要請を受諾した年月日
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平成18年6月8日
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検査の対象
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内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、防衛省(平成19年1月8日以前は内閣府防衛庁)、国会、裁判所、会計検査院
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検査の内容
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上記の府省等が締結している随意契約についての検査要請事項
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報告を行った年月日
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平成20年9月10日
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会計検査院は、平成18年6月7日、参議院から、国会法第105条の規定に基づき下記事項について会計検査を行いその結果を報告することを求める要請を受けた。これに対し同月8日検査官会議において、会計検査院法第30条の3の規定により検査を実施してその検査の結果を報告することを決定した。
一、 会計検査及びその結果の報告を求める事項 |
(一) 検査の対象 |
内閣、内閣府、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省、国会、裁判所、会計検査院
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(二) 検査の内容 |
各府省等が締結している随意契約についての次の各事項
〔1〕 随意契約を含めた契約全般の状況 〔2〕 随意契約の実施状況及び随意契約となった理由の妥当性 〔3〕 公益法人に対する随意契約の実施状況及び公益法人による再委託の状況 〔4〕 契約の透明性の向上に向けた体制整備の状況 〔5〕 随意契約先公益法人における所管府省退職者の再就職者数 〔6〕 再委託先への所管府省及び当該公益法人それぞれの退職者の再就職者数 〔7〕 〔5〕 〔6〕 についてそれぞれの公益法人及び再委託先の従業員に占める再就職者の比率、役員に占める比率 |
参議院は、18年6月7日に決算委員会において、検査を要請する旨の上記の決議を行うとともに、平成16年度決算に関して内閣に対し警告すべきものと議決し、同月9日に本会議において内閣に対し警告することに決している。
この警告決議のうち、上記検査の要請に関連する項目の内容は、次のとおりである。
1 平成十六年度に中央省庁が実施した一件五百万円以上の工事の発注や、業務委託等の契約に占める随意契約の件数の割合が約七十パーセントと極めて高率になっており、中でも、国土交通省所管の各建設協会などを始め所管公益法人に発注した契約には、随意契約割合が百パーセント、あるいはそれに近い高率になっている例が少なからず見られ、さらに、これらの公益法人に多数のOBが天下っていることは、契約の公平性、競争性及び透明性の確保に疑念を抱かせ、看過できない。また、IT調達にあっては、民間企業を相手とする随意契約が金額の七割から八割を占めている省庁もある。
政府は、随意契約の見直しに当たっては、相手方の官民を問わず一般競争入札を原則とし例外的に随意契約を認めている会計法の精神に照らして厳格な運用に努めるとともに、所管公益法人等への業務委託の実施に当たっては、天下りの状況も含め積極的に情報開示を行うなど、国民の不信を招くことのないよう厳正に対処し、公共調達の適正化に努めるべきである。
国の契約方式としては、一般競争契約及び指名競争契約(以下、両者を合わせて「競争契約」という。)並びに随意契約の三方式があり、このうち機会の均等、公正性の保持、予算の効率的使用の面から、一般競争契約が原則とされている。
さらに、上記の契約方式とは別に、従来随意契約によっていた業務について、近年、業者選定の公平性及び透明性を向上させるための取組として企画競争や公募が行われている。このうち、企画競争とは、例えば、調査、研究、広報等の業務の中には、契約の内容から価格による競争を実施することが困難なものがあるが、このような場合において、複数の業者から企画書等を提出させるなどして、その内容や業務遂行能力が最も優れた者を選定する手続であり、選定した者を契約相手方として随意契約(以下、このような随意契約を「企画随契」という。)が行われることとなる。また、公募とは、特殊な技術又は設備等が不可欠な内容の契約において、必要な技術又は設備等をホームページ等で具体的に明らかにした上で、参加者を募る手続であり、従来の契約相手方のほかに履行可能な者がいないかの確認のため行われるものである。そして、要件を満たす応募者が複数の場合は一般競争契約又は企画競争が行われ、1者の場合は当該1者と随意契約が行われることになる。
前記の要請により19年次(検査実施期間18年10月から19年9月まで)に実施した会計検査の結果については、「各府省等が締結している随意契約に関する会計検査の結果について」
の報告書として取りまとめて、19年10月17日に、会計検査院長から参議院議長に対して報告した(以下、この報告を「19年報告」という。)。
そして、19年報告における検査結果に対する所見において、本院としては、各府省等による随意契約の見直し状況に係る検証を中心に引き続き検査を実施して、検査の結果については、取りまとめが出来次第報告することとした。
本院は、20年次において、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、各府省等における随意契約の見直し状況の検証を中心に、契約事務が適切に行われて、公正性、競争性及び透明性が確保されているかなどに着眼して検査を実施した。
検査は、19年次と同様に、各府省等における支出原因契約を対象とした。そして、契約の状況に関しては、18年度及び19年度(12月まで)の契約について調書を徴して、契約の実施状況、競争性の状況、再委託の状況等を19年報告を踏まえつつ分析するとともに、随意契約の見直し状況について個別具体的に把握するなどのため、調書に該当契約があった本省及び外局等(以下「省庁」という。)39省庁のすべてについて会計実地検査を行った。また、随意契約先公益法人等への再就職の状況に関しては、各府省等や公益法人から提出された調査票等に基づき分析を行った。
ア 府省等における契約全体の状況
各府省等から提出された調書によると、表1のとおり、各府省等の国内のすべての官署において締結された支出原因契約(少額随契が認められる契約等は除く。以下「対象契約」という。)のうち19年度(12月まで)の府省等全体の契約は、件数で14.5万件、支払金額で2.2兆円(以下、19年度の支払金額は、19年12月までに支払われた金額である。)で、前年度同期と比較すると、件数で2.4%、支払金額で1.3%増加している。
年度
|
件数
|
支払金額
|
平成18年度
|
181,454
|
5,359,072
|
19年度(12月まで)(A)
|
145,783
|
2,244,137
|
18年度(12月まで)(B)
|
142,404
|
2,215,318
|
増△減(A)−(B)
(増△減率((A)/(B)−1)) |
3,379
(2.4) |
28,819
(1.3) |
イ 契約相手方別の契約状況とその変化
契約の相手方については、〔1〕 民間企業、〔2〕 公益法人、〔3〕 独立行政法人等(独立行政法人、特殊法人及び認可法人をいう。以下同じ。)及び〔4〕 その他(地方公共団体、国立大学法人、学校法人、個人等〔1〕 〜〔3〕 以外のものをいう。以下同じ。)に4分類した。 19年度(12月まで)の対象契約を契約相手方別にみると、「民間企業」の割合が最も多く、件数で75.6%、支払金額で66.8%を占めている。次いで、件数では「公益法人」が7.8%(うち所管公益法人(注1) 5.1%)、支払金額では「独立行政法人等」が8.3%、「公益法人」が7.7%(同5.9%)となっている。前年度同期と比較すると、「公益法人」との契約は、件数で11.2%(同17.4%)、支払金額で3.1%(同5.5%)減少している。
ウ 契約方式の状況
19年度(12月まで)の対象契約について契約方式の状況をみると、表2のとおり、件数では競争契約の割合が過半を占めているが、支払金額では随意契約が58.1%(うち企画競争等を経ない随意契約(注2) 43.8%)となっている。これを前年度同期と比較すると、競争契約の割合が、件数で7.0ポイント、支払金額で4.2ポイント増加しているほか、競争契約を総合評価方式(注3) により行ったものの割合も、件数で2.7ポイント、支払金額で1.9ポイント増加している。一方、企画競争等を経ない随意契約の割合は大きく減少しており、その減少幅は件数で19.0ポイント、支払金額で12.4ポイントとなっている。
