科目
|
経常費用
|
||
部局等
|
(1)
|
国立大学法人筑波大学
|
|
(2)
|
国立大学法人東京医科歯科大学
|
||
(3)
|
大学共同利用機関法人情報・システム研究機構
|
||
通勤手当の概要
|
通勤のため交通機関又は有料の道路を利用してその運賃又は料金を負担することを常例とする職員等に支給するもの
|
||
通勤手当の額
|
(1)
|
8億1703万余円
|
(平成18、19両年度)
|
(2)
|
8億0522万余円
|
(平成18、19両年度)
|
|
(3)
|
1億3595万余円
|
(平成18、19両年度)
|
|
上記のうち節減できた通勤手当の額
|
(1)
|
4022万円
|
|
(2)
|
7051万円
|
||
(3)
|
1106万円
|
国立大学法人及び大学共同利用機関法人(以下「国立大学法人等」という。)は、当該国立大学法人等が定める職員給与規則等に基づき、職員に給与として俸給(基本給又は本給とする場合もある。)及び諸手当を支給している。諸手当のうち通勤手当は、通勤のため交通機関又は有料の道路(以下「交通機関等」という。)を利用して運賃又は料金(以下「運賃等」という。)を負担することを常例とする職員に支給するなどとしており、通勤手当の月額は、1か月の通勤に要する運賃等の額に相当する額(以下「運賃等相当額」という。)等となっている。そして、運賃等相当額の算出については、運賃、時間、距離等の事情に照らして最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による運賃等の額によるものとしており、定期券を使用することが最も経済的かつ合理的であると認められる交通機関等を利用する区間については、通用期間1か月の定期券の価額とするなどとしている。
また、国立大学法人法(平成15年法律第112号)が独立行政法人通則法(平成11年法律第103号。以下「通則法」という。)を準用していることから、国立大学法人等は適正かつ効率的にその業務を運営するよう努めなければならないこととされており、給与の支給の基準を社会一般の情勢に適合したものとなるように定めなければならないことなどとされている。
人事院は、平成15年8月に、国会及び内閣に対して、従来、1か月定期券の価額を基礎として決められていた国家公務員の通勤手当について、民間の過半の事業所が6か月定期券等の最も割安な定期券の価額を基礎として通勤手当を支給している実態を踏まえて、公務においても、低廉な定期券の価額により一括支給するよう改めることとする旨の給与改定に関する勧告等を行った。国は、これを踏まえて、同年10月及び12月に、一般職の職員の給与に関する法律(昭和25年法律第95号。以下「給与法」という。)及び人事院規則9−24(通勤手当)についてそれぞれ所要の改正を行っている。
そして、国は、16年4月から、定期券を使用することが最も経済的かつ合理的であると認められる交通機関等を利用する区間について、1か月定期券の価額から当該交通機関等で発行されている定期券の通用期間のうち6か月を超えない範囲内で最も長いものに相当する期間の定期券(以下「6か月定期券」という。)の価額を基に通勤手当を支給している。
本院は、経済性等の観点から、運賃等相当額が最も経済的かつ合理的と認められるものとなっているかなどに着眼して、20年4月1日現在におけるすべての国立大学法人等(86国立大学法人及び4大学共同利用機関法人)を対象として、通勤手当認定簿等の関係書類により会計実地検査を行うなどして検査を実施した。
検査したところ、国立大学法人筑波大学(以下「筑波大学」という。)、国立大学法人東京医科歯科大学(以下「東京医科歯科大学」という。)及び大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(以下「機構」という。また、以下、これらを合わせて「3国立大学法人等」という。)は、定期券を使用することが最も経済的かつ合理的であると認められる交通機関等を利用する職員について、1か月定期券の価額を運賃等相当額として通勤手当を支給していた。
しかし、国は、経済的な定期券である6か月定期券の価額を基に通勤手当を支給しており、大多数の国立大学法人等も国の給与法等の改正に倣って通勤手当に係る関係規程等について所要の改正を行った上で、同様に6か月定期券の価額を基に通勤手当を支給していた。
このように、国及び大多数の国立大学法人等において経済的な6か月定期券の価額に基づいて通勤手当を支給しているのに、3国立大学法人等において1か月定期券の価額を基に通勤手当を支給していた事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
3国立大学法人等が18、19両年度に支給した通勤手当(筑波大学8億1703万余円、東京医科歯科大学8億0522万余円、機構1億3595万余円)について、6か月定期券の価額を基に通勤手当を支給したとすれば、筑波大学で4022万余円、東京医科歯科大学で7051万余円、機構で1106万余円がそれぞれ節減できたと認められた。
このような事態が生じていたのは、3国立大学法人等において、通則法の規定や16年4月以降の国及び他の国立大学法人等における通勤手当の支給の動向に対する認識が十分でなく、職員給与規則等を見直していないことによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、3国立大学法人等は、20年10月までに職員給与規則等を改正して、通勤手当の算定に当たり、定期券を使用することが最も経済的かつ合理的であると認められる交通機関等を利用する区間については、同月から6か月定期券の価額を基にして支給することとする処置を講じた。