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  • 国会及び内閣に対する報告(随時報告)|
  • 会計検査院法第30条の2の規定に基づく報告書|
  • 平成20年7月

国及び国が資本金の2分の1以上を出資している法人における談合等に係る違約金条項の導入状況等について


2 検査の観点、着眼点、対象及び方法

(1) 検査の観点及び着眼点

 国の機関等が締結する契約においては、公共工事に関するものに限らず、指針の趣旨を踏まえるなどして、談合等によって生じた損害の回復を容易にするとともに、談合等に対する抑止効果を期待して、談合等が発生し、その事実が確定するなどした場合は、契約相手方はあらかじめ約定した額(以下「違約金」という。)を支払わなければならないとする契約条項(以下「違約金条項」という。)を契約書に付するものが増えてきている。
 そして、契約書に違約金条項が付されていない場合でも、談合等の事実が明らかとなった場合は、談合等の結果として発注者が被った損害額(以下「損害額」という。)の調査を行い、損害額として算定された額を請求(以下、違約金条項によらず請求する損害額を「損害金」といい、違約金と損害金とを合わせて「違約金等」という。)するなどして、損害の回復を図る必要がある。
 そこで、国及び国が資本金の2分の1以上を出資している法人の契約について、合規性、経済性、効率性等の観点から、主として次の項目に着眼して検査を行った。
〔1〕  違約金条項の導入状況はどのようになっているか、また、違約金条項の規定内容は、その趣旨に照らして妥当なものとなっているか。
〔2〕  談合等の事実が確定した契約について、違約金等を確実に請求するなど、損害の回復に向けた取組は適切に行われているか。

(2) 検査の対象及び方法

 国の機関のうち自ら契約を締結していない公安審査委員会及び船員労働委員会を除いた39府省庁等(内部部局39箇所及び地方支分部局等2,642箇所)(注3) 及び国が資本金の2分の1以上を出資している法人のうち清算中のものなど14法人を除いた207法人(表1-2 参照)を対象として検査した(以下、検査の対象とした府省庁等及び法人を「検査対象機関」という。)。

 地方支分部局等2,642箇所  平成19年11月末日現在で支出負担行為担当官等が設置されており、17年4月1日から19年11月30日までの間において、支出の原因となる契約(契約書の作成を省略している契約及び契約金額が少額であることを理由として随意契約とした契約を除く。)を締結している箇所