企画競争等を経ない随意契約 随意契約の中から、〔1〕 企画随契、〔2〕 公募を経た随意契約、〔3〕 不落・不調随契(予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)第99条の2又は第99条の3の規定に基づき、競争に付したが入札者がいないなどのため随意契約によったものをいう。以下同じ。)の三つを除いた契約をいう。
|
|
総合評価方式 競争契約において、契約の性質又は目的から価格のみの競争により難い場合に、価格だけでなく、技術的要素等も併せて総合的に評価して落札者を決定する方式をいう。この方式による場合には、各省各庁の長(衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、会計検査院長並びに内閣総理大臣及び各省大臣をいう。)が財務大臣と協議して定めるところによりこれを行うこととされている。
|
年度等\契約方式
|
一般競争契約
|
指名競争契約
|
競争契約(計)
|
随意契約
|
合計
|
||||
うち総合評価方式
|
うち総合評価方式
|
うち総合評価方式
|
うち企画競争等を経ない随意契約
|
||||||
平成19年度
(12月まで) 件数
割合(A)
|
53,328
(36.6)
|
11,037
(7.6)
|
20,079
(13.8)
|
663
(0.5)
|
73,407
(50.4)
|
11,700
(8.0)
|
72,376
(49.6)
|
38,208
(26.2)
|
145,783
(100)
|
18年度
(12月まで) 件数
割合(B)
|
37,443
(26.3)
|
6,516
(4.6)
|
24,310
(17.1)
|
1,033
(0.7)
|
61,753
(43.4)
|
7,549
(5.3)
|
80,651
(56.6)
|
64,304
(45.2)
|
142,404
(100)
|
増減値(A)−(B)
|
10.3
|
3.0
|
△3.3
|
△0.2
|
7.0
|
2.7
|
△7.0
|
△19.0
|
/
|
年度等\契約方式
|
一般競争契約
|
指名競争契約
|
競争契約(計)
|
随意契約
|
合計
|
||||
うち総合評価方式
|
うち総合評価方式
|
うち総合評価方式
|
うち企画競争等を経ない随意契約
|
||||||
平成19年度
(12月まで) 支払金額
割合(A)
|
686,793
(30.6)
|
390,896
(17.4)
|
252,425
(11.2)
|
8,698
(0.4)
|
939,219
(41.9)
|
399,595
(17.8)
|
1,304,917
(58.1)
|
983,771
(43.8)
|
2,244,137
(100)
|
18年度
(12月まで) 支払金額
割合(B)
|
529,352
(23.9)
|
321,777
(14.5)
|
306,377
(13.8)
|
29,663
(1.3)
|
835,730
(37.7)
|
351,440
(15.9)
|
1,379,588
(62.3)
|
1,244,897
(56.2)
|
2,215,318
(100)
|
増減値(A)−(B)
|
6.7
|
2.9
|
△2.6
|
△0.9
|
4.2
|
1.9
|
△4.2
|
△12.4
|
/
|
また、公募は、19年度(12月まで)に13,498件実施されているが、このうち随意契約(不落・不調随契及び企画随契を除く。)が95.9%を占めている。
19年度(12月まで)の対象契約について契約種類別に契約方式の状況をみると、競争契約の割合が高いのは、前年度同期と同様に「工事(設計、調査等を含む。)」(件数72.0%、支払金額75.8%)、「物品等の購入」(件数78.8%、支払金額73.8%)である。
契約相手方別に契約方式の状況をみると、「民間企業」が契約相手方である場合の競争契約の割合は、件数、支払金額それぞれ61.9%、59.6%となっている。一方、「公益法人」の場合の競争契約の割合は、件数で27.3%、支払金額で14.6%となっていて、「民間企業」の場合と比べて、依然として低い状況となっている。
競争契約において、その利点が発揮されるためには、なるべく多数の者が応札する状況の下で適切な競争が行われることが重要である。19年度(12月まで)の対象契約について競争契約の応札者数の状況を件数でみると、表3のとおり、応札者が5者以上の契約の割合が40.3%を占める一方、1者応札のものの割合も26.1%ある。
契約方式\応札者数
|
1者
|
2者
|
3者
|
4者
|
5者以上
|
計
|
|
競争契約(A)
|
19,155
(26.1)
|
11,030
(15.0)
|
7,913
(10.8)
|
5,736
(7.8)
|
29,573
(40.3)
|
73,407
(100)
|
|
一般競争契約
|
18,687
(35.0)
|
9,763
(18.3)
|
6,755
(12.7)
|
4,659
(8.7)
|
13,464
(25.2)
|
53,328
(100)
|
|
指名競争契約
|
468
(2.3)
|
1,267
(6.3)
|
1,158
(5.8)
|
1,077
(5.4)
|
16,109
(80.2)
|
20,079
(100)
|
|
〈参考〉
平成18年度(12月まで) の競争契約(B) |
10,363
(16.8)
|
8,090
(13.1)
|
6,308
(10.2)
|
4,716
(7.6)
|
32,276
(52.3)
|
61,753
(100)
|
|
増減値((A)−(B))
|
9.3
|
1.9
|
0.6
|
0.2
|
△12.0
|
/
|
エ 落札率の状況
契約金額の予定価格に対する比率を示す落札率は、予定価格の妥当性や契約方式の特性等から、その高低だけをもって一律に評価することはできない面はあるものの、契約の競争性や予算執行の経済性及び効率性を評価する際の指標の一つと考えられる。19年度(12月まで)の対象契約について契約方式別に落札率の状況をみると、表4のとおり、平均落札率は、競争契約が85.7%(一般競争契約86.0%、指名競争契約84.9%)、随意契約が98.1%となっていて、随意契約の方が競争契約よりも10ポイント以上高くなっている。
区分\契約方式
|
競争契約
|
随意契約
|
計
|
||
一般競争契約
|
指名競争契約
|
||||
平成18年度契約の平均落札率
|
86.3
|
86.0
|
86.7
|
97.4
|
91.4
|
19年度(12月まで)の契約の平均落札率(A)
|
85.7
|
86.0
|
84.9
|
98.1
|
91.0
|
18年度(12月まで)の契約の平均落札率(B)
|
86.3
|
85.8
|
86.9
|
97.3
|
91.7
|
増減値(A)−(B)
|
△0.6
|
0.2
|
△2.0
|
0.8
|
△0.7
|
また、19年度(12月まで)の対象契約のうち、随意契約については、落札率90%以上のものが96.0%を占めている。さらに、19年度(12月まで)の競争契約について応札者数と平均落札率の関係をみると、表5のとおり、1者応札の場合の平均落札率が93.1%となっているのに対して、応札者数が2者以上の場合はいずれもこれを6ポイント以上下回っていて、落札率からみた場合、1者応札の場合には実質的な競争性を確保しにくい状況となっている。
年度\応札者数
|
1者
|
2者
|
3者
|
4者
|
5者以上
|
計
|
||||||
件数
|
平均落札率
|
件数
|
平均落札率
|
件数
|
平均落札率
|
件数
|
平均落札率
|
件数
|
平均落札率
|
件数
|
平均落札率
|
|
平成19年度(12月まで)(A)
|
12,373
|
93.1
|
7,396
|
85.9
|
5,522
|
83.9
|
4,064
|
82.6
|
24,187
|
82.7
|
53,542
|
85.7
|
18年度(12月まで)(B)
|
7,131
|
93.3
|
5,498
|
86.8
|
4,395
|
84.9
|
3,369
|
83.4
|
26,969
|
84.9
|
47,362
|
86.3
|
増減値(A)−(B)
|
5,242
|
△0.2
|
1,898
|
△0.9
|
1,127
|
△1.0
|
695
|
△0.8
|
△2,782
|
△2.2
|
6,180
|
△0.6
|
ア 随意契約の実施状況
対象契約のうち随意契約(以下「対象随意契約」という。)の19年度(12月まで)における件数と支払金額は、表6のとおり、7.2万件、1.3兆円となっており、前年度同期より、それぞれ10.3%、5.4%減少している。しかし、このうち、企画随契は、1.7万件(随意契約全体に占める割合24.1%)、1635億円(同12.5%)となっており、件数で38.5%、支払金額で62.0%増加している。
