科目 | 経常費用 |
部局等 | 独立行政法人日本芸術文化振興会 |
契約名 | 物品供給契約 |
契約の概要 | 広報誌を購入するもの |
契約の相手方 | 財団法人清栄会 |
広報誌の購入費 | 4800万円(平成16事業年度〜19事業年度) |
節減できた金額 | 1763万円(平成16事業年度〜19事業年度) |
独立行政法人日本芸術文化振興会(以下「振興会」という。)は、芸術その他の文化の向上に寄与することを目的として、国立劇場、国立文楽劇場等の劇場施設を設置し、我が国古来の伝統的な芸能の公開及び我が国における現代の舞台芸術の公演を行うなどの業務を行っている。
そして、振興会では、これら劇場施設における公演情報の周知等のため、広報誌として日本芸術文化振興会ニュース(以下「振興会ニュース」という。)、芸術文化振興基金、あぜくら及び国立文楽劇場友の会会報の4誌を劇場施設への来場者、会員等に配布している。
会計検査院は、経済性等の観点から、広報誌の調達が適切に行われ、経済的なものになっているかなどに着眼し、振興会の本部において、平成16事業年度から19事業年度までの間の広報誌に関する契約書、仕様書等を確認し、その作成、発行の実態等を聴取するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
前記の広報誌4誌のうちの振興会ニュースについてみると、振興会は、財団法人清栄会(以下「清栄会」という。)が発行者として作成したものを随意契約により購入していた。この契約は、1部当たりの単価を100円として毎月10,000部ずつ、年間120,000部を購入するもので、その支払額は16事業年度から19事業年度までの間で計4800万円となっていた。
この振興会ニュースの作成の実態をみると、清栄会は、〔1〕 編集業務については、振興会から国立劇場等の公演情報等の提供を受けるとともに、振興会の指示・監修の下で紙面のレイアウトの実施、エッセイの執筆依頼等を行っていた。また、〔2〕 印刷・製本業務については民間の印刷業者に請け負わせて実施していた。そして、清栄会は、このようにして作成した振興会ニュースの全数を振興会に上記の金額で売却し、振興会はこれを国立劇場等に常備し来場者等に無料で配布するなどしていた。
このような振興会ニュースの作成の実態等からみて、振興会において、振興会ニュースを清栄会から定価で購入して調達する方法は適切とは認められず、振興会自らが発行することとした上で、編集業務については自ら又は委託により行い、印刷・製本業務については業者に請け負わせるなどすることにより、経済的な調達を行う必要があると認められた。
現に、振興会ニュース以外の芸術文化振興基金等3誌については、振興会は、自らを発行者とした上で、編集業務を自ら又は委託により行い、印刷・製本業務を民間の業者に請け負わせて調達し、これを配布していた。そして、これらの広報誌のうち、振興会ニュースと形状、装丁が類似する「あぜくら」をみると、19事業年度における作成部数は204,000部、これに対する支払額は519万余円で1部当たりの単価は約25円となっていた。
前記のとおり、振興会が振興会ニュースを自ら作成し発行することとして、これに要する経費を積算参考資料等に基づき算定すると、前記の支払額計4800万円は、16事業年度から19事業年度までの間で計3036万余円となり、計1763万余円が節減できると認められた。
このような事態が生じていたのは、振興会において、振興会ニュースの調達に当たり、作成の実態を反映し、振興会自らが振興会ニュースを発行することとした上で、編集業務については自ら又は委託により行い、印刷・製本業務については業者に請け負わせることとするなど、経済的な調達を図ることについての認識が十分でなかったことによると認められた。
上記についての会計検査院の指摘に基づき、振興会は、振興会ニュースについて、清栄会との随意契約により購入する方法を改め、次のとおり、作成の実態に即して自ら発行する方法とすることにより、調達価格の節減を図る処置を講じた。
ア 編集業務については、平成20年4月号から振興会自らが実施することとした。
イ 印刷・製本業務については、20年3月に一般競争入札を実施し、20年4月に印刷業者と請負契約を締結した。