国産稲わら等確保促進事業の実施に当たり、補助対象数量を実績数量ではなく計画数量で算定するなどしていたため、補助金が過大に交付されているもの
(735)(736) 国産稲わら等確保促進事業の実施に当たり、補助対象数量を実績数量ではなく計画数量で算定するなどしていたため、補助金が過大に交付されているもの
会計名及び科目 |
一般会計 |
(組織)農林水産本省 |
(項)牛肉等関税財源畜産振興費 |
部局等 |
農林水産本省 |
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補助の根拠 |
予算補助 |
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補助事業者 |
全国農業協同組合連合会 |
間接補助事業者(事業主体) |
(1)
阿蘇高原粗飼料生産組合
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(2)
高岳粗飼料生産組合
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補助事業 |
国産稲わら等確保促進 |
補助事業の概要 |
粗飼料生産組合に対して、飼料用稲わら等の生産、収集及び調製を行い、畜産農家等に供給するのに要する経費について補助するもの |
事業費 |
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上記に対する国庫補助金交付額 |
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不当と認める事業費 |
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不当と認める国庫補助金交付額 |
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1 補助事業の概要
この補助事業は、国産粗飼料増産対策事業実施要綱(平成17年16生畜第4388号農林水産事務次官依命通知。平成16年度以前は国産粗飼料増産緊急対策事業実施要綱。以下「実施要綱」という。)等に基づき、粗飼料生産組合(以下「生産組合」という。)が飼料用稲わら、乾草等(以下「稲わら等」という。)の生産、収集及び調製を行い、畜産農家等に供給するのに要する経費について、全国農業協同組合連合会(以下「全農」という。)等が補助する場合に、国(16年度以前は独立行政法人農畜産業振興機構)がこの補助に要する経費を補助するものである。実施要綱等によれば、全農等は、生産組合が畜産農家等と原則として3年以上の稲わら等の生産供給契約を締結していることなどを補助の条件として、生産組合ごとに、補助金を交付することとなっている。そして、この補助金の交付額は、補助対象年度に生産組合が畜産農家等に供給した稲わら等の数量を補助対象数量として、当該補助対象数量に1kg当たりの補助金単価を乗じて算定することとなっている。
全農は、補助事業の実施に当たっては、実施要綱等の定めるところにより、農業協同組合連合会等に事業の一部を委託することができることとなっており、熊本県の阿蘇農業協同組合(以下「阿蘇農協」という。)管内の生産組合に係る補助金交付申請書、実績報告書等の各種書類の審査、稲わら等の供給量の確認等の手続は、すべて、熊本県経済農業協同組合連合会(以下「経済連」という。)及び阿蘇農協を通じて行われている。
そして、阿蘇農協管内の生産組合は、事業完了後に稲わら等の供給量等を記載した実績報告書を作成して、阿蘇農協に提出していた。提出を受けた阿蘇農協は、当該実績報告書の記載内容を審査、確認してこれを経済連に提出していた。経済連は、当該実績報告書を審査して、事業の実施状況を確認して、これを全農に提出していた。
2 検査の結果
本院は、全農及び阿蘇農協管内の10生産組合において、合規性等の観点から、補助金額は実施要綱等に基づき適正に算定されているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、10生産組合が実施した国産稲わら等確保促進事業について、実績報告書等の書類により検査したところ、阿蘇高原粗飼料生産組合及び高岳粗飼料生産組合において、次のとおり、適切とは認められない事態が見受けられた。
ア 阿蘇高原粗飼料生産組合は、17年度に、畜産農家に稲わら等を903,200kg供給したとして全農から補助金27,096,000円の交付を受けていた。
しかし、同生産組合は補助対象数量を、実績数量ではなく、補助金交付申請書に記載された計画数量で算定していた。このため、実績数量を精査したところ、補助対象となる実際の稲わら等の供給量は749,400kgであり、153,800kgが過大となっていた。
イ 高岳粗飼料生産組合は、17年度に、畜産農家等に稲わら等を857,420kg供給したとして全農から補助金25,722,600円の交付を受けていた。
しかし、同生産組合は、補助対象数量に、畜産農家等との生産供給契約が締結されていないなど補助対象とはならない数量を含めていたり、畜産農家等への販売の事実がない稲わら等の数量を含めていたりなどしていた。このため、補助対象となる実際の稲わら等の供給量は738,100kgであり、119,320kgが過大となっていた。
このような事態が生じていたのは、阿蘇高原粗飼料生産組合及び高岳粗飼料生産組合において、補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと、阿蘇農協及び経済連において、本件補助事業に対する審査及び確認が十分でなかったこと、全農において、本件補助事業の審査及び確認並びに両生産組合、阿蘇農協及び経済連に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、適正な補助金交付額を算定すると、それぞれ22,482,000円、22,143,000円となり、前記の補助金交付額との差額4,614,000円、3,579,600円、計8,193,600円(国庫補助金同額)が過大に交付されていて、不当と認められる。