科目
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工具・器具・備品
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ソフトウェア
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部局等
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独立行政法人日本原子力研究開発機構
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契約の概要
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コンピュータ、プリンタなどをリース契約により調達するもの
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検査対象としたリース契約の件数及び総額
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154件
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17億6721万余円
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(平成18、19両年度)
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競争性等が十分確保されていないと認められたリース契約の件数及び総額
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105件
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5億0721万円
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(平成18、19両年度)
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独立行政法人日本原子力研究開発機構(以下「機構」という。)は、契約事務規程(平成17年17(規程)第70号)に基づき、コンピュータ、プリンタなどをリース契約によって調達している。
機構は、一般競争契約によりリース契約を締結する場合には、リース物件の調達価格とその取得に要する資金コスト、税金、保険料等(以下「附帯費用」という。)との合計額を基に算定した月額リース料を入札させることとしている。そして、機構は、本部の契約統括部署からの事務連絡(平成18年2月発出)に基づき、本部、各事業所等の契約担当部局において、全リース期間のリース料の総額の予定金額(予算上の見積額)が、「政府調達に関する協定」(平成7年条約第23号)の適用対象となる場合の基準額(平成18、19両年度においては1600万円。以下「基準額」という。)以上と未満とで区分し、原則として次のような方式により入札を実施していた。
〔1〕 リース料の総額の予定金額が基準額以上のとき
機構が、リース物件の性能、数量等を仕様書で定めて、入札参加者は、自らの責任において仕様に合ったリース物件を調達することを前提として、月額リース料を入札する(以下、この方式を「一括入札方式」という。)。
〔2〕 リース料の総額の予定金額が基準額未満のとき
機構が、リース物件の性能、数量等を定めた後、リース物件の調達価格について複数の業者から見積書を提出させて見積合わせを行い、納入業者及び調達価格をあらかじめ決定して、その納入業者及び調達価格によりリース物件を調達することを入札説明書において入札参加者に周知する。そして、入札参加者は、上記の条件を前提として、月額リース料を入札する(以下、この方式を「見積入札方式」という。)。
機構は、その業務運営について国から毎年度多額の運営費交付金の交付を受けるなどしており、リース契約も毎年度多額に上っている。また、独立行政法人の業務運営に当たっては、業務運営の透明性を高めることが求められており、契約事務においても公正性及び透明性を確保するとともに競争の利益を享受することが求められている。
そこで、本院は、機構本部等において、合規性、経済性等の観点から、リース契約による調達が、公正性及び透明性を確保し競争の利益を享受したものになっているかなどに着眼して、機構が18、19両年度に一般競争契約により締結したリース契約154件、リース料の総額計17億6721万余円を対象として、契約関係書類の内容を確認するなどの方法により会計実地検査を行った。
検査したところ、上記154件のうちリース料の総額が基準額未満のリース契約は、表のとおり138件あり、このうち一括入札方式としていた自動車のリース契約33件を除いた見積入札方式によるリース契約は105件となっていて、基準額未満のリース契約の76.0%を占めていた。
年度
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一般競争契約により締結したリース契約
(A)
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Aのうち基準額未満の契約
(B)
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Bのうち見積入札方式による契約
(C)
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割合
(C/B)
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件数
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金額
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件数
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金額
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件数
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金額
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件数
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金額
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平成
18
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件
85
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千円
874,622
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件
77
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千円
405,743
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件
56
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千円
281,519
|
%
72.7
|
%
69.3
|
19
|
69
|
892,592
|
61
|
303,229
|
49
|
225,695
|
80.3
|
74.4
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合計
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154
|
1,767,215
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138
|
708,973
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105
|
507,215
|
76.0
|
71.5
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そして、見積入札方式によるリース契約105件のリース料の総額5億0721万余円の構成をみると、リース物件の調達価格が95%を占めており、残りの5%が附帯費用となっていて、リース契約の価格競争においては、リース物件の調達価格が重要な要素となっていた。
しかし、見積入札方式においては、前記のとおり、機構がリース契約の重要な要素である納入業者及び調達価格を見積合わせによりリース契約の入札前に決定しており、公正性及び透明性に欠けるばかりでなく、この調達価格に基づいて月額リース料を競争入札したとしても、契約における競争性が十分に確保されない事態となっていた。
このように、機構が見積入札方式によりリース契約を締結していて、契約の公正性及び透明性が確保されておらず、競争の利益が十分に享受できない事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、機構が、リース契約の締結に当たり、公正性、透明性及び競争性の確保についての検討を十分行っていなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、機構は、契約の公正性及び透明性を確保するとともに競争の利益を享受できるように、20年6月に、各事業所等に対して業務連絡を発するなどして、一般競争契約によるリース契約については一括入札方式によることとして、同年7月以降に締結するリース契約に適用することとする処置を講じた。