年度
|
件数
|
支払金額
|
||||
随意契約全体
(A) |
随意契約全体
(C) |
|||||
企画随契(B)
|
企画随契の割合(B)/(A)
|
企画随契(D)
|
企画随契の割合(D)/(C)
|
|||
平成18年度
|
97,060
|
14,335
|
14.8
|
3,026,350
|
418,663
|
13.8
|
19年度(12月まで)
(a)
|
72,376
|
17,454
|
24.1
|
1,304,917
|
163,507
|
12.5
|
18年度(12月まで)
(b)
|
80,651
|
12,605
|
15.6
|
1,379,588
|
100,901
|
7.3
|
増△減率
((a)/(b)−1)
|
△10.3
|
38.5
|
/
|
△5.4
|
△62.0
|
/
|
企画競争において、優れた企画書等の選定が可能となるためには、なるべく多数の者が応募して適切な競争が行われることが重要である。19年度(12月まで)の対象随意契約について企画競争への応募者数の状況を件数でみると、図1のとおり、応募者数が5者以上のものが47.1%を占める一方、1者応募の割合も26.7%(前年度同期より10.1ポイント増加)と高くなっており、企画競争において複数の業者の中から優れた企画を提案した者を選定する手続の実効性を確保しにくい状況となっている。
図1 企画競争における応募者数の状況(件数ベース)
イ 随意契約とした理由の状況
19年度(12月まで)の対象随意契約について、随意契約とした法令上の適用理由をみると、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」(会計法(昭和22年法律第35号)第29条の3第4項)に該当するためとしているものが最も多く、件数、支払金額共に80%以上を占めている。
そこで、19年度(12月まで)に内部部局が締結した対象随意契約のうち、各府省等が「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当するとしている契約13,398件について、主な具体的な理由を、ほかに履行可能な者がいる可能性の程度によって次のA、B、Cの三つのグループに大別して分析した。
Aグループ
|
契約手続の前段階において複数の参加者を想定して、審査の結果、最も優れた企画書等の提案者と契約するとしているため、ある程度競争性が担保されているもの
|
Bグループ
|
契約相手方が唯一の者であることの理由が記述されていると考えられるもの
|
Cグループ
|
契約相手方が唯一の者であることの理由が必ずしも記述されていないと考えられるもの
|
その結果をみると表7のとおり、19年報告で報告した17年度契約に係る分析結果と比較して、Cグループの件数割合が24.5ポイント低下し、逆にAグループが28.4ポイント増加している。
このことから、各府省等が、随意契約の見直しにおいて、ほかに履行可能な者がいる可能性の程度が高いと思われるCグループの契約を重点的に競争契約や企画随契へ移行させたものと考えられる。
区分
|
件数
|
件数割合(A)
|
平成17年度
(B) |
増減値
(A)−(B) |
Aグループ
|
7,263
|
54.2
|
25.8
|
28.4
|
Bグループ
|
2,703
|
20.2
|
26.2
|
△6.0
|
Cグループ
|
1,742
|
13.0
|
37.5
|
△24.5
|
その他
|
1,690
|
12.6
|
10.5
|
2.1
|
合計
|
13,398
|
100
|
100
|
/
|
ウ 19年報告に掲記した契約(個別の事態)の見直し状況
(ア) 個別の事態の見直し状況
19年報告で随意契約とした理由の妥当性に関して検討の余地があったと認められたとして報告した契約(以下「個別の事態」という。)601件について、19年度末現在で当局が講じた見直し状況(複数の契約に分割したり、統合したりなどしているため、見直し後の件数は613件)をみると、表8のとおりとなっている。
区分
|
個別の事態
|
見直し状況(平成19年度末現在)
|
|||||||
措置済み
|
措置未済
|
当該年度限りなど
|
計
|
||||||
競争契約に移行
|
企画随契に移行
|
公募を実施
|
20年度に措置予定
|
未定
|
|||||
(うち20年7月1日現在で措置済み)
|
|||||||||
件数
|
601
|
379
|
23
|
25
|
75
|
(60)
|
20
|
91
|
613
|
(イ) 個別の事態について見直し後における競争性等の状況
上記の個別の事態のうち、19年度末までに見直しにより競争契約又は企画随契に移行したもの計409件(見直し後の件数計394件(不落・不調随契を除く。))について、応札(応募)者の数、落札率等の状況の変化をみると、表9のとおりとなっている。
区分
|
競争契約に移行前の状況
|
競争契約に移行後の状況
|
||||
全体(A)
|
1者応札(B)
((B)/(A)) |
2者以上応札(C)
((C)/(A)) |
(B)のうち
|
|||
契約相手方が同じもの(D)
[(D)/(B)] |
契約相手方が異なるもの(E)
[(E)/(B)] |
|||||
件数
|
392
|
371
|
191
(51.5) |
180
(48.5) |
171
[89.5] |
20
[10.5] |
平均落札率
|
93.9
|
82.0
|
92.7
|
70.4
|
92.8
|
91.7
|
区分
|
企画随契に移行前の状況
|
企画随契に移行後の状況
|
||||
全体(A)
|
1者応札(B)
((B)/(A)) |
2者以上応札(C)
((C)/(A)) |
(B)のうち
|
|||
契約相手方が同じもの(D)
[(D)/(B)] |
契約相手方が異なるもの(E)
[(E)/(B)] |
|||||
件数
|
17
|
23
|
9
(39.1) |
14
(60.9) |
4
[44.4] |
5
[55.6] |
平均落札率
|
99.7
|
96.2
|
99.8
|
94.8
|
99.7
|
100
|
一般競争入札の実施に当たっては、入札の参加に必要な資格要件の定めを必要最小限のものとして、入札を関係業者等に周知するために、適切な方法で公告を行うことが、競争参加者の拡大につながると考えられる。
そこで、個別の事態の中から、随意契約から競争契約等に移行して、かつ、1者応札(応募)となっているものについて検査した。その結果、競争性の確保に関して検討の必要があったと認められた事例として、〔1〕 公告等の方法が限定的となっているもの、〔2〕 入札や応募の条件が制限的なものとなっていたり、その内容が明確でなかったりしているもの、〔3〕 仕様書等の内容が明確でないもの、〔4〕 公募において契約予定相手方名を表示しているものが見受けられた。
エ 「随意契約見直し計画」に基づいて適正化を進めることとされている契約の見直し状況
(ア) 随意契約点検の対象となった契約の見直し状況
17年度に内部部局が締結した契約で随意契約点検の対象となった15,279件のうち、18年度又は19年度(12月まで)に締結された契約と対応することが各府省等から提出された調書から把握できた7,595件(見直し後の件数は7,680件)について、19年12月までに各府省等が講じた見直し措置の状況をみると、表10のとおり、引き続き随意契約を行っているものが65.9%ある。
区分
|
点検対象となった随意契約
|
左のうち対応関係が把握できたもの
|
見直し状況(平成19年12月末現在)
|
合計
|
|||||
競争契約
(a) |
企画随契
(b) |
公募を経た随意契約
(c) |
(a)+(b)+(c)
|
引き続き随意契約
|
|||||
うち随契によらざるを得ないもの
|
|||||||||
件数
|
15,279
|
7,595
|
1,380
(18.0) |
889
(11.6) |
353
(4.6) |
2,622
(34.1) |
5,058
(65.9) |
2,199
(28.6) |
7,680
(100) |
注(1)
|
「競争契約」には、見直し後に競争入札を行った結果、不落・不調随契となったものを含めている。
|
注(2)
|
「公募を経た随意契約」については、平成18年度における実施状況を把握していないため、19年度において実施したもののみを計上している。
|
注(3)
|
「引き続き随意契約」とは、見直し後、公募を実施しないで、引き続き企画競争を経ない随意契約を行っているもの及び引き続き企画随契を行っているものである。
|
注(4)
|
「うち随契によらざるを得ないもの」とは、随意契約点検の結果、各府省等が引き続き随意契約によらざるを得ないとしているものである。表16においても同じ。
|
(イ) 見直し後における競争性等の状況
上記(ア)の7,595件のうち、19年12月までに見直しにより競争契約又は企画随契に移行したもの計2,243件(見直し後の件数計2,218件(不落・不調随契を除く。))について、応札(応募)者の数、落札率等の状況の変化についてみたところ、表11のとおりとなっている。
