会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)水産庁 | (項)水産業振興費 |
部局等 | 水産庁 | ||
助成の根拠 | 沿岸漁業改善資金助成法(昭和54年法律第25号) | ||
事業主体 | 4県 | ||
事業の内容 | 沿岸漁業従事者等に対する無利子の沿岸漁業改善資金の貸付け | ||
貸付件数 | 5件(4沿岸漁業従事者) | ||
貸付金額の合計 | 36,600,000円 | ||
不当貸付金額 | 28,031,200円 | ||
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 | 18,687,465円 |
水産庁は、沿岸漁業改善資金助成法(昭和54年法律第25号)に基づき、沿岸漁業の経営の健全な発展、漁業生産力の増大及び沿岸漁業の従事者の福祉の向上を図るために、沿岸漁業従事者等に対して沿岸漁業経営の改善等に必要な資金の貸付けを行う都道府県に対して、その貸付けに必要な資金の3分の2以内を沿岸漁業改善資金造成費補助金として交付している。
都道府県は、この補助金に自己資金等を合わせて沿岸漁業改善資金として資金を造成して、貸付けを実施している。この沿岸漁業改善資金の貸付けは、近代的な漁業技術の導入等を行う沿岸漁業従事者等に対して、その所要資金を無利子で貸し付けるもので、資金の種類ごとに、貸付限度額は原則として10万円から2000万円まで、償還期間は2年以内から10年以内までとなっている。
貸付けに当たっては、〔1〕 いわゆる釣宿等の経営を専らとしている者等は、沿岸漁業改善資金の貸付対象とはならず、沿岸漁業を営みつつ、兼業としてこれらの事業を営んでいる者は、沿岸漁業の経営に係る事業が貸付対象となること、〔2〕 機器等の据付け及び搬入は、貸付決定通知を受けてから実施すること、〔3〕 沿岸漁業改善資金の種類の一つである燃料油消費節減機器等設置資金の貸付対象機器である漁船用環境高度対応機関(注1)
(以下「エンジン」という。)で貸付対象となるのは、原則としてエンジン本体のみで、その周辺機器等は含まないことなどの条件を付している。
そして、借受者は、事業完了後に事業実施報告書を提出して、都道府県はこれに基づいて事業の実施状況を審査、確認することとなっている。
本院は、合規性等の観点から、借受者は貸付けの目的どおりに事業を実施しているか、貸付対象事業費に貸付対象外の機器等の経費を含んでいないか、これに対する道県の審査及び確認は適切に行われているかなどに着眼して、26道県及び307借受者において、事業実施報告書等の書類を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。
検査の結果、4県が実施した4借受者に対する5件36,600,000円の貸付けにおいて、借受者が、貸付対象の機器等をほとんど沿岸漁業以外の経営に使用していたり、貸付決定前に機器等の引渡しを受けていたり、機器等を貸付金額より低額で設置したりなどしていた。このため、28,031,200円の貸付けが補助の目的に沿わない結果となっており、国庫補助金相当額18,687,465円が不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、借受者が事実と相違した内容の事業実施報告を行っていたり、貸付対象となる機器等についての理解が十分でなかったりしていたこと、県の審査及び確認並びに借受者に対する指導が十分でなかったことなどによると認められる。
これを、県別・貸付先別に示すと次のとおりである。
県名 | 貸付先 | 貸付対象 | 貸付年月 | 貸付対象事業費 (同上に対する貸付金額) |
貸付対象として適切でない事業費 (同上に対する貸付金相当額) |
補助の目的に沿わない国庫補助金相当額 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(752) | 福島県 | 沿岸漁業従事者 | エンジンの設置 | 18.2 | 12,232 | 3,663 | 2,054 | 低額設置及び貸付対象外 |
(11,650) | (3,081) |
この貸付けは、エンジンを設置するために必要な資金12,232,500円の一部として、11,650,000円を貸し付けたものである。借受者は、事業実施報告書ではこのエンジンを貸付対象事業費どおりの額で設置したとしていたが、この貸付対象事業費は2,623,000円水増しされており、さらに、貸付けの対象とならない周辺機器等1,040,700円が含まれていた。
したがって、この事業についての適切な貸付金額を計算すると8,568,800円となり、本件貸付金額との差額3,081,200円が過大な貸付けとなっている。
これら3件の貸付けは、エンジン又はレーダーを設置するために必要な資金計18,768,750円(愛知県の沿岸漁業従事者の分計10,473,750円、長崎県の沿岸漁業従事者の分8,295,000円)の一部として、計18,250,000円(同計10,250,000円、同8,000,000円)を貸し付けたものである。借受者は、事業計画書では当該エンジン等を設置した漁船を主に沿岸漁業に使用するとしていたが、実際には当初からほとんど遊漁船業(注2)
に使用しており、当該漁船を使用した収入も遊漁船業によるものが大部分であった。
したがって、借受者は、当初から当該機器をほとんど沿岸漁業以外の経営に使用していたことから、貸付けの対象とならないものである。
(756) | 和歌山県 | 沿岸漁業従事者 | 漁船の購入 | 17.10 | 6,700 | 6,700 | 4,466 | 貸付対象外 |
(6,700) | (6,700) |
この貸付けは、新規に沿岸漁業を開始するに当たり、漁船を購入するために必要な資金として、平成17年8月の貸付申請を受けて、同年10月に貸付決定を行い、これに基づき6,700,000円を貸し付けたものである。借受者は、事業実施報告書では17年10月に6,700,000円で漁船を購入したとしていたが、実際には、貸付申請より前の同年2月に既に当該漁船の引渡しを受けていた。また、借受者は、購入代金を支払った当日に契約相手から2,000,000円の返金を受けていた。
したがって、貸付決定より前に当該漁船の引渡しを受けていたことから、この事業は貸付けの対象とならないものである。
(752)−(756)の計 | 37,701 | 29,132 | 18,687 | ||
(36,600) | (28,031) |