会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)農林水産本省 | (項)沖縄開発事業費 |
部局等 | 沖縄総合事務局 | ||
補助の根拠 | 土地改良法(昭和24年法律第195号) | ||
補助事業者 (事業主体) |
沖縄県 | ||
補助事業 | 経営体育成基盤整備 | ||
補助事業の概要 | 農業用水を確保するなどの目的で貯水池等を新設するために、平成17、18両年度に洪水吐水路工、貯水池堤体工等を施工するもの | ||
事業費 | 196,199,850円 | ||
上記に対する国庫補助金交付額 | 147,149,887円 | ||
不当と認める事業費 | 8,613,520円 | ||
不当と認める国庫補助金相当額 | 6,460,139円 |
この補助事業は、沖縄県が、経営体育成基盤整備事業の一環として、八重山郡竹富町大保良田地区(西表島所在)において、農業用水を確保するなどの目的で貯水池等を新設するために、平成17、18両年度に、洪水吐水路工、貯水池堤体工等を工事費計196,199,850円(国庫補助金計147,149,887円)で実施したものである。
同県は、貯水池が、同地区内を流れる大保良田川の中流域に築造されることから、魚類の往来への影響を考慮してその資源維持を図るために、17年度の工事において、貯水池の洪水吐等の外側に魚道(幅員1.5m)を新たに築造するなどして魚類の往来を確保するとともに、地元住民の要望等に基づき、地元住民等が魚道を上からのぞいて魚類の往来を観察できるようにするために、魚道上に鋼製のグレーチング(注)
(延長48m)を設置することとした。
また、18年度の工事の実施期間中において、貯水池の外周のうち洪水吐等の外側に魚道が設置されている区間(延長45m。以下「魚道区間」という。)については、防護柵(さく)として設置することとしていたコンクリート製の擬木柵は、その高さ1.1mが十分ではないなど安全性が確保されないおそれがあるとして、これを高さ1.6mの金属製のネットフェンスに変更する設計変更を行い、これにより施工していた。
本院は、沖縄県において、有効性等の観点から、設置した施設は効果を発揮しているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本件工事について、設計図面等の書類及び現地の状況を検査したところ、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、同県は、前記のとおり防護柵の設計変更を行っていたが、これに伴い新たに作成した設計図面において、魚道区間に係るネットフェンス(延長45m)を洪水吐等と魚道の隔壁上に設置すべきところ、誤って、魚道の外側の側壁上(参考図
参照)等に設置するとして、これにより施工していた。このため、魚道区間に係るグレーチング(延長45m)については、このネットフェンスが障害となり、地元住民等がグレーチング上に立ち入ることができず、魚道を上からのぞいて魚類の往来を観察できない状況となっていた。
このような事態が生じていたのは、同県において、グレーチングの設置目的等に対する認識が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、本件グレーチングは、ネットフェンスの設置位置を誤ったため魚類観察を行うことができないものとなっており、補助の目的を達しておらず、グレーチング及びネットフェンス(工事費相当額計8,613,520円)に係る国庫補助金相当額計6,460,139円が不当と認められる。