区分
|
競争契約に移行前の状況
|
競争契約に移行後の状況
|
||||
全体(A)
|
1者応札(B)
((B)/(A)) |
2者以上応札(C)
((C)/(A)) |
(B)のうち
|
|||
契約相手方が同じもの(D)
[(D)/(B)] |
契約相手方が異なるもの(E)
[(E)/(B)] |
|||||
件数
|
1,311
|
1,329
|
783
(58.9) |
546
(41.1) |
647
[82.6] |
136
[17.4] |
平均落札率
|
96.0
|
87.1
|
93.7
|
76.4
|
93.5
|
94.5
|
区分
|
企画随契に移行前の状況
|
企画随契に移行後の状況
|
||||
全体(A)
|
1者応札(B)
((B)/(A)) |
2者以上応札(C)
((C)/(A)) |
(B)のうち
|
|||
契約相手方が同じもの(D)
[(D)/(B)] |
契約相手方が異なるもの(E)
[(E)/(B)] |
|||||
件数
|
932
|
889
|
578
(65.0) |
311
(35.0) |
523
[90.5] |
55
[9.5] |
平均落札率
|
97.5
|
97.9
|
98.3
|
97.1
|
98.3
|
98.0
|
これらについて、前項ウの個別の事態に係る見直し状況の場合と同様に、競争契約等に移行して、かつ、1者応札(応募)となっているものを抽出し、入札手続等について検査するとともに、企画随契に移行して複数者の応募があったものも抽出し、企画競争の実施方法等について検査した。
その結果、競争性、透明性の確保に関して検討の必要があったと認められた事例として、〔1〕 入札や応募の条件が制限的なものとなっているもの、〔2〕 公募において契約予定相手方名を表示しているもの、〔3〕 企画競争の実施方法において透明性が十分でないものがあった。
(ウ) 競争性、経済性を高める工夫をしている事例
随意契約から競争契約等に移行したものの中には、各府省等において競争性を高める工夫をして競争契約等に移行しているものがあった。その主な事例としては、〔1〕 業務実施に必要な専門的な資料を国が作成することにより競争契約に移行しているもの、〔2〕 電子複写機の保守契約について支払予定額を定めることにより国庫債務負担行為に基づく複数年度契約を行っているもの、〔3〕 業務内容を具体的に仕様書に定めることにより競争契約に移行しているもの、〔4〕 契約を分割することにより競争契約に移行しているものがあった。
また、各府省等における契約のうちには、業務の内容等から引き続き随意契約によらざるを得ない場合でも、契約額を低減させていて経済性を確保しているものがあった。
ア 公益法人を契約相手方とする随意契約の実施状況
19年度(12月まで)の対象契約のうち公益法人を契約相手方とする契約の契約方式は、表12のとおり、随意契約の割合が、件数で72.7%、支払金額で85.4%となっており、前年度同期より、それぞれ、13.4ポイント、11.1ポイント低下している。また、企画競争等を経ない随意契約の割合は、件数で14.9%、支払金額で22.7%となっていて、前年度同期より、それぞれ52.5ポイント、58.0ポイント低下している。
区分
|
競争契約
(A) |
随意契約
(C) |
左のうち企画競争等を経ない随意契約
(E) |
計
|
||||||||
平成18年度(12月まで)
(B) |
割合の
増減値 (A)−(B) |
18年度(12月まで)
(D) |
割合の
増減値 (C)−(D) |
18年度(12月まで)
(F) |
割合の
増減値 (E)−(F) |
18年度(12月まで)
|
||||||
契約全体
|
73,407
(50.4)
|
61,753
(43.4)
|
[7.0]
|
72,376
(49.6)
|
80,651
(56.6)
|
[△7.0]
|
38,208
(26.2)
|
64,304
(45.2)
|
[△19.0]
|
145,783
(100)
|
142,404
(100)
|
|
公益法人が契約相手方 | 3,090
(27.3)
|
1,770
(13.9)
|
[13.4]
|
8,226
(72.7)
|
10,972
(86.1)
|
[△13.4]
|
1,688
(14.9)
|
8,588
(67.4)
|
[△52.5]
|
11,316
(100)
|
12,742
(100)
|
|
うち所管公益法人 | 2,111
(28.4)
|
1,300
(14.5)
|
[13.9]
|
5,314
(71.6)
|
7,692
(85.5)
|
[△13.9]
|
887
(11.9)
|
6,070
(67.5)
|
[△55.6]
|
7,425
(100)
|
8,992
(100)
|
区分
|
競争契約
(A) |
随意契約
(C) |
左のうち企画競争等を経ない随意契約
(E) |
計
|
||||||||
平成18年度(12月まで)
(B) |
割合の
増減値 (A)−(B) |
18年度(12月まで)
(D) |
割合の
増減値 (C)−(D) |
18年度(12月まで)
(F) |
割合の
増減値 (E)−(F) |
18年度(12月まで)
|
||||||
契約全体
|
939,219
(41.9)
|
835,730
(37.7)
|
[4.2]
|
1,304,917
(58.1)
|
1,379,588
(62.3)
|
[△4.2]
|
983,771
(43.8)
|
1,244,897
(56.2)
|
[△12.4]
|
2,244,137
(100)
|
2,215,318
(100)
|
|
公益法人が契約相手方 | 25,370
(14.6)
|
6,233
(3.5)
|
[11.1]
|
148,335
(85.4)
|
172,993
(96.5)
|
[△11.1]
|
39,353
(22.7)
|
144,602
(80.7)
|
[△58.0]
|
173,706
(100)
|
179,227
(100)
|
|
うち所管公益法人 | 22,917
(17.4)
|
4,838
(3.5)
|
[13.9]
|
109,106
(82.6)
|
134,939
(96.5)
|
[△13.9]
|
21,191
(16.1)
|
110,978
(79.4)
|
[△63.3]
|
132,024
(100)
|
139,778
(100)
|
しかし、競争契約における応札者数についてみると、表13のとおり、公益法人が契約相手方となっている場合の1者応札の件数割合は62.9%となっていて、契約全体の1者応札の割合(26.1%)と比べてかなり高くなっており、また、前年度同期と比較すると16.0ポイントも上昇している。また、企画随契においても公益法人が契約相手方となっている場合の1者応募の件数割合が45.7%と最も高く、企画随契全体の1者応募の割合(26.7%)より高くなっており、前年度同期と比較しても、10.8ポイント上昇している。
区分
|
1者応札
|
2者応札
|
3者応札
|
4者応札
|
5者以上応札
|
計
|
|||||||
平成18年度(12月まで)
|
18年度(12月まで)
|
18年度(12月まで)
|
18年度(12月まで)
|
18年度(12月まで)
|
18年度(12月まで)
|
||||||||
競争契約全体
|
19,155
(26.1)
|
10,363
(16.8)
|
11,030
(15.0)
|
8,090
(13.1)
|
7,913
(10.8)
|
6,308
(10.2)
|
5,736
(7.8)
|
4,716
(7.6)
|
29,573
(40.3)
|
32,276
(52.3)
|
73,407
(100)
|
61,753
(100)
|
|
公益法人が契約相手方
|
1,943
(62.9)
|
831
(46.9)
|
584
(18.9)
|
414
(23.4)
|
211
(6.8)
|
131
(7.4)
|
94
(3.0)
|
78
(4.4)
|
258
(8.3)
|
316
(17.9)
|
3,090
(100)
|
1,770
(100)
|
|
うち所管公益法人
|
1,377
(65.2)
|
647
(49.8)
|
378
(17.9)
|
261
(20.1)
|
129
(6.1)
|
88
(6.8)
|
50
(2.4)
|
48
(3.7)
|
177
(8.4)
|
256
(19.7)
|
2,111
(100)
|
1,300
(100)
|
区分
|
1者応募
|
2者応募
|
3者応募
|
4者応募
|
5者以上応募
|
計
|
|||||||
平成18年度(12月まで)
|
18年度(12月まで)
|
18年度(12月まで)
|
18年度(12月まで)
|
18年度(12月まで)
|
18年度(12月まで)
|
||||||||
企画随契全体
|
4,655
(26.7)
|
2,096
(16.6)
|
1,185
