(平成18年度決算検査報告 参照)
自衛官は、自衛隊法(昭和29年法律第165号)の規定に基づき、防衛大臣(平成19年1月8日以前は防衛庁長官)が指定する場所に居住しなければならないとされていて、自衛隊法施行規則(昭和29年総理府令第40号)及び「自衛官の居住場所に関する訓令」(昭和29年防衛庁訓令第19号)の規定に基づき、曹長以下の自衛官は、原則として、その勤務する部隊等に集団的居住場所として設けられた営舎に居住することとされている(以下、営舎内に居住する自衛官を「営内居住自衛官」という。)。
そして、航空自衛隊は、全国の基地及び分屯基地(以下、これらを「基地等」という。)に営舎を設置している。営舎には、洗面所、娯楽室、湯沸室等の共用部分と隊員の生活の場である居室が設けられており、娯楽室等にテレビ、冷蔵庫等を設置するほか、洗濯機、乾燥機、アイロン等を共用部分に備え付けている。
一方、営内居住自衛官の私物品の基地等内への持込みについては、航空自衛隊基地服務規則(平成5年航空自衛隊達第6号)において、快適な生活を営む上で必要最小限とするものとされていて、基地等内で電気器具を使用する場合は、基地司令等の許可を受けることとされている。
そこで、合規性、経済性等の観点から、営舎の維持運営に係る光熱水料等の支払が適切なものとなっているかなどに着眼して、22基地等において会計実地検査を行ったところ、多数の営内居住自衛官が、基地司令等の使用許可を受けて、テレビ、冷蔵庫等の電気器具を居室内で私的に使用していて、相当の電力量が消費されていると認められたが、これらに係る電気料金を営内居住自衛官に負担させていなかった。しかし、営内居住自衛官が居室内で私的に使用している電気器具(以下「営内私用電器」という。)の使用に係る電気料金は原則として各営内居住自衛官個人が負担すべきものであり、これを国が全額負担して各基地等の運営経費の一部として支払っているのは適切ではなく、是正改善の要があると認められた。
このような事態が生じているのは、航空自衛隊において、営内私用電器に係る電気料金の公私の負担区分を明確にせず、その負担に関する規程を定めていなかったことなどによると認められた。
各基地等における営内私用電器の使用の実態を調査するとともに、これらの使用及び電気料金の負担に関する規程を定めて、使用実態に即した電気料金を当該使用者に負担させるなどの処置を講ずるよう、防衛省航空幕僚長に対して19年10月に、会計検査院法第34条の規定により是正改善の処置を求めた。
本院は、防衛省航空幕僚監部において、その後の処置状況について会計実地検査を行った。
検査の結果、航空自衛隊は、本院指摘の趣旨に沿い、19年11月に「内務班等の現状調査及び現地確認について(依頼)」を発して営内私用電器の保有状況等の実態調査を行い、この結果を踏まえて、航空自衛隊基地服務規則を改正するとともに、「基地内に居住する隊員の電気料金負担について(通達)」(平成20年空幕人計第184号例規)を発して、20年8月から使用実態に即した電気料金を当該使用者に負担させるなどの処置を講じていた。