会計名及び科目 | 国営土地改良事業特別会計(平成20年4月1日以降は一般会計、食料安定供給特別会計) | |||
(項) | 土地改良事業費 | |||
(項) | 離島土地改良事業費 | |||
(項) | 土地改良事業工事諸費 | |||
一般会計 | (組織) | 農林水産本省 | ||
(項) | 農林水産本省 | |||
(項) | 海岸事業費 | |||
(項) | 農地等保全管理事業費 | |||
(組織) | 地方農政局 | |||
(項) | (項)海岸事業工事諸費 | |||
(項) | 地すべり対策事業工事諸費 | |||
部局等 | 7農政局 | |||
契約の概要 | 土地改良事業の実施等に当たり、地元関係者及び職員との連絡等のために電話回線を利用するもの | |||
契約の相手方 | 7固定電話会社 | |||
通話料の支払額 | 1億8464万余円
(平成16年度〜19年度)
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節減できた通話料 | 1735万円
(平成16年度〜19年度)
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農林水産省の各地方農政局管内の農業水利事業所、農地防災事業所等の国営土地改良事業所等(以下「事業所等」という。)は、土地改良事業の実施等に当たり、地元関係者及び事業実施現場に赴いた職員との連絡等のために、執務室等に設置されている有線式の電話(以下「固定電話」という。)及び携帯電話を使用している。このうち固定電話については、東日本電信電話株式会社、西日本電信電話株式会社、エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社、KDDI株式会社等の電話会社(以下「固定電話会社」という。)と利用契約を締結して通話料、回線使用料等の電話料金を支払っている。
固定電話の通話料については、近年、各固定電話会社が多様な割引制度等を提供しており、その概要は次のとおりとなっている。
ア 固定電話間の通話料に係る割引制度
固定電話から固定電話に電話をかける場合(以下「固定電話間」という。)については、平成13年5月から、電話をかける側の利用者(以下「発側利用者」という。)が利用したい固定電話会社をあらかじめ選択して登録する電話会社選択サービスが開始されている。これに伴い、各固定電話会社から、固定電話間の通話料に係る各種の割引制度が提供されている。
この割引制度のうちの主なものとしては、同一名義の電話回線に係る1か月の通話料が一定額を超える場合に通話料を定率で割り引くものなどがある。この割引を受けるためには、発側利用者が、適用を受けようとする電話回線を特定して、各固定電話会社に対して事前に割引の申請を行うこととなっている。
イ 固定電話から携帯電話に電話をかける場合の経済的な料金プラン
固定電話から携帯電話に電話をかける場合(以下、このことを「固定電話発携帯電話着」という。)については、16年度以降、各固定電話会社から、固定電話発携帯電話着の通話料に係る各種の経済的な料金プランが提供されている。
この料金プランのうちの主なものとしては、1分間当たりの通話料を全国一律16.5円とするものなどがある。この料金プランの適用を受けるためには、発側利用者が携帯電話へ発信する際に、固定電話会社ごとの識別番号である「00XY」を携帯電話番号の前に付することなどとなっている。
近年、携帯電話の普及に伴い、携帯電話を所持する事業所等の職員、施工業者の社員等が増加したことなどから、事業所等の日常業務においては、固定電話間だけでなく固定電話から現場の職員等の携帯電話に電話をかけることが多くなってきており、これらの電話料金の支払額は毎年度多額に上っている。
そこで、本院は、経済性等の観点から、固定電話間の通話料に係る割引制度が適切に利用されているか、固定電話発携帯電話着の通話料に係る経済的な料金プランの適用が徹底されているかなどの点に着眼して検査した。
そして、7農政局(注1)
管内の75事業所等に設置された電話回線のうち、通話料内訳等が確認できた電話回線計565回線(16年度から19年度までの間の通話料計1億8464万余円)を対象として、計算証明規則(昭和27年会計検査院規則第3号)に基づき本院に提出された証拠書類等により書面検査を実施するとともに、10事業所等において会計実地検査を行った。また、上記の10事業所等を除く65事業所等については、関係書類を農林水産本省から本院に提出させた上で検査した。
検査したところ、前記の75事業所等の電話回線計565回線のうち、64事業所等の電話回線計409回線について、次のような事態が見受けられた。
ア 固定電話間の通話料に係る割引制度の利用について
16事業所(注2) 等の電話回線計86回線については、固定電話間の通話料に係る割引の申請を行ってその適用を受けていれば、通話料の節減を図ることが可能であったと認められた。
A事業所は、平成16年度から19年度までの間に固定電話間の通話に使用されていた回線が4回線あり、これに係る通話料の支払額は計4,743,431円となっていた。
しかし、A事業所は割引の申請を行っておらず、割引制度を全く利用していなかった。
したがって、16年度から19年度までの間に、A事業所が定率の割引プランを利用したとして通話料を修正計算すると、前記の通話料計4,743,431円は計3,218,280円となり、差し引き1,525,151円が節減できたと認められた。
イ 固定電話発携帯電話着に係る経済的な料金プランの利用について
63事業所(注3) 等の電話回線計398回線については、固定電話発携帯電話着に係る経済的な料金プランの適用を受けていれば、通話料の節減を図ることが可能であったと認められた。
B事業所は、平成16年度から19年度までの間に固定電話発携帯電話着の通話に使用されていた回線が8回線あり、これに係る通話料の支払額は計480,326円となっていた。
しかし、このうち、前記の経済的な料金プランの適用を受けて支払っていた通話料は1,342円であり、通話料の総額の1%未満にとどまっている状況であった。
したがって、16年度から19年度までの間に、経済的な料金プランを利用していなかった通話の通話料478,984円について、そのプランの適用を受けていたとして通話料を修正計算すると、上記の通話料は計360,396円となり、差し引き118,588円が節減できたと認められた。
このように、各事業所等において、固定電話間及び固定電話発携帯電話着の通話料に係る割引制度等を利用することにより通話料の節減を図ることが可能であるにもかかわらず、これらの制度等を適切に利用することなく割高な通話料を支払っている事態は適切とは認められず、改善を図る必要があると認められた。
各事業所等において、通話料に係る各種の割引制度等を適切に利用したとして16年度から19年度までの通話料を修正計算すると、前記アの固定電話間の通話料計3192万余円は計2153万余円、前記イの固定電話発携帯電話着の通話料計2807万余円は計2111万余円となり、通話料の支払額をアで計1039万余円、イで計696万余円、合計1735万余円節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、各事業所等において、通話料に係る割引制度等を適切に利用することにより通話料の節減を図ることについての認識が十分でなかったこと、また、農林水産省において、各事業所等における上記の割引制度等の利用実態の把握及び利用の徹底を図るための指導が十分でなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、農林水産省は、20年8月に各地方農政局に対して通知を発して、各事業所等において固定電話間及び固定電話発携帯電話着の通話料に係る割引制度等を適切に利用することにより通話料の節減を図るよう周知徹底するとともに、今後新たに提供される割引制度等も含めこれらの制度等の適切な利用の徹底を図るための指導を強化するなどの処置を講じた。