(6.8)
|
1,054
(8.4)
|
1,878
(10.8)
|
1,530
(12.1)
|
1,510
(8.7)
|
1,231
(9.8)
|
8,226
(47.1)
|
6,694
(52.3)
|
17,454
(100)
|
12,605
(100)
|
|
公益法人が契約相手方
|
1,269
(45.7)
|
793
(34.9)
|
265
(9.5)
|
296
(13.0)
|
113
(4.1)
|
166
(7.3)
|
61
(2.2)
|
81
(3.6)
|
1,071
(38.5)
|
937
(17.9)
|
2,779
(100)
|
2,273
(100)
|
|
うち所管公益法人
|
956
(56.1)
|
695
(45.5)
|
206
(12.1)
|
232
(15.2)
|
89
(5.2)
|
134
(8.8)
|
42
(2.5)
|
57
(3.7)
|
411
(24.1) )
|
408
(19.7)
|
1,704
(100)
|
1,526
(100)
|
イ 公益法人を契約相手方とする随意契約において随意契約とした理由の状況
公益法人を契約相手方とするものについて随意契約とした法令上の適用理由をみると、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当するためとしているものの件数割合は95.0%となっており、随意契約全体でみた場合に対して10ポイント以上高い状況となっている。
また、19年度(12月まで)の対象随意契約のうち、内部部局締結分について、法令上の適用理由を「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」に該当するとしている随意契約の具体的な理由をみると、Cグループの割合が16.2%で、17年度と比較して48.7ポイント低下しているが、随意契約全体の場合(13.0%)よりも高くなっている。
ウ 19年報告に掲記した公益法人を契約相手方とする契約(個別の事態)の見直し状況
(ア) 個別の事態の見直し状況
2−(2)−ウの個別の事態601件のうち、公益法人を契約相手方とする契約133件(見直し後の件数138件)について、19年度末現在で当局が講じた見直し状況をみると、表14のとおりとなっている。
区分
|
個別の事態
|
見直し状況(平成19年度末現在)
|
|||||||
措置済み
|
措置未済
|
当該年度限りなど
|
計
|
||||||
競争契約に移行
|
企画随契に移行
|
公募を実施
|
20年度に措置予定
|
未定
|
|||||
(うち20年7月1日現在で措置済み)
|
|||||||||
件数
|
133
|
83
|
13
|
3
|
2
|
(−)
|
7
|
30
|
138
|
(イ) 個別の事態について見直し後における競争性等の状況
上記の個別の事態のうち、19年度末までに競争契約又は企画随契に移行したもの計91件(見直し後の件数計95件(不落・不調随契を除く。))について、応札(応募)者の数、落札率等の変化をみると、表15のとおりとなっている。
区分
|
競争契約に移行前の状況
|
競争契約に移行後の状況
|
||||
全体(A)
|
1者応札(B)
((B)/(A)) |
2者以上応札(C)
((C)/(A)) |
(B)のうち
|
|||
契約相手方が同じもの(D)
[(D)/(B)] |
契約相手方が異なるもの(E)
[(E)/(B)] |
|||||
件数
|
80
|
82
|
40
(48.8) |
42
(51.2) |
32
[80.0] |
8
[20.0] |
平均落札率
|
95.8
|
80.5
|
92.8
|
73.0
|
93.3
|
91.2
|
区分
|
企画随契に移行前の状況
|
企画随契に移行前の状況
|
||||
全体(A)
|
1者応札(B)
((B)/(A)) |
2者以上応札(C)
((C)/(A)) |
(B)のうち
|
|||
契約相手方が同じもの(D)
[(D)/(B)] |
契約相手方が異なるもの(E)
[(E)/(B)] |
|||||
件数
|
11
|
13
|
4
(30.8) |
9
(69.2) |
3
[75.0] |
1
[25.0] |
平均落札率
|
99.5
|
99.9
|
99.7
|
99.9
|
99.7
|
−
|
そこで、個別の事態の中から、競争契約等に移行後の契約が1者応札(応募)となっているものについて検査したところ、競争性の確保に関して検討の必要があったと認められた事例として、入札や応募の条件が制限的なものとなっているものが見受けられた。
エ 「随意契約見直し計画」に基づいて適正化を進めることとされている公益法人を契約相手方とする契約の見直し状況
(ア) 公益法人を契約相手方とする随意契約点検の対象となった契約の見直し状況
17年度に内部部局が公益法人を契約相手方として締結した契約で随意契約点検の対象となった3,564件のうち、18年度又は19年度(12月まで)に締結された契約と対応することが各府省等から提出された調書から把握できた1,421件(見直し後の件数1,428件)について、19年12月までに各府省等が講じた見直しの措置の状況をみると、表16のとおり、引き続き随意契約を行っているものが41.7%ある。
区分
|
点検対象となった随意契約
|
左のうち対応関係が把握できたもの
|
見直し状況(平成19年12月末現在)
|
合計
|
|||||
競争契約
(a) |
企画随契
(b) |
公募を経た随意契約
(c) |
(a)+(b)+(c)
|
引き続き随意契約
|
|||||
うち随契によらざるを得ないもの
|
|||||||||
件数
|
3,564
|
1,421
|
364
(25.5) |
384
(26.9) |
85
(6.0) |
833
(58.3) |
595
(41.7) |
190
(13.3) |
1,428
(100) |
(イ) 競争性、透明性の確保に関して検討の必要があったと認められた事例
各府省等の随意契約点検の対象となった契約のうち、契約相手方が公益法人で、競争契約等に移行後、1者応札(応募)となっているものを抽出し、入札手続等について検査するとともに、企画随契に移行して複数者の応募があったものも抽出し、企画競争の実施方法等について検査した。
その結果、競争性、透明性の確保に関して検討の必要があったと認められた事例として、〔1〕 入札や応募の条件が制限的なものとなっているもの、〔2〕 仕様書等の記載内容に配慮の余地があったもの、〔3〕 分割可能な業務が契約内容に含まれているもの、〔4〕 公募において契約予定相手方名を表示しているもの、〔5〕 競争契約への移行について検討すべきであったもの、〔6〕 企画競争の実施方法において透明性が十分でないものが見受けられた。
オ 公益法人による再委託の状況
契約相手方に対して、契約の全部又は一部を更に第三者に再委託(下請を含む。以下同じ。)することを無条件に認めると、当該契約相手方を選定した発注者の意図に沿わない結果となったり、契約履行の責任の所在が不明確になって適正な履行の確保ができなくなったりするおそれがある。このため、一般的には、再委託は発注者の承認を必要とすることとされており、一括再委託は禁止されている。
そこで、対象随意契約のうち、契約相手方が公益法人で予定価格が300万円を超えるもの(以下「再委託対象契約」という。)についての再委託の状況をみると、次のとおりとなっている。
(ア) 再委託に関する契約条項の状況
19年度(12月まで)の再委託対象契約6,509件に係る契約書、仕様書等の条項(以下「契約条項」という。)において、再委託についてどのように定めているかをみると、一定の条件を付して認めている「条件付認容」が、件数で全体の87.3%を占めているが、「定めなし」がなお9.4%ある。
(イ) 再委託の実施状況
国の支払及び再委託に係る支払が共に完了していて、両方の支払金額の対応関係が明確な18年度の再委託対象契約のうち、再委託支払金額が判明しているものが1,718件ある。
これらについて、再委託率(国の支払金額に占める再委託支払金額の割合をいう。以下同じ。)の状況をみると、再委託率が50%以上となっている契約の割合は件数で8.3%、支払金額で12.9%となっており、このうち再委託率が90%以上となっているものは件数で1.6%、支払金額で4.6%となっている。これを、17年度と比較すると、再委託率が50%以上となっている契約の割合が、件数で12.0ポイント、支払金額で31.5ポイント減少しており、再委託率が90%以上のものは、それぞれ1.9ポイント、13.0ポイント減少している。
(ウ) 再委託が行われていた随意契約の競争契約への移行状況
19年報告において報告した17年度の再委託対象契約のうち再委託が行われていたものの中には、内部部局が締結した契約で各府省等の随意契約点検の対象となったものが、434件ある。このうち、18年度又は19年度(12月まで)に締結された契約との対応関係が把握できた208件(見直し後の件数201件)について、19年12月までに各府省等が講じた見直しの措置の状況をみると、引き続き随意契約を行っているものが28.9%ある。