表1-2
 検査の対象とした39府省庁等及び207法人

39府省庁等
内閣官房、内閣法制局、人事院、内閣本府、宮内庁、公正取引委員会、警察庁、金融庁、総務本省、公害等調整委員会、消防庁、法務本省、公安調査庁、外務省、財務本省、国税庁、文部科学本省、文化庁、厚生労働本省、中央労働委員会、社会保険庁、農林水産本省、林野庁、水産庁、経済産業本省、資源エネルギー庁、特許庁、中小企業庁、国土交通本省、気象庁、海上保安庁、海難審判庁、環境省、防衛省、衆議院、参議院、国立国会図書館、裁判所、会計検査院
207法人
政府関係機関(7)
国民生活金融公庫、農林漁業金融公庫、中小企業金融公庫、公営企業金融公庫、沖縄振興開発金融公庫、日本政策投資銀行、国際協力銀行
株式会社等(16)
日本私立学校振興・共済事業団、日本銀行、日本中央競馬会、商工組合中央金庫、関西国際空港株式会社、日本たばこ産業株式会社、預金保険機構、東京地下鉄株式会社、日本環境安全事業株式会社、成田国際空港株式会社、東日本高速道路株式会社、中日本高速道路株式会社、西日本高速道路株式会社、本州四国連絡高速道路株式会社、日本郵政株式会社、日本司法支援センター
独立行政法人(94)
国立公文書館、情報通信研究機構、酒類総合研究所、国立特別支援教育総合研究所、大学入試センター、国立青少年教育振興機構、国立女性教育会館、国立科学博物館、物質・材料研究機構、防災科学技術研究所、放射線医学総合研究所、国立美術館、国立文化財機構、労働安全衛生総合研究所、農林水産消費安全技術センター、種苗管理センター、家畜改良センター、水産大学校、農業・食品産業技術総合研究機構、農業生物資源研究所、農業環境技術研究所、国際農林水産業研究センター、森林総合研究所、水産総合研究センター、日本貿易保険、産業技術総合研究所、製品評価技術基盤機構、土木研究所、建築研究所、交通安全環境研究所、海上技術安全研究所、港湾空港技術研究所、電子航法研究所、航海訓練所、海技教育機構、航空大学校、国立環境研究所、教員研修センター、駐留軍等労働者労務管理機構、自動車検査、造幣局、国立印刷局、国民生活センター、通関情報処理センター、日本万国博覧会記念機構、農畜産業振興機構、農林漁業信用基金、緑資源機構、北方領土問題対策協会、平和祈念事業特別基金、国際協力機構、国際交流基金、新エネルギー・産業技術総合開発機構、科学技術振興機構、日本学術振興会、理化学研究所、宇宙航空研究開発機構、日本スポーツ振興センター、日本芸術文化振興会、高齢・障害者雇用支援機構、福祉医療機構、国立重度知的障害者総合施設のぞみの園、労働政策研究・研修機構、日本貿易振興機構、鉄道建設・運輸施設整備支援機構、国際観光振興機構、水資源機構、自動車事故対策機構、空港周辺整備機構、海上災害防止センター、情報処理推進機構、石油天然ガス・金属鉱物資源機構、雇用・能力開発機構、労働者健康福祉機構、国立病院機構、医薬品医療機器総合機構、環境再生保全機構、日本学生支援機構、海洋研究開発機構、国立高等専門学校機構、大学評価・学位授与機構、国立大学財務・経営センター、メディア教育開発センター、中小企業基盤整備機構、都市再生機構、奄美群島振興開発基金、国立国語研究所、医薬基盤研究所、日本高速道路保有・債務返済機構、日本原子力研究開発機構、年金・健康保険福祉施設整理機構、年金積立金管理運用、住宅金融支援機構、郵便貯金・簡易生命保険管理機構
国立大学法人(86)
北海道大学、北海道教育大学、室蘭工業大学、小樽商科大学、帯広畜産大学、旭川医科大学、北見工業大学、弘前大学、岩手大学、東北大学、宮城教育大学、秋田大学、山形大学、福島大学、茨城大学、筑波大学、宇都宮大学、群馬大学、埼玉大学、千葉大学、東京大学、東京医科歯科大学、東京外国語大学、東京学芸大学、東京農工大学、東京芸術大学、東京工業大学、東京海洋大学、お茶の水女子大学、電気通信大学、一橋大学、横浜国立大学、新潟大学、長岡技術科学大学、上越教育大学、金沢大学、福井大学、山梨大学、信州大学、岐阜大学、静岡大学、浜松医科大学、名古屋大学、愛知教育大学、名古屋工業大学、豊橋技術科学大学、三重大学、滋賀大学、滋賀医科大学、京都大学、京都教育大学、京都工芸繊維大学、大阪大学、大阪教育大学、兵庫教育大学、神戸大学、奈良教育大学、奈良女子大学、和歌山大学、鳥取大学、島根大学、岡山大学、広島大学、山口大学、徳島大学、鳴門教育大学、香川大学、愛媛大学、高知大学、福岡教育大学、九州大学、九州工業大学、佐賀大学、長崎大学、熊本大学、大分大学、宮崎大学、鹿児島大学、鹿屋体育大学、琉球大学、総合研究大学院大学、政策研究大学院大学、北陸先端科学技術大学院大学、奈良先端科学技術大学院大学、筑波技術大学、富山大学
大学共同利用機関法人 (4)
人間文化研究機構、自然科学研究機構、高エネルギー加速器研究機構、情報・システム研究機構

注(1)  各法人の名称中「独立行政法人」、「国立大学法人」及び「大学共同利用機関法人」は記載を省略した。以下同じ。
注(2)  緑資源機構は平成20年4月1日に解散し、森林総合研究所及び国際農林水産業研究センターに事業の一部を承継している。

 検査に当たっては、19年11月末日現在における違約金条項の導入状況及び14年4月1日から19年11月30日までの間に談合等の事実が確定した契約に係る違約金等の請求状況等について、すべての検査対象機関に対し会計検査院が作成及び提出を求めた調書を在庁時に分析するとともに、検査の対象とした39府省庁等の内部部局39箇所のほか、検査の対象とした207法人のうち34法人及び府省庁等の2,642地方支分部局等のうち8箇所を抽出して会計実地検査を行った。