会計名及び科目 | 一般会計 | (部)雑収入 | (款)国有財産利用収入 | |
(項)国有財産貸付収入 | ||||
部局等 | 5公園事務所 | |||
占用許可の根拠 | 都市公園法(昭和31年法律第79号) | |||
占用許可の相手方 | 財団法人公園緑地管理財団 | |||
占用許可の概要 | 国営公園の臨時駐車場の運営のために、同駐車場に係る土地について占用許可を与えて、占用許可の相手方から土地使用料を徴収するもの | |||
占用許可に係る土地使用料 | 312万余円 | (平成15年度〜19年度) | ||
徴収できた土地使用料 | 1870万円 | (平成15年度〜19年度) |
国土交通省は、都市公園法(昭和31年法律第79号)に基づき、都市公園の健全な発達を図り、もって公共の福祉の増進に資することを目的として国営公園の整備を進めており、平成19年度末現在で16公園を一般の利用に供している。
国営公園には、車両で来園する利用者のために供用区域内に駐車場(以下「常設の駐車場」という。)が整備されている。
一方、前記の16公園のうち、東北、北陸、近畿、四国、九州各地方整備局管内の5公園(注1)
の各公園事務所(以下「5公園事務所」という。)は、11年度以降、常設の駐車場が満車になることが予想されるときなどに計23か所の臨時駐車場を順次開設している。
臨時駐車場は、国営公園の未供用区域に暫定的に開設されたり、供用区域内の緑地、道路等に開設されたりしている。その開設に当たっては、5公園事務所は、公園の維持管理業務を委託している財団法人公園緑地管理財団(以下「財団」という。)に、都市公園法に基づく土地の占用等の許可(以下「占用許可」という。)を与えて、財団から占用許可に係る土地使用料を徴収している。
そして、財団は、駐車場利用者から常設の駐車場と同額(普通車310円/日から510円/日、大型車1,020円/日から1,600円/日)の駐車料金を収受するとともに、交通誘導員を配置するなどのための費用を負担して臨時駐車場を運営している。
国営公園の施設の占用許可に係る使用料の額については、都市公園法施行規則(昭和31年建設省令第30号)第11条の規定により、都市公園の占用等の目的及び態様に応じて公正妥当なものとするとされている。
そして、土地使用料の算定基準等については、国土交通省は、「都市公園法の一部改正等について」(昭和56年10月建設省都市局公園緑地課長通達)により、国有財産法(昭和23年法律第73号)による取扱いに準拠することとしている。この国有財産法による取扱いについては、国以外の者に国有財産を使用させる場合等の基準として財務省が定めている「国の庁舎等の使用又は収益を許可する場合の取扱いの基準について」(昭和33年蔵管第1号大蔵省管財局長通達。19年1月以降は「行政財産を使用又は収益させる場合の取扱いの基準について」(平成19年財理第243号))などによることととしている。これによれば、土地使用料は、当該土地の相続税評価額に期待利回り(注2)
を乗じた額又は不動産鑑定士による鑑定評価額によるなどして1m2
当たりの年額単価を算出して、これに占用許可の面積と年間総日数に対する占用許可日数の割合を乗ずるなどして算定することになっている。
前記のとおり、国営公園の施設の占用許可に係る使用料の額は、公正妥当なものとすることが求められている。そこで、臨時駐車場について、経済性等の観点から、土地使用料が駐車料金により生ずる収入と駐車場の運営費用との収支状況を反映して算定され、その額が適正なものとなっているかなどに着眼して検査した。
本院は、5公園事務所の臨時駐車場23か所において15年度から19年度までの間に行われた占用許可46件、これに係る土地使用料の徴収額計312万余円を対象として、3公園事務所については占用許可書等の書類等により会計実地検査を行い、2公園事務所についてはこれらの書類等の提出を受けて検査した。また、財団の収支状況については、国土交通省に調査を求めて、その調査結果の内容を確認するなどの方法により調査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。 5公園事務所における上記46件の占用許可に係る土地使用料についてみると、5公園事務所は、前記の財務省の定めた基準に基づき、1m2
当たりの年額単価を161円から900円と算出していた。そして、これにそれぞれの占用許可の面積(552m2
から28,750m2
)と年間総日数に対する占用許可日数(1日から362日)の割合を乗ずるなどして、土地使用料を1,344円から319,814円、総額312万余円と算定していた。
一方、財団における臨時駐車場の収支状況についてみると、財団は、駐車料金を収受する一方、交通誘導員の配置、臨時駐車場から公園入場口までの連絡車両の運行、緑地及び道路における駐車スペースの表示等の臨時駐車場の運営費用や土地使用料を支出していた。そして、財団における15年度から19年度までの臨時駐車場に係る駐車料金収入及び運営費用等の経費を見ると、ほとんどの臨時駐車場で収入が支出を大幅に上回っており、駐車料金収入が計7589万余円であるのに対して、管理費を含めた支出が計5712万余円となっていて、その収支差額は計1870万円と多額に上っていた。
このように、本件臨時駐車場に係る占用許可の相手方において収入が支出を大幅に上回っており、それが土地使用料の額に反映されていない事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
財団における本件臨時駐車場の運営について、収入が支出を上回ることのないようにして15年度から19年度までの土地使用料を算定すると、収入が支出を下回る臨時駐車場の支出超過額を考慮しても計2189万余円となり、前記の徴収額312万余円に対して計約1870万円を更に徴収することができたと認められた。
このような事態が生じていたのは、5公園事務所において、臨時駐車場の運営に係る収支状況を把握していなかったこと、また、地方整備局等において、5公園事務所における臨時駐車場の運営状況を把握しておらず、適時適切な指導を行っていなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、国土交通省は、20年9月に地方整備局等に対して通知を発して、臨時駐車場の占用許可に当たっては、その運営に係る収支状況や支出の内容等を把握の上、土地使用料が適正なものとなるように算定方法を改め、同月以降の占用許可から適用することとする処置を講じた。