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  • 平成19年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第2節 団体別の検査結果|
  • 第15 独立行政法人放射線医学総合研究所|
  • 不当事項|
  • 役務

(843) 医療用装置の維持管理に係る業務の請負契約に当たり、仕様が適切でなかったため、契約額が割高となっているもの


(843) 医療用装置の維持管理に係る業務の請負契約に当たり、仕様が適切でなかったため、契約額が割高となっているもの

科目
研究業務費
部局等
独立行政法人放射線医学総合研究所
契約名
重粒子線がん治療装置及びサイクロトロン装置の運転及び維持管理等業務
契約の概要
重粒子線がん治療装置等の運転操作、維持、管理等に関する業務を行うもの
契約の相手方
加速器エンジニアリング株式会社
契約
平成19年4月 随意契約
契約額
907,515,000円
(平成19年度)
割高になっている契約額
2,603,718円
(平成19年度)

1 契約等の概要

(1) 重粒子線がん治療装置の概要

 独立行政法人放射線医学総合研究所(以下「研究所」という。)は、周辺の正常組織への影響が少ないなどの特徴を有する重粒子線によるがん治療を行うため、重粒子線がん治療装置を平成6年度から運用している。
 重粒子線がん治療装置は、治療に使用する炭素等の原子をイオン化する重イオン源、イオン化した重粒子を光速近くまで加速する主加速器、がん病巣の部位を確認するための患者位置決めX線CT装置(以下「CT装置」という。)等で構成されている。

(2) 重粒子線がん治療装置等の維持管理等業務に係る請負契約の概要

 研究所は、19年度において、CT装置を含む重粒子線がん治療装置等の運転操作、維持、管理等に関する業務(以下「維持管理等業務」という。)を、随意契約により契約額907,515,000円で加速器エンジニアリング株式会社に請け負わせている(以下、この請負契約を「維持管理契約」という。)。
 そして、維持管理契約に係る具体的な業務内容や対象機器等は、重粒子線がん治療装置等の維持等を担う研究所の保守部門が作成した仕様書に定められている。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、研究所において、経済性等の観点から、仕様書が各機器の現況等に応じて適切に定められているかなどに着眼して、維持管理契約を対象に、契約書、仕様書等の書類を確認するなどにより会計実地検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、次のような事態が見受けられた。
 すなわち、CT装置等の管理を担う研究所の管理部門は、19年3月に、CT装置が購入後10年を経過しているため陳腐化しており、また、今後使用する見込みもないことなどから、「独立行政法人放射線医学総合研究所固定資産管理要領」(平成13年13達第23号)に基づきCT装置の除却を申請していた。これを受けて固定資産に関する責任者である財産管理役は、同月に除却を決定していた。そして、CT装置を設置箇所である施設から直ちに取り外すことが困難であることから、実際に撤去、処分するまでの間、研究所の施設内で引き続き保管のみをしている状況となっていた。
 したがって、前記のように、維持管理契約に係る仕様書において、既に使用する見込みのないCT装置を維持管理等業務の対象としていた事態は適切とは認められず、CT装置を維持管理等業務の対象とせずに維持管理契約に係る契約額を修正計算すると904,911,282円となり、本件契約額はこれに比べて2,603,718円が割高となっていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、維持管理契約に係る仕様書の作成に当たり、保守部門及び管理部門において、維持管理等業務の対象とする機器の現況等に関する連絡調整が十分でなかったことなどによると認められる。