科目
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(一般勘定)
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経営基盤強化業務費等
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(産業基盤整備勘定)
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一般管理費
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(施設整備等勘定)
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経営基盤強化業務費等
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(小規模企業共済勘定)
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経営環境対応業務費等
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(中小企業倒産防止共済勘定)
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経営環境対応業務費等
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(工業再配置等業務特別勘定)
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産業用地業務費等
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(産炭地域経過業務特別勘定)
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産業用地業務費等
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(出資承継勘定)
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一般管理費
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部局等
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独立行政法人中小企業基盤整備機構本部、9支部、7中小企業大学校、3開発所
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契約名
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自動車運行管理業務、経理関係資料等作成業務、共済制度に係る電話応答業務等58契約
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契約の概要
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自動車運行管理業務、経理関係資料等作成業務、共済制度に係る電話応答業務等について業者に請け負わせて実施しているもの
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給与月額、健康保険料等の事業主負担額等の積算額
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11億4564万円
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(平成18、19両年度)
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低減できた給与月額、健康保険料等の事業主負担額等の積算額
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8557万円
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(平成18、19両年度)
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独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下「機構」という。)の本部、9支部、9中小企業大学校及び3開発所(注1)
(以下、9支部、9中小企業大学校及び3開発所を「支部等」という。)は、清掃、警備、自動車運行管理、経理関係資料等作成、共済制度に係る電話応答等の各業務を業者とそれぞれ契約を締結して多数実施している。
本部、支部等は、前記清掃、警備等の各業務の契約に係る予定価格の積算に当たり、刊行物である積算参考資料に掲載されている労務単価を基に労務費を算定している。また、積算参考資料に労務単価が掲載されていない自動車運行管理、経理関係資料等作成、共済制度に係る電話応答等の各業務の予定価格の積算に当たっては、平成18年度の契約については、本部、支部等が、それぞれ賃金構造基本統計調査報告(以下「賃金センサス」という。)等を基に、給与額及び賞与額を算出するなどして労務費を算定している。そして、本部は、契約の目的となる役務について取引の実例価格をより的確に反映するため、19年3月に経理関係資料等作成業務等について、同年5月に自動車運行管理業務について、賃金センサスを基に労務費の積算方法をそれぞれ定めて、これを支部等に通知しており、本部、支部等は、19年度の契約からこれらの通知を基にするなどして、次のとおり労務費の積算を行っている。
〔1〕 賃金センサスに基づく所定内給与額(注2)
を所定内実労働時間数(注3)
で除して時間単価を算出した上で、これに各契約の仕様書等の内容に応じた実労働時間を乗じて給与月額を算出する。また、これに賞与の支給月数を乗じた年間の賞与額を12で除して月額換算した賞与額(以下「賞与月額」という。)を算出する。
〔2〕 上記の給与月額及び賞与月額に基づき標準報酬月額及び標準賞与額を算出して、これらに一定の保険料率を乗ずるなどして、健康保険料、厚生年金保険料及び介護保険料等(以下「健康保険料等」という。)の事業主負担額等を算出する。
〔3〕 〔1〕 で算出した給与月額及び賞与月額と〔2〕 で算出した健康保険料等の事業主負担額等を合計して月額の労務費を算定する。
9支部、9中小企業大学校及び3開発所 北海道、東北、関東、中部、北陸、近畿、中国、四国、九州各支部、中小企業大学校旭川、仙台、三条、東京、瀬戸、関西、広島、直方、人吉各校及び常磐、足利、新潟各開発所
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所定内給与額 事業所の就業規則等で定められた支給条件及び算定方法によって支給された基本給及び超過労働給与額を含まない諸手当
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所定内実労働時間数 事業所の就業規則等で定められた所定労働日における始業時刻から終業時刻までの時間において実際に労働した時間数
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本院は、本部、東北、関東両支部及び中小企業大学校仙台校において、経済性等の観点から、賃金センサスを基に積算している労務費の算定が業務の実態等を反映した適切なものとなっているかなどに着眼して会計実地検査を行った。そして、本部、支部等が18、19両年度に締結した契約69件、支払額計13億6226万余円を対象として、契約書等の書類を確認するなどして検査した。
検査したところ、次のとおり適切でない事態が見受けられた。
ア 本部、5支部、2中小企業大学校及び2開発所(注4)
は、18、19両年度の自動車運行管理業務契約15件、共済制度に係る電話応答業務契約等4件、計19件において、仕様書で定めた業務従事時間を実労働時間として、これに時間単価を乗ずるなどして給与月額を算出していた。
しかし、この時間単価は、賃金センサスの所定内給与額を休憩時間を含まない所定内実労働時間数で除したものである。また、本部の自動車運行管理業務等について業務従事時間の実態を調査したところ、おおむね1時間程度の休憩を交代でとっている状況となっていた。したがって、上記の業務従事時間から休憩時間を控除したものを実労働時間として、これに時間単価を乗じて給与月額を算出すべきであった。
イ 本部及び中小企業大学校旭川、東京両校は、18年度の自動車運行管理業務契約等6件(アの19件中3件を含む。)において、標準報酬月額と標準賞与額の両方にそれぞれ保険料率を乗ずるなどして健康保険料等の事業主負担額等を算出していた。
しかし、算出に用いた上記の標準報酬月額は、給与月額に賞与月額を加えた額を基にして算出されていたため、賞与に係る健康保険料等の事業主負担額が重複して計上されていた。
また、本部が19年に支部等に発した前記の通知において、上記と同様の算定方法を示すなどしたため、本部、9支部、6中小企業大学校及び3開発所(注5)
は、19年度の自動車運行管理業務契約等50件(アの19件中14件を含む。)において、上記と同様に、賞与に係る健康保険料等の事業主負担額を重複して計上していた。
このように、労務費が主体となる契約の予定価格の積算に当たって、休憩時間を含めずに算出した時間単価に休憩時間を含めた業務従事時間を乗じて給与月額を算出したり、賞与に係る健康保険料等の事業主負担額を重複して計上したりしていたことは適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
業務従事時間から休憩時間を控除した実労働時間により給与月額を算出することに改めるとともに、重複していた賞与に係る健康保険料等の事業主負担額の積算を適切なものに改めて、前記アとイの延べ75件の契約から重複する17件を除いた58件の契約に係る給与月額、健康保険料等の事業主負担額等11億4564万余円を修正計算すると、10億6006万余円となり、労務費の積算額を8557万余円低減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、本部及び支部等において、給与月額の算出の基となる実労働時間の取扱いに対する認識及び健康保険料等の事業主負担額の算出についての理解が十分でなかったことによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、機構は、労務費が主体となる契約の予定価格の積算を適切に行うよう次のような処置を講じた。
ア 本部において、給与月額の算出に当たっては、休憩時間を控除した実労働時間を用いることとする取扱いを定めるとともに、健康保険料等の事業主負担額を重複して計上しないよう積算方法を改正して、20年8月以降に締結した契約から改めた。
イ 20年9月に、上記の積算方法を支部等に通知するとともに、同年10月に、本部及び支部等の契約担当者等に対して研修を実施するなどして、積算方法について周知徹底を図ることとした。