上記の契約について検査したところ、企画随契に移行したものの中に、従来と同じ公益法人が契約相手方となっているが、当該公益法人が再委託していて、契約相手方の選定に関して検討の必要があったと認められた事例が見受けられた。また、企画競争等を経ない随意契約から競争契約等に移行したものの中には、従来の随意契約において公益法人から再委託を受けていた業者が、競争契約等の契約相手方となったものがあり、従来の随意契約について、公益法人を唯一の契約相手方であるとして随意契約を行っていた理由と再委託を行っていたこととの整合性に疑義のあるものがあった。
ア 契約事務体制の状況
各省庁の内部部局における契約担当職員(契約担当官等を含む。)の20年4月1日現在の数(実員)は、全体では1,304人(うち契約担当官等164人)であり、19年報告における18年4月1日現在の数より56人の増員となっており、ほとんどの省庁では、大きな変化はみられないが、大幅な増員が行われた省庁もある。
イ 随意契約に関する審査、監視体制等の状況
(ア) 事前の審査体制
随意契約とした理由の妥当性に関する事前の審査体制については、20年4月1日現在ですべての省庁において、契約担当部局が通常の契約締結事務の決裁を行う中で審査を行っている。これに加えて、内部規程等に基づき設置された審査委員会等や監査担当部局等がそれぞれ又は重ねて審査を行うとしている省庁が33省庁ある。
(イ) 内部監査の実施状況
各省庁の内部部局の内部監査機関が19年度に実施した随意契約に関する内部監査の状況をみると、ほとんどの省庁において、引き続き重点事項として監査を実施している。
また、監査結果のデータベース化についてみると、11省庁においては、内部監査の結果をイントラネット等に掲示して全職員が閲覧可能な状況であるとして、16省庁においては、監査担当部局等一部の職員が閲覧できる状況であるとする一方、データベース化には至っていない省庁もなお相当数見受けられる。
(ウ) 契約監視のための第三者機関の設置・監視状況
19年11月の公共調達の適正化に関する関係省庁連絡会議において行われた「随意契約の適正化の一層の推進について」の申合せにより、すべての契約の監視が行えるよう、すべての府省に設置されることとなった第三者機関のうち、物品・役務等の契約を監視対象とする第三者機関の設置状況をみると、20年5月1日現在では内部部局に35機関、地方支分部局等に122機関設置されている。
このうち、内部部局に設置されている35機関の状況は、次のとおりである。
a 第三者機関の体制等
委員については、ほとんどが3人から5人となっているが、委員の除斥規定の有無については、各機関の設置規程等において、委員が自己又は親族等に利害のある審査等に参加できないとする規定を設けているものが29機関、設けていないものが6機関となっている。
会議の開催回数については、設置規程等において規定する最低限の開催回数を年間4回開催としている機関が比較的多いが、中には年間1回の開催としているものもある。
対象契約の抽出については、設置規程等で審査対象の契約を抽出する方法を定めているものが26機関あるが、このうち、前記の申合せの中で重点的に監視することとされている「応札者(応募者)が1者しかいないもの」を抽出対象として明記しているものは11機関となっている。
意見の具申方法については、設置規程等において、会計課長等に対して行うと規定しているものが多いが、具申の規定がないものが1機関、具申の相手について特に定めのないものが4機関ある。
b 第三者機関の監視状況
19年度に開催された直近の会議では、審査の対象契約件数は5件から4,588件、審議時間は2時間から6時間、審査のために選定された件数は2件から35件となっている。
19年度開催の会議では、抽出した契約について、各委員から様々な意見、質問等が出されているが、委員会としての意見の具申、勧告の実績はない。
19年度開催の会議に係る審議の公表状況(20年7月1日現在)をみると、多くの省庁はホームページ上で公表しているが、準備中として公表していない省庁や、公表手段を閲覧窓口における閲覧等のみとしている省庁もある。
ウ 契約情報の公表状況
内部部局のホームページから地方支分部局の契約情報を掲載したページへのリンクの設定状況をみたところ、リンクを設定しておらず利便性が十分でない省庁が見受けられた。また、近年、各省庁の予算がどのように使われているか国民に分かりやすく明らかにするよう求められているが、各省庁のホームページにおける契約情報の掲載方式をみると、いずれの省庁も、会計別や主な契約相手方ごとの年間合計支払金額等の情報が一覧できない状況である。
ア 随契先公益法人への所管府省退職者の再就職者の状況
対象随意契約の相手方となっている所管公益法人(以下「随契先公益法人」という。)の数は1,141法人であり、19年4月1日現在における所管府省退職者の再就職者(注4) の状況をみると、表17のとおりである。
所管公益法人数(A)
|
随契先公益法人数(B)
((B)/(A)) |
(B)のうち所管府省退職者の再就職者の在籍の有無別法人数
|
(C)における所管府省退職者の再就職者数(D)
|
1法人当たりの平均再就職者数
(D)/(C) |
(C)の随契先公益法人への随契支払額
|
||
「有」(C)
((C)/(B)) |
「無」
|
平成18年度
|
19年度
(12月まで) |
||||
6,723
|
1,141[1,179]
(17.0%) |
897[917]
(78.6%) <962> 【△65】 |
244[262]
|
9,196
<9,993> 【△797】 |
10.2
|
316,764
|
105,475
|
注(1)
|
[ ]書きは、共管公益法人の重複を含んだ延べ法人数である。
|
注(2)
|
< >書きは、平成18年4月1日現在の法人数、再就職者数であり、【 】書きは19年4月1日現在と18年4月1日現在とを比較した増△減数である。
|
注(3)
|
「(C)の随契先公益法人への随契支払額」は、再就職者が在籍している随契先公益法人への随意契約に係る所管府省からの支払金額である。
上記の随契先公益法人(延べ1,179法人)について、所管府省退職者の再就職者が在籍しているもの(延べ917法人)と在籍していないもの(延べ262法人)とに区分して、所管府省からの随意契約との関係についてみると、1法人当たりの随意契約の件数及び支払金額、随意契約のうち企画競争等を経ない随意契約の割合並びに企画随契のうち1者応募の割合は、表18及び19のとおりとなっている。 |
区分
|
随意契約が締結された年度
|
法人数
(A) |
件数
|
支払金額
|
||||||
随意契約
(B) |
1法人当たり随意契約件数
(B)/(A) |
(B)のうち、企画競争等を経ない随意契約
(C) |
企画競争等を経ない随意契約の割合
(C)/(B) |
随意契約
(D) |
1法人当たり随意契約支払金額
(D)/(A) |
(D)のうち、企画競争等を経ない随意契約
(E) |
企画競争等を経ない随意契約の割合
(E)/(D) |
|||
再就職者在籍有り
|
平成18年度
|
864
|
7,801
|
9.0
|
6,254
|
80.2%
|
316,764
|
366
|
254,314
|
80.3%
|
19年度(12月まで)
|
724
|
4,909
|
6.7
|
833
|
17.0%
|
105,475
|
145
|
19,748
|
18.7%
|
|
計
|
917
|
12,710
|
13.8
|
7,087
|
55.8%
|
422,240
|
460
|
274,062
|
64.9%
|
|
再就職者在籍無し
|
18年度
|
212
|
489
|
2.3
|
153
|
31.3%
|
10,079
|
47
|
5,391
|
53.5%
|
19年度(12月まで)
|
186
|
393
|
2.1
|
53
|
13.5%
|
2,295
|
12
|
568
|
24.7%
|
|
計
|
262
|
882
|
3.3
|
206
|
23.4%
|
12,375
|
47
|
5,959
|
48.2%
|
区分
|
随意契約が締結された年度
|
法人数
|
件数
|
支払金額
|
||||
企画随契
(A) |
うち1者応募
(B) |
1者応募の割合
(B)/(A) |
企画随契
(C) |
うち1者応募
(D) |
1者応募の割合
(D)/(C) |
|||
再就職者在籍有り
|
平成18年度
|
864
|
1,479
|
752
|
50.8%
|
61,866
|
28,034
|
45.3%
|
19年度(12月まで)
|
724
|
1,441
|
896
|
62.2%
|
30,701
|
15,679
|
51.1%
|
|
計
|
917
|
2,920
|
1,648
|
56.4%
|
92,567
|
43,714
|
47.2%
|
|
再就職者在籍無し
|
18年度
|
212
|
290
|
57
|
19.7%
|
3,906
|
1,607
