会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)国土交通本省 | (項)港湾事業費 |
部局等 | 北海道開発局 | ||
交付の根拠 | 予算補助 | ||
交付金事業者 (事業主体) |
北海道稚内市 | ||
交付金事業 | 稚内港みなと振興交付金 | ||
交付金事業の概要 | ふ頭用地内に駐車場を整備するために、貸し付けていたふ頭用地に建設されていた倉庫の移転補償を行うもの | ||
事業費 | 49,977,000円 | ||
上記に対する交付金交付額 | 17,331,378円 | ||
不当と認める事業費 | 49,977,000円 | ||
不当と認める交付金交付額 | 17,331,378円 |
この交付金事業は、港湾管理者である北海道稚内市が、みなと振興交付金事業の一環として、国際フェリーターミナルを整備することに伴い、ターミナル利用者の駐車場を確保するために、平成19年度に、稚内港中央ふ頭地区に所在しているコンクリートブロック造り平屋建ての倉庫799.2m2
の移転に伴う補償を49,977,000円(交付金17,331,378円)で実施したものである。
この移転補償は、同市が、係留施設と一体となって港湾貨物の荷さばき、船舶乗降旅客の取扱いなどを行うための公共の利用に供するふ頭用地の一部1,581.8m2
を、建設業を営むA社に建設資機材の保管倉庫の敷地として貸し付けており、その土地を駐車場として整備するために実施したものである。
本件交付金事業のみなと振興交付金交付要綱(平成19年国港総第1067号)によると、交付金の交付に当たっては、この要綱に規定されているもののほか港湾関係補助金等交付規則実施要領(昭和43年港管第814号)等に定めるところによるとされている。そして、この要領等によれば、港湾管理者が、ふ頭用地を貸し付ける場合には、当該貸付けが公共の利用に供し、係留施設を利用した港湾の物流に資するという港湾施設の補助目的に合致していることについて国土交通大臣の認可を受けることが必要である。
本院は、稚内市において、合規性等の観点から、交付金事業が適切に行われているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、交付金の実績報告書等の書類及び現地の状況を検査したところ、交付金事業の実施が次のとおり適切でなかった。
すなわち、ふ頭用地の貸付けについては、前記のとおり、公共の利用に供するという港湾施設の補助目的に合致していることについて国土交通大臣の認可を受けることとされている。しかし、前記A社の倉庫の敷地に係る貸付けについては、建設資機材の保管倉庫となっていて、公共の利用に供し、係留施設を利用した港湾の物流に資するという補助目的に合致しておらず、国土交通大臣の認可を受けられないものであるのに、同市が、当該倉庫の移転に当たって、この貸付けに伴う移転補償費を対象経費に含めて交付金の額を算定したのは適切とは認められない。
このような事態が生じていたのは、同市において、関係法令等の理解が十分でなかったこと、交付金事業の適正な実施に対する認識が欠けていたことなどによると認められる。
したがって、本件移転補償費49,977,000円は交付金の対象とは認められず、これに係る交付金17,331,378円が不当と認められる。