科目
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(証券化支援勘定)
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(項)
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証券化支援業務関係経費
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(住宅融資保険勘定)
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(項)
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住宅融資保険業務関係経費
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(財形住宅資金貸付勘定)
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(項)
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財形住宅資金貸付業務関係経費
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(住宅資金貸付等勘定)
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(項)
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住宅資金貸付等業務関係経費
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(既往債権管理勘定)
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(項)
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既往債権管理業務関係経費
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部局等
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12支店等
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検査対象とした登記事項証明書の交付通数
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327,305通
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(平成19年4月〜20年5月)
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上記に係る交付手数料の支払額
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2億9594万余円
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オンラインで請求が可能であった登記事項証明書の交付通数
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97,456通
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(平成19年6月〜20年5月)
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節減できた交付手数料
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2923万円
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(平成19年6月〜20年5月)
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独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)は、独立行政法人住宅金融支援機構法(平成17年法律第82号)に基づき、一般の金融機関による住宅の建設等に必要な資金の融通を支援するための貸付債権の譲受け、一般の金融機関による融通を補完するための災害復興建築物の建設等に必要な資金の貸付けなどの業務を行っている。そして、これらの業務を行うに当たっては、譲り受けた貸付債権や機構が資金の貸付けを行った貸付債権の担保のため、貸付債権に係る建築物又は土地について、原則として機構を第1順位とする抵当権を設定して登記することとしている。
抵当権設定登記及び貸付債権の全額が弁済されたときの抵当権抹消登記の申請は、機構と債務者が共同して行うこととされている。この申請は、機構から貸付債権に係る管理業務等を受託した金融機関(以下「受託金融機関」という。)の依頼により司法書士等が代理人として行うが、抵当権の設定登記及び抹消登記のいずれの申請においても、代理人は、機構の代理権限を証するための書類として、機構の法人登記に係る履歴事項証明書、現在事項証明書、代表者事項証明書又は閉鎖事項証明書(以下、これらを「登記事項証明書」という。)を登記所に提出する必要がある。
代理人が登記所に提出する登記事項証明書は、機構の各支店等がその所在地を管轄する登記所から交付を受けて受託金融機関等へ配布するなどしたものである。受託金融機関等は、貸付債権に係る建築物等に対する抵当権の設定登記又は抹消登記を行う際には、代理人である司法書士等に、金銭消費貸借抵当権設定契約書等とともに登記事項証明書を貸し出している。また、登記事項証明書は、登記申請の際にいったん登記所に提出されるが、手続終了後には還付を受けることができ、その有効期間である3か月間は繰り返し使用することが可能となっている。そして、各支店等は、おおむね3か月ごとに受託金融機関等に配布するなどのため、登記所に登記事項証明書の交付を請求するほか、受託金融機関等で不足が生ずる場合等に必要に応じて、随時交付を請求している。
各支店等が登記所から登記事項証明書の交付を受ける手順は、おおむね以下のとおりである。
〔1〕 各支店等の担当者は、支店等が口座を有する金融機関の窓口において、登記印紙を購入するための現金を引き出す。
〔2〕 最寄りの郵便局等において登記印紙を購入する。
〔3〕 登記所の窓口に出向き、手数料として請求1通当たり1,000円の登記印紙を貼(ちょう)付した登記事項証明書の交付申請書を提出する。
〔4〕 登記事項証明書は通常は即日交付されるが、多数の登記事項証明書の交付を請求したときは、即日交付されないため、改めて登記所に出向き交付を受ける。
一方、登記事項証明書の交付の請求は、平成17年3月から、法務省オンライン申請システムを利用して行うことが可能となっている(以下、同システムを利用した請求を「オンライン送付請求」という。)。そして、オンライン送付請求による場合、19年4月以降の手数料は請求1通当たり700円となっており、窓口での交付の請求に比べて安価となっている。
また、オンライン送付請求による場合、手数料の納付は金融機関のペイジー(注1)
対応ATMやインターネットバンキング等を利用して行うこととなり、登記事項証明書は、登記所で交付を受けるのではなく、指定する送付先に郵送されることとなっている。
機構は、毎年多数の登記事項証明書の交付を受けており、その請求のための手数料の支払額は多額に上っている。
そこで、本院は、経済性等の観点から、登記事項証明書の交付の請求に当たり手数料が安価なオンライン送付請求が利用されているかなどに着眼して、19年4月から20年5月までの間に15支店等(注2)
が交付を受けた登記事項証明書327,305通(交付手数料の支払額2億9594万余円)を対象に、登記事項証明書の受入れ・払出しなどの状況が記載された管理簿等の書類を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、上記15支店等のうち、本店債権管理部、住宅融資保険部及び首都圏支店の3支店等は、オンライン送付請求を既に利用していたが、他の12支店等は、次のような理由から、従来どおり登記所の窓口に出向いて登記事項証明書の交付を請求していた。
すなわち、12支店等は、支店等が口座を有する金融機関にはペイジー対応ATMが設置されておらず手数料の納付ができないことや、オンライン送付請求による場合には、登記所の窓口に出向いて交付を請求する場合に比べて事務手続が増加することが予想され、その人員の確保が難しいことなどから、オンライン送付請求を利用することはできないとしていた。
しかし、各支店等の所在地にはペイジー対応ATMを設置している他の金融機関が所在しており、12支店等は、これらの金融機関のATMを利用して手数料を納付することが可能であった。また、オンライン送付請求は、各支店等のインターネットに接続できるパソコンにより行うことが可能であり、登記事項証明書は登記所から指定する送付先に郵送されることから登記所に出向く必要はなく、事務手続が特段増加するものではなかった。
したがって、12支店等は、手数料が引き下げられた19年4月以降、速やかにオンライン送付請求の利用を開始すべきであったと認められた。
このように、12支店等は、オンライン送付請求を利用することが可能であったにもかかわらず、従前どおり登記所の窓口に出向いて登記事項証明書の交付を請求しているのは適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
前記の3支店等がオンライン送付請求を開始するための準備等に1、2か月程度を要していたことから、12支店等が19年6月からオンライン送付請求を利用していたとすれば、20年5月までに登記所の窓口に出向いて交付の請求をした登記事項証明書97,456通に係る交付手数料9745万余円は6821万余円となり、差引き2923万余円が節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、12支店等がオンライン送付請求の利用についての検討を十分に行っていなかったことなどによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、本店財務企画部は、20年5月に支店等の担当者に対して事務連絡を発して、同年6月からオンライン送付請求を利用するに当たっての注意点や支出事務の手続について周知するとともに、同年7月に支店長等に対して財務企画部長名の通ちょうを発して、今後、オンライン送付請求が確実に利用されるようにする処置を講じた。