|
41.2%
|
19年度(12月まで)
|
186
|
250
|
49
|
19.6%
|
490
|
181
|
36.9%
|
|
計
|
262
|
540
|
106
|
19.6%
|
4,396
|
1,789
|
40.7%
|
これらによると、所管府省退職者の再就職者が在籍している随契先公益法人については、在籍していない随契先公益法人に比べて、1法人当たりの随意契約件数や支払金額が多く、また、随意契約のうち企画競争等を経ない随意契約の割合や企画随契のうち1者応募の割合も高い状況となっている。
イ 主な随契先民間企業等への発注元府省等退職者の再就職者の状況
今回の報告では、府省等ごとに、18年度における随意契約に係る支払金額の合計額が多い法人(合計額が1000万円以下の法人等を除く。)上位30法人(防衛省については、民間企業との随意契約に係る支払金額が多額で、その割合も高いため上位50法人)を調査対象に加えた。これら所管公益法人以外の主な民間企業等の随意契約先(以下「主な随契先民間企業等」という。)391法人について、19年4月1日現在における発注元府省等退職者の再就職者(注5) の状況をみると、表20のとおりとなっている。
調査した主な随契先民間企業等の数
(A) |
(A)のうち、発注元府省等退職者の再就職者の在籍の有無別法人数
|
(B)における発注元府省等退職者の再就職者数(C)
|
1法人当たりの平均再就職者数
(C)/(B) |
(B)の主な随契先民間企業等への随契支払額
|
||||
「有」(B)
((B)/(A)) |
「無」
|
「調査困難等」
|
うち役員数
|
平成18年度
|
19年度(12月まで)
|
|||
391
|
112
(28.6%) |
214
|
65
|
1,119
|
151
|
9.9
|
649,389
|
228,843
|
注(1)
|
「調査困難等」は、発注元府省等から、調査を実施したが主な随契先民間企業等の協力を得られなかったなどとする回答があった法人数である。
|
注(2)
|
「(B)の主な随契先民間企業等への随契支払額」は、再就職者が在籍している主な随契先民間企業等への随意契約に係る発注元府省等からの支払金額である。
|
随契先公益法人を相手方とする対象随意契約で予定価格が300万円を超えるもののうち、18年度又は19年度(12月まで)のいずれかの年度の再委託支払金額が年間合計1000万円を超えている再委託先の数は、430法人(再委託元の随契先公益法人は115法人)である。
ア 再委託先への所管府省退職者の再就職者数
上記の再委託先430法人について、調査の協力を得て提出された調査票等から把握できた範囲での19年4月1日現在における所管府省退職者の再就職者の状況をみると、表21のとおりである。
区分
|
再委託先の数
|
左のうち所管府省退職者の再就職者の在籍の有無別数
|
(A)における所管府省退職者の再就職者数
(B) |
1法人当たりの平均再就職者数
(B)/(A) |
|||
「有」(A)
|
「無」
|
「調査困難等」
|
|||||
平成19年4月1日現在
(C) |
430
|
27
|
53
|
350
|
87
|
3.2
|
|
(参考)
|
18年4月1日現在
(D) |
528
|
27
|
29
|
472
|
96
|
3.5
|
(C)−(D)
|
△98
|
0
|
24
|
△122
|
△9
|
△0.3
|
イ 再委託先への随契先公益法人退職者の再就職者数
前記の再委託先430法人について、調査の協力を得て提出された調査票等から把握できた範囲での19年4月1日現在における随契先公益法人退職者の再就職者(注6) の状況をみると、表22のとおりである。
区分
|
再委託先の数
|
左のうち随契先公益法人退職者の再就職者の在籍の有無別数
|
(A)における随契先公益法人退職者の再就職者数(B)
|
1法人当たりの平均再就職者数
(B)/(A) |
(B)のうち所管府省退職者数
|
|||
「有」(A)
|
「無」
|
「調査困難等」
|
||||||
平成19年4月1日現在
(C) |
430
|
39
|
376
|
15
|
85
|
2.1
|
58
|
|
(参考)
|
18年4月1日現在
(D) |
528
|
30
|
405
|
93
|
84
|
2.8
|
41
|
(C)−(D)
|
△98
|
9
|
△29
|
△78
|
1
|
△0.7
|
17
|
ア 随契先公益法人の従業員及び役員に占める再就職者の比率
所管府省退職者の再就職者が従業員又は役員として在籍している897法人について、従業員数又は役員数に占める所管府省退職者の再就職者数の比率を示すと、表23のとおりである。
所管府省退職者の再就職者が在籍している随契先公益法人数
|
従業員・役員の別
|
所管府省退職者の占める比率別随契先公益法人数
|
||||||||||
該当者無し
|
10%未満
|
10%以上
20%未満 |
20%以上
30%未満 |
30%以上
40%未満 |
40%以上
50%未満 |
50%以上
60%未満 |
60%以上
70%未満 |
70%以上
80%未満 |
80%以上
90%未満 |
90%以上
|
||
897
|
従業員
|
342
(37.3) |
224
(24.4) |
133
(14.5) |
84
(9.2) |
50
(5.5) |
22
(2.4) |
24
(2.6) |
13
(1.4) |
9
(1.0) |
6
(0.7) |
10
(1.1) |
役員
|
58
(6.3) |
325
(35.4) |
206
(22.5) |
150
(16.4) |
98
(10.7) |
37
(4.0) |
20
(2.2) |
8
(0.9) |
4
(0.4) |
6
(0.7) |
5
(0.5) |
イ 再委託先の従業員及び役員に占める再就職者の比率
前項(6)において、所管府省退職者の再就職者が従業員又は役員で在籍有りとの回答があった再委託先27法人について、調査票等で把握できた範囲で、従業員数又は役員数に占める所管府省退職者の再就職者数の比率を示すと、表24のとおりである。
所管府省退職者の再就職者が在籍している再委託先の数
|
従業員・役員の別
|
所管府省退職者の占める比率別再委託先数
|
||||||||||
該当者無し
|
10%未満
|
10%以上
20%未満 |
20%以上
30%未満 |
30%以上
40%未満 |
40%以上
50%未満 |
50%以上
60%未満 |
60%以上
70%未満 |
70%以上
80%未満 |
80%以上
90%未満 |
90%以上
|
||
27
|
従業員
|
13
(46.4) |
14
(50.0) |
−
|
1
(3.6) |
−
|
−
|
−
|
−
|
−
|
−
|
−
|
役員
|
9
(32.1) |
8
(28.6) |
2
(7.1) |
4
(14.3) |
4
(14.3) |
−
|
−
|
1
(3.6) |
−
|
−
|
−
|
随契先公益法人退職者の再就職者が在籍している再委託先の数
|
従業員・役員の別
|
随契先公益法人退職者の占める比率別再委託先数
|
||||||||||
該当者無し
|
10%未満
|
10%以上
20%未満 |
20%以上
30%未満 |
30%以上
40%未満 |
40%以上
50%未満 |
50%以上
60%未満 |
60%以上
70%未満 |
70%以上
80%未満 |
80%以上
90%未満 |
90%以上
|
||
39
|
従業員
|
15
(36.6) |
22
(53.7) |
3
(7.3) |
1
(2.4) |
−
|
−
|
−
|
−
|
−
|
−
|
−
|
役員
|
22
(53.7) |
1
(2.4) |
6
(14.6) |
4
(9.8) |
−
|
−
|
2
(4.9) |
2
(4.9) |
1
(2.4) |
−
|
3
(7.3) |
3 検査の結果に対する所見
各府省等が締結している随意契約等について、合規性、経済性、効率性、有効性等の観点から、随意契約の見直し状況の検証を中心に、契約事務が適切に行われて、公正性、競争性及び透明性が確保されているかなどに着眼して検査を行った。
ア 契約方式の状況とその変化について
(ア) 19年度(12月まで)の対象契約全体でみると、随意契約の割合(件数49.6%、支払金額58.1%)は、前年度同期より、件数で7.0ポイント、支払金額で4.2ポイント減少している。しかし、支払金額割合では競争契約を依然上回っており、また、平均落札率も競争契約の85.7%に対して随意契約が98.1%と10ポイント以上高くなっていて、競争性及び経済性の面でまだ十分ではない状況となっている。
一方、競争契約の割合は、前年度同期に比べて増加しているものの、1者応札契約の件数割合は26.1%と9.3ポイント増加している。そして、1者応札の平均落札率(93.1%)は、2者以上応札よりも7ポイントから10ポイント程度上回っており、落札率からみた場合、1者応札の場合には実質的な競争性を確保しにくい状況となっている。
