14年度〜18年度) |
(2) | 209,353,000円 | (平成14年度〜17年度) | |
計 | 4,374,609,642円 | ||
不当と認める国庫補助金交付額 | (1) | 19,497,302円 | (平成14年度〜18年度) |
(2) | 11,854,554円 | (平成14年度〜17年度) | |
計 | 31,351,856円 |
技能向上対策費補助金(以下「補助金」という。)は、雇用保険法(昭和49年法律第116号)に基づき、雇用保険の被保険者等の職業能力の開発及び向上を促進するために、中央職業能力開発協会(以下「中央協会」という。)又は都道府県職業能力開発協会(以下「都道府県協会」という。)が、職業訓練、職業能力検定等に関する事業を実施する場合に、その実施に要する経費の一部を国が補助するものである。
この補助金の補助対象経費は、役職員の人件費、一般運営費及び当該事業の実施に要する経費とされている。そして、中央協会に対する補助金の交付額は、役職員の人件費については補助対象経費全額、その他の経費については補助対象経費に2分の1を乗じて得た額の合計額とされている。また、都道府県協会に対する補助金の交付額は、〔1〕 厚生労働省職業能力開発局長が定める算定基準に基づき算定された額、〔2〕 都道府県が補助対象経費について負担した額、〔3〕 都道府県協会が実施した本件補助事業に係る支出済額から本件補助事業に係る事業収入及びその他の収入(会費収入及び寄付金収入を除く。)を控除した額に2分の1を乗じて得た額とを比較して最も少ない額とされている。
本院は、合規性等の観点から、補助対象経費の算定は適正に行われているかなどに着眼して、厚生労働本省(以下「本省」という。)、中央協会、8県(注1) 及び8都道府県協会(注2) において、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。そして、補助対象経費の算定が適正でないと思われる事態があった場合には、更に本省等に調査及び報告を求めて、その報告内容を確認するなどの方法により検査を行った。
検査の結果、中央協会、栃木県職業能力開発協会(以下「栃木県協会」という。)及び福井県職業能力開発協会(以下「福井県協会」という。)が実施した職業訓練、職業能力検定等に関する事業に係る補助対象経費が過大に精算されていて、補助金31,351,856円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、事業主体において、補助金の適正な会計経理に対する認識が十分でなかったこと、また、栃木、福井両県において、本件補助事業の審査・確認及び栃木県協会、福井県協会に対する指導がそれぞれ十分でなかったこと、さらに、本省において、本件補助事業の審査・確認及び中央協会、栃木、福井両県に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
これを補助事業者別、間接補助事業者別に示すと次のとおりである。
補助事業者 | 間接補助事業者 | 補助事業 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(681) | 中央職業能力開発協会(事業主体) | − | 技能向上対策 | 14〜18 | 5,003,442 | 4,165,256 | 38,994 | 19,497 | 精算過大 |
中央協会は、事務所の一部を本件補助事業とは関係のない社団法人A及び有限会社Bの2法人にそれぞれ事務所として使用させていたにもかかわらず、これらの2法人が負担すべき事務所借料、共益費、清掃料、電気料金及び電話料金の一部を補助対象経費に含めていたり、本件補助事業とは関係のない懇親会に係る飲食費を補助対象経費に含めていたりしていたため、補助対象経費が計38,994,610円過大に精算されていた。
したがって、適正な補助対象経費に基づいて補助金を算定すると計4,145,759,340円となり、交付額との差額計19,497,302円が過大となっていた。
(682) | 栃木県 | 栃木県職業能力開発協会(事業主体) | 技能向上対策 | 14〜17 | 475,841 | 111,972 | 12,567 | 5,741 | 精算過大 |
栃木県協会は、適正な退職手当積立金の積立額を上回る額の積立金を補助対象経費に含めていたり、本件補助事業とは関係のない総会開催時の記念品代、叙勲祝賀会祝金等の経費を補助対象経費に含めていたりなどしていたため、補助対象経費が計12,567,888円過大に精算されていた。
したがって、適正な補助対象経費に基づいて補助金を算定すると計106,230,017円となり、交付額との差額計5,741,983円が過大となっていた。
(683) | 福井県 | 福井県職業能力開発協会(事業主体) | 技能向上対策 | 14〜17 | 353,833 | 97,381 | 15,578 | 6,112 | 精算過大 |
福井県協会は、本件補助事業とは関係のない懇親会に係る飲食費、総会開催時の記念品代等の経費を補助対象経費に含めていたり、職員が出張していないのに出張したこととして不正に支払った旅費を補助対象経費に含めていたりなどしていたため、補助対象経費が計15,578,174円過大に精算されていた。
したがって、適正な補助対象経費に基づいて補助金を算定すると計91,268,429円となり、交付額との差額計6,112,571円が過大となっていた。
(681)−(683)の計 | 5,833,118 | 4,374,609 | 67,140 | 31,351 |
(注1) | 8県 岩手、宮城、栃木、新潟、石川、福井、島根、広島各県
|
(注2) | 8都道府県協会 岩手、宮城、栃木、新潟、石川、福井、島根、広島各県職業能力開発協会
|