科目
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(項)運用益等事業費
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部局等
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独立行政法人国際交流基金本部
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助成の根拠
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独立行政法人国際交流基金法(平成14年法律第137号)
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助成対象者
(事業主体)
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社団法人日米平和・文化交流協会
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助成事業
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日米センター助成事業
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助成事業の概要
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平成19年度に、世界が共通して直面している重要な課題解決に向けた日米共同研究の支援等を行うもの
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助成対象事業費
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10,398,910円
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上記に対する助成金交付額
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4,000,000円
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不当と認める助成金交付額
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4,000,000円
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独立行政法人国際交流基金(以下「基金」という。)は、独立行政法人国際交流基金法(平成14年法律第137号)等に基づき、国際文化交流を目的とする事業の一環として日米センター助成事業を実施している。この事業は、世界が共通して直面している重要な課題解決に向けた日米共同研究の支援等を目的とした事業である。そして、基金は、平成19年度に、社団法人日米平和・文化交流協会(以下「協会」という。)が実施した日米間の有識者の交流事業に対して、その事業費の一部として参加者12名分の航空運賃及び同行通訳の通訳料計10,398,910円を助成対象額として、4,000,000円の助成金を交付している。
基金は、助成金の交付に当たっては、独立行政法人国際交流基金助成金交付要綱(平成15年度規程第17号)等に基づき行うこととしている。そして、基金は、助成対象者に対して、助成金の額の確定時に最終報告書とともに領収書等の写しを基金に提出しなければならないこと、領収書等の原本を基金の求めに応じて提示できるよう5年間保存しなければならないことなどの交付条件を付している。また、基金は、助成金の最終報告書により、助成対象事業の成果が助成金の交付決定の内容及びこれに付した条件に適合するかどうか調査して、適合すると認めたときは助成金の額を確定することとしている。
そして、基金は、前記の事業について、協会から20年3月に最終報告書等を受理して、これに基づき、交付決定の内容やこれに付した条件に適合すると認められたとして、助成金交付額の全額(4,000,000円)を確定していた。
本院は、基金本部において、協会に対して19年度に交付した助成金4,000,000円について、合規性等の観点から、当該助成金の額の確定が適切に行われていたかなどに着眼して、助成金の最終報告書を精査するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のとおり適切とは認められない事態が見受けられた。
すなわち、基金が助成金の額を確定する根拠とした前記の最終報告書等は再提出されたものであり、基金は、それより以前に協会から9名の参加者名が記載されるなどした最終報告書及びこれに係る航空運賃の領収書の写しなどを受理していた。そして、この領収書の写しと前記の額の確定の際に提出された最終報告書に添付されていた領収書の写しは、同じ日付であるのに記載された金額、参加者数等が異なるものであった。
このように、助成金の対象となる同事業への参加者について、領収書の写しでは十分確認できなかったのに、基金は協会に対して領収書の原本の提示を求めるなどその真偽を確かめずに、参加者を12名として助成金の額を確定していた。
基金は、前記のとおり、助成金の額の確定の際に、助成対象者に領収書等を提示させることができるのに、上記の領収書の原本により事実を確認することなく当該助成金の額の確定を行っていたのは、その審査が適切でなく、これに係る助成金4,000,000円の交付は不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、基金が、助成対象事業が完了したときに提出を受けた書類の審査等を十分に行わなかったことによると認められる。