(イ) 随意契約のうち、企画競争等を経ない随意契約は、対象契約全体に占める件数割合が19年度(12月まで)でみると26.2%であり、前年度同期に比べて19.0ポイント減少している一方で、企画随契の件数割合は増加している。しかし、企画随契の応募者数をみると、1者応募のものが件数で26.7%あり、前年度同期に比べて10.1ポイント増加していて、企画競争において複数の業者の中から優れた企画を提案した者を選定する手続の実効性を確保しにくい状況となっている。
(ウ) 随意契約の法令上の適用理由は、「契約の性質又は目的が競争を許さない場合」が大部分を占めている。そして、その具体的な理由を19年度(12月まで)でみると、「専門的又は高度な知識、知見、技術を有する」や「契約実績、経験を有する」など、ほかに履行可能な者がいないことが必ずしも明確にされていないものの件数割合(13.0%)が、17年度より24.5ポイント減少している。このことから、各府省等が随意契約の見直しにおいて、これらの契約を重点的に競争契約や企画随契へ移行させたと考えられる。
(エ) 19年報告において報告した随意契約の理由の妥当性に関して検討の余地があったもの(個別の事態)601件について、19年度末における見直し状況をみると、ほとんどが競争契約等に移行しているものの、中には、移行手続に相当の時間を必要とすることなどを理由に措置未済となっているものが95件残っている。また、競争契約に移行したものについても、50%強が1者応札となっていて、その平均落札率は移行前とほぼ同水準で、契約相手方もそのほとんどは随意契約当時の相手方と同一の者となっている。
さらに、個別の事態とは別に、各府省等が点検を行った随意契約について、その見直し前後の契約の状況を比較すると、競争契約等に移行したもののうち半数以上が1者応札(応募)となっているなど、個別の事態の見直し状況の場合と同様、実質的な競争性を確保しにくい状況となっている。
(オ) 上記の見直し後、競争契約、企画随契や公募実施に移行して、かつ、1者応札(応募)となっているものなどを抽出して検査したところ、競争契約や企画随契において、入札や応募の資格要件に制限的な条件を付するなど競争性の確保に関して検討の必要があったもの、企画競争の実施方法において透明性が十分でないものなどが見受けられる。
イ 公益法人を契約相手方とする随意契約の状況とその変化について
(ア) 公益法人を契約相手方とする契約について、19年度(12月まで)の対象契約全体でみると、随意契約の割合(件数72.7%、支払金額85.4%)は、前年度同期より件数で13.4ポイント、支払金額で11.1ポイント減少しており、特に、このうち企画競争等を経ない随意契約の割合は大幅に減少している。しかし、随意契約の割合は、依然として、契約全体でみた場合(件数49.6%、支払金額58.1%)よりも高い。また、競争契約における1者応札の件数割合は62.9%に上っており、契約全体でみた場合(26.1%)より大幅に高く、前年度同期と比べても16.0ポイント増加している。さらに、企画随契における1者応募の件数割合も45.7%と契約全体でみた場合(26.7%)より高く、前年度同期と比べても10.8ポイント増加している。
このように、公益法人を契約相手方とする契約については、競争契約や企画随契等の割合が増加しているものの、契約全体と比較して実質的な競争性が十分確保されていない状況となっている。
(イ) 公益法人を契約相手方とする随意契約における再委託について、19年度(12月まで)でみると、契約条項において再委託に関する規定を設けていないものが依然として9.4%ある。また、国の支払金額と再委託に係る支払金額との対応関係が把握できる18年度でみると、再委託が行われている契約のうち再委託率が50%以上となっているものが10%前後となっている。
さらに、19年報告において報告した17年度分の再委託対象契約について、その後の状況をみると、企画随契に移行したものの中に、引き続き重要な業務を再委託していたものが見受けられる。
ウ 契約の透明性の向上に向けた取組の状況について
(ア) 内部監査の実施状況については、ほとんどの省庁で随意契約に関する監査を重点事項としているが、監査結果の情報の蓄積と共有化を図るために重要と考えられるデータベース化を行っていない省庁が相当数見受けられる。
(イ) 各府省等の契約の監視を行う第三者機関については、すべての省庁の内部部局に設置されているが、審査対象とする契約を抽出する方法や審査結果の意見の具申先を定めていなかったり、審議の概要をホームページ上に公表していなかったりなど、審議の効率性や透明性の面で十分でない省庁が見受けられる。
(ウ) 契約情報の公表状況については、各省庁とも公表すべきと定められている項目は公表しているが、内部部局のホームページに地方支分部局の契約情報を掲載したページへのリンクを設定していないなどアクセスの利便性に欠ける省庁があるほか、いずれの省庁も、会計別や主な契約相手方ごとの年間合計支払金額等の情報が一覧できるような方式にはなっていない状況である。
エ 所管府省退職者の再就職について
随意契約先公益法人への所管府省退職者の再就職者は、19年4月1日現在で897法人に9,196人が在籍しており、19年報告に比べて65法人、797人減少している。しかし、所管府省退職者の再就職者が在籍している公益法人は、在籍していない公益法人に比べて、1法人当たりの随意契約件数や支払金額が多く、また、随意契約のうち企画競争等を経ない随意契約の占める割合や企画随契のうち1者応募の占める割合が高い状況となっている。
国の契約は、その支払財源に国民からの貴重な税金等が充てられているが、現下の財政事情が厳しい状況にあることにかんがみると、契約の締結に当たって、経済的及び効率的に行っていくことはますます重要となっている。
このような中で、各府省等は、「随意契約見直し計画」等に基づき、公共調達の適正化への取組を行っており、その結果、競争契約の割合も増加するなどしているが、前記(1)で記述したとおり、実質的な競争性の確保等の面からは幾つかの課題が見受けられる。
したがって、各府省等においては、随意契約の適正化を一層推進するため、「随意契約見直し計画」の厳正な実施を徹底するとともに、契約の締結に当たっては、更に次の点に留意することにより、契約の公正性、競争性及び透明性の更なる向上に努める必要がある。
ア 契約方式について
(ア) 引き続き随意契約が行われているもののうち、真に随意契約によらざるを得ないと認められるもの以外は、発注する業務の内容を仕様書等において具体的に定めるなどして早急に総合評価方式を含む競争契約への移行を図る。また、仕様書等の内容を具体的に提示することが困難な場合に限って企画随契への移行を検討することとして、競争契約が可能なものを安易に企画随契としないよう留意する。そして、いずれの契約方式においても、契約金額の上限となる予定価格の一層適正な作成に努める。
(イ) 競争契約や企画随契を行うに当たっては、入札や応募の内容についてより多くの者に周知できるような方法で公告等を行うとともに、契約の適正な履行の確保に配慮しつつ、より多くの者の参加が可能となるよう、入札や応募の資格要件は制限的なものとならない必要最小限にとどめるほか、仕様書や実施要領等の内容を明確にするなどして、実質的な競争性の確保に努める。
(ウ) 企画競争を実施する場合には事業実施部局の担当職員以外の者も審査に参加させたり、公募を実施する場合には契約予定相手方名の表示は行わないようにしたりなどして、それぞれ公正性及び透明性の一層の向上を図る。
イ 公益法人を契約相手方とする随意契約について
(ア) やむを得ず公益法人を契約の相手方とした随意契約を行わざるを得ない場合においても、ほかに履行可能な者がいないかの把握等を更に厳格に行うとともに、企画競争等を経ない随意契約から競争契約や企画随契に移行する場合には、上記のア(イ)と同様、実質的な競争性の確保に努める。
(イ) 再委託については、禁止する又は承認を必要とする旨の契約条項を必ず設けるとともに、特に、再委託率が高率となるものについては、再委託の妥当性や随意契約とした理由との整合性に留意する。
ウ 契約の透明性の向上に向けた取組について
(ア) 内部監査の結果による指示・指摘事項等については、データベース化を行うなどして、省庁内での情報の蓄積と共有化を図る。
(イ) 第三者機関の運営については、各機関がその機能を十分発揮するために、実質的な審議が効率的に進められるよう工夫を行うほか、審議内容の公表について透明性の向上を図る。
(ウ) 各府省等の全体の契約情報へのアクセスが容易となるよう、ホームページにおける更なる利便性の向上を図るとともに、国民の要望に配慮した情報の提供について更に検討する。
エ 契約の発注元府省等退職者の再就職について
契約の発注元府省等退職者の再就職者が在籍している法人を随意契約の相手方とする場合には、特に透明性の確保に留意して、随意契約とした理由や企画競争における応募要件の妥当性等について十分説明責任を果たせるようにする。
本院としては、契約の公正性、競争性及び透明性の重要性にかんがみ、今後とも、各府省等の契約について、多角的な観点から引き続き検査していくこととする。