会計名及び科目 | (1) | 一般会計 | (組織) | 経済産業本省 | (項) | 経済産業本省 |
(項) | 経済協力費 | |||||
(項) | 産業技術振興費 | |||||
(項) | 情報処理振興対策費 | |||||
(2) | 一般会計 | (組織) | 中小企業庁 | (項) | 中小企業対策費 | |
部局等 | (1) | 経済産業本省 | ||||
(2) | 中小企業庁 | |||||
契約名 | (1) | サービス産業構造改革推進調査等11件の調査業務に係る委託(平成14年度〜19年度) | ||||
(2) | 中小企業における少子化対応経営の現状と課題に関する調査等2件の調査業務に係る委託(平成17、18両年度) | |||||
契約の概要 | (1) | 企業の子育て支援策の評価体系及び企業の取組推進のための施策に関する調査研究等 | ||||
(2) | 少子化対策の取組企業に対するヒアリング、関連制度の分析及び中小企業に対する意識調査等 | |||||
契約の相手方 | 株式会社富士通総研 | |||||
契約 | (1) | 平成18年8月ほか 随意契約 | ||||
(2) | 平成18年7月ほか 随意契約 | |||||
支払 | (1) | 平成19年4月ほか | ||||
(2) | 平成19年4月ほか | |||||
支払額 | (1) | 計 | 138,345,782円 | (平成14年度〜19年度) | ||
(2) | 計 | 78,573,642円 | (平成17、18両年度) | |||
合計 | 216,919,424円 | |||||
過大になっている支払額 | (1) | 計 | 27,325,335円 | (平成14年度〜19年度) | ||
(2) | 計 | 64,364,177円 | (平成17、18両年度) | |||
合計 | 91,689,512円 |
経済産業本省は、平成14年度から19年度までの間に、企業の子育て支援策の評価体系及び企業の取組推進のための施策に関する調査研究等の11件の調査業務を、株式会社富士通総研(以下「総研」という。)に委託しており、委託費として計138,345,782円を支払っている。また、中小企業庁は、17、18両年度に、少子化対策の取組企業に対するヒアリング、関連制度の分析及び中小企業に対する意識調査等の2件の調査業務を、総研に委託しており、委託費として計78,573,642円を支払っている。
経済産業本省及び中小企業庁は、委託契約において、その支払額については、委託業務に従事する研究員等の人件費、事業費等の経費の区分ごとに定めた上限額の範囲内で委託業務の実施に要した経費の額を確定することとしている。このうち、人件費については、受託者の受託単価規程等に基づく時間単価に、実際に委託業務に従事した時間数を乗じて算出することとしている。そして、受託者において、委託業務に従事した者の出勤状況及び委託業務に従事した時間をそれぞれ証明するに足る出勤簿、業務日誌等の書類を日々作成しなければならないこととしている。
また、会計法(昭和22年法律第35号)等の規定により、契約担当官等は給付の完了の確認をするために必要な検査をして、当該検査を完了しなければ支払をすることができないこととされている。
そして、経済産業本省及び中小企業庁は、総研から提出された実績報告書に基づき、現地調査等により、委託事業の成果が委託契約書の内容に合致しているか確認するとともに、対象経費に係る証ひょう類を確認することなどにより、委託費の額を確定することとしている。
本院は、経済産業本省、中小企業庁及び総研において、合規性等の観点から、委託業務が委託契約等に基づき適切に実施されて、その経理及び委託業務に要したとする経費は適正かなどに着眼して、経済産業本省及び中小企業庁が14年度から19年度までの間に総研に委託して実施した前記の13契約を対象として、実績報告書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、委託費が適切に支払われていない事態が次のとおり見受けられた(各契約には重複している事態がある。)。
〔1〕 委託業務に従事していない者等の人件費が委託費に含まれていたもの 9契約
〔2〕 実際に支払っていない事業費等が委託費に含まれていたもの 13契約
〔3〕 委託契約の納入物が給付の完了検査時に提出されていないのに給付の完了を確認したとして委託費を支払っていたもの 7契約
上記の事態について事例を示すと、次のとおりである。
中小企業庁は、平成18年度に、総研に対して、「中小企業における少子化対応経営の現状と課題に関する調査」として、(ア)少子化に対応した経営を行っている中小企業に対するヒアリングの実施及び仕事と育児を両立しやすい職場環境整備等を通じて業績を向上させている中小企業の事例調査、(イ)ヒアリング調査結果を基にしたダイジェスト版パンフレット5万部の作成及び配布、(ウ)中小企業が少子化に対応した経営を行うに当たって活用できる国内外の既存の関連諸制度の調査・分析、制度の利用手続フローの取りまとめなどを委託して、調査報告書等を作成するために要した経費として53,693,667円を支払っている。
しかし、実際には、委託業務に従事したとして人件費を計上している8名中7名は本件事業に全く従事していなかった。残る1名については、総研が同時期に受託している別の事業にも同じ日に従事したこととなっているなど、業務日誌の内容からは本件委託業務に従事したことが確認できないものとなっていた。
また、事業費に計上した外注費については、完了期限内には外注業務の実施も支払も行われていなかったり、虚偽の納品書等により支払って、総研の発注先に資金を預けておき、完了期限後に実施した当該委託業務に係る費用に充当したり、本件業務とは関係のない研究に使用したりなどしていた。
さらに、中小企業庁は、調査報告書等について、給付の完了検査時に完成していないのに、支払額の確定を行い委託費を支払っていた。なお、その後提出された調査報告書等の内容は、前記(ア)及び(イ)のみのもので契約書の内容を満たしているものとはなっていなかった。
このような事態が生じていたのは、総研において委託業務の適正な実施に対する基本的な認識が不足していたため事実と相違した内容の実績報告を行っていたこと、また、経済産業本省及び中小企業庁において、会計法令等に対する基本的な認識が不足していたこと、委託費の額を確定する際の実績報告書の内容の審査・確認が十分でなかったことなどによると認められる。
したがって、適正に支払われた経費の額に基づき委託費の支払額を算定すると次表のとおり計125,229,912円となり、前記の委託費の支払額との差額計91,689,512円が過大となっていて、不当と認められる。
表 中小企業における少子化対応経営の現状と課題に関する調査等13契約における過大な支払額
(単位:円)