会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)林野庁 | (項)林業振興費 |
部局等 | 林野庁 | ||
補助の根拠 | 予算補助 | ||
補助事業者 | 全国森林組合連合会 | ||
間接補助事業者 (事業主体) |
宮古地方森林組合 | ||
補助事業 | 緑の雇用担い手対策 | ||
補助事業の概要 | 林業就業に意欲のある若者等が林業の担い手として定着していくために必要な研修を実施する森林組合等に助成金の交付等を行う全国森林組合連合会に対して、国が補助金を交付するもの | ||
事業費 | 9,158,700円 | (平成18年度) | |
上記に対する助成金交付額 | 9,158,700円 | ||
上記に対する国庫補助金交付額 | 9,158,700円 | ||
不当と認める事業費 | 3,051,800円 | (平成18年度) | |
不当と認める助成金交付額 | 3,051,800円 | (平成18年度) | |
不当と認める国庫補助金交付額 | 3,051,800円 | (平成18年度) |
この補助事業は、林業就業に意欲のある若者等が林業の担い手として定着していくために必要な研修を実施する事業主体に助成金の交付等を行う全国森林組合連合会(以下「全森連」という。)に対して、国が補助金を交付する事業(緑の雇用担い手対策事業。以下「緑の雇用事業」という。)である。そして、全森連は同事業の実施に当たり、岩手県森林組合連合会(以下「県森連」という。)に対して、同事業の実施に関する監督、検査等を委託している。
緑の雇用事業の事業内容は研修を受ける者に対する実地研修等となっており、実地研修には基本研修と技術高度化研修がある。このうち基本研修は植付け、下刈り、間伐等林業就業に必要な基本的な技術・技能を習得させるものであり、その資格要件は林業の就業経験が通算2年未満の者であることなどとされている。
宮古地方森林組合(岩手県宮古市所在。以下「組合」という。)は、平成18年6月から19年3月までの間に、研修生4名を対象に基本研修を行うなどして緑の雇用事業を計9,158,700円で実施したとする実績報告書等を、県森連を通じて全森連に提出して、助成金9,158,700円(国庫補助金同額)の交付を受けていた。
本院は、全森連及び組合において、合規性等の観点から、研修生が資格要件を満たしているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、緑の雇用事業について、実績報告書、作業員の雇用契約書等の書類を検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、組合は前記基本研修の研修生4名について、いずれの者も林業の就業経験が通算2年未満であると申告していた。
しかし、研修生4名のうち、研修生Aは11年3月から18年3月までの間のうち通算6年9か月間、また、研修生Bは15年9月から18年3月までの通算2年7か月間それぞれ林業に従事していたので、これら2名は林業の就業経験が通算2年以上あり、基本研修を受けることが必要と認められる者には該当しない。
このような事態が生じていたのは、組合において、上記2名の林業の就業経験が2年以上あることを知りながら資格要件を満たしていると申告していたことなど緑の雇用事業の適正な実施に対する認識が欠けていたこと、全森連において、組合及び県森連に対する指導及び監督が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、前記の2名は緑の雇用事業の研修生としての資格要件を満たしていないことから助成対象とは認められず、研修生に係る事業費を適正に算定すると6,106,900円となり、前記の助成金9,158,700円との差額3,051,800円(国庫補助金同額)が過大に交付されており、不当と認められる。