会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)農林水産本省 | (項)北海道農地等保全管理事業費 |
部局等 | 農林水産本省 | ||
補助の根拠 | 予算補助 | ||
補助事業者 (事業主体) |
北海道 | ||
補助事業 | ため池等整備 | ||
補助事業の概要 | 水害等の災害を未然に防止するために、平成18年度に既設の頭首工に洪水吐ゲート、土砂吐ゲート等及びこれらを操作する操作盤等の製作、設置を行うもの | ||
事業費 | 64,564,500円 | ||
上記に対する国庫補助金交付額 | 35,510,475円 | ||
不当と認める事業費 | 5,007,040円 | ||
不当と認める国庫補助金相当額 | 2,753,872円 |
この補助事業は、北海道が、ため池等整備事業の一環として、浦河郡浦河町野深地区において、水害等の災害を未然に防止するために、平成18年度に、既設の頭首工に洪水吐ゲート、土砂吐ゲート等及びこれらを操作する操作盤(重量450kg)等の製作、設置を工事費64,564,500円(国庫補助金35,510,475円)で実施したものである。
上記操作盤の設置に当たっては、アンカーボルト(径12mm、長さ100mm(このうちねじ部の長さ30mm))を4本使用して操作盤を基礎コンクリートに固定することとすれば、アンカーボルトに作用する引抜力等が許容引抜力等を下回ることとなり、操作盤が地震時に移動・転倒して破損するおそれがなく安全であるとして、これにより設計して施工していた。そして、操作盤をアンカーボルトと座金付ナットで固定するに当たっては、請負業者が提出して北海道が承認した施工承認図において、アンカーボルトを基礎コンクリートに65mm埋め込み、固定金具及び座金付ナット(厚さ計23mm)を経て同ナットの上面からねじ部を12mm突き出させることとしていた(参考図1
参照)。
本院は、北海道において、合規性等の観点から、操作盤の設置が適切に施工されているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、施工承認図、安定計算書等の書類及び現地の状況を検査したところ、操作盤の設置に係る施工が次のとおり適切でなかった。
すなわち、前記のとおり、操作盤の設置については、施工承認図において、アンカーボルトを基礎コンクリートに65mm埋め込み、ねじ部の先端を座金付ナットの上面から12mm突き出させることとしていた。しかし、実際には、すべてのアンカーボルトが基礎コンクリートに65mmより深く埋め込まれていたことから、ねじ部の先端が座金付ナットの上面から突き出ておらず、座金付ナットの上面まで到達していないなどの状態となっていた(参考図2
参照)。
以上のように、本件操作盤の設置については、施工承認図と異なる施工となっており、アンカーボルトのねじ部の先端が座金付ナットの上面から突き出ていないことからアンカーボルトと座金付ナットが完全にはかみ合っておらず、地震時に座金付ナットがアンカーボルトから離脱するなどして、操作盤が移動・転倒して破損するおそれがある状態となっていた。そして、操作盤が破損した場合には、水害等の災害を未然に防止するための洪水吐ゲート等の操作に支障が生ずることとなる。
このような事態が生じていたのは、請負業者がアンカーボルトによる操作盤の固定方法についての理解が十分でないまま施工していたことにもよるが、北海道がこれに対して監督及び検査を十分に行っていなかったことなどによると認められる。
したがって、本件操作盤(工事費相当額5,007,040円)は、施工が適切でなかったため、地震時における機能の維持が確保されていない状態となっており、これに係る国庫補助金相当額2,753,872円が不当と認められる。