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物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って警察装備費、需用費等を支払っているもの


(1)−(9) 物品の購入等に当たり、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って警察装備費、需用費等を支払っているもの

会計名及び科目 一般会計 (組織)警察庁 (項)警察活動基盤整備費
    平成19年度以前は、 (項)警察庁
      (項)都道府県警察費補助
部局等 2管区警察学校、7都県警察
〈予算経理〉  
契約の概要 物品の購入等に係る庁費、校費及び警察装備費
不適正な会計経理により支払われた国費
(1) 管区警察経費 1,960,791円 (平成18年度〜20年度)
(2) 国庫支弁経費 12,401,091円 (平成15年度〜20年度)
  14,361,882円  
〈補助金〉  
補助の根拠 警察法(昭和29年法律第162号)
補助事業者
(事業主体)
3都県警察
補助事業 都道府県警察費補助
補助事業に係る経費の概要 物品の購入等に係る需用費及び備品購入費
不適正な会計経理により支払われた補助対象経費
14,657,621円
(平成15年度〜20年度)

不当と認める国庫補助金相当額
5,746,081円
(平成15年度〜20年度)

不当と認める国費及び国庫補助金相当額の合計額
20,107,963円
(平成15年度〜20年度)

1 物品の購入等に係る会計経理の概要

 警察庁の管区警察局及び管区警察学校並びに都道府県警察は、警察事務等の実施に当たり、毎年度多額の予算を執行している。そして、管区警察局の警察事務等に要する経費(以下「管区警察経費」という。)は国費で支弁されており、都道府県警察の警察事務等に要する経費については、次の区分ごとに国又は都道府県がその全部又は一部を支弁することとなっている。
〔1〕  警察法(昭和29年法律第162号)第37条に掲げる経費で政令で定める国庫の支弁の対象となる経費(以下「国庫支弁経費」という。)については、国庫が支弁する。
〔2〕  国庫支弁経費を除き都道府県が支弁する経費のうち、予算の範囲内において、政令で定めるところにより補助の対象となっている経費(以下「補助対象経費」という。)については、国がその一部を補助する。
〔3〕  上記〔1〕 及び〔2〕 以外の経費については、都道府県が支弁する。
 国庫支弁経費は、同法第37条等の規定により警視正以上の階級にある警察官の俸給や警備装備品の整備に要する経費等とされており、警察庁が予算措置を行い、都道府県警察が国費として直接執行する制度となっている。また、補助対象経費は、警察法施行令(昭和29年政令第151号)第3条の規定により警察職員の俸給その他の給与、警察官の被服費その他警察職員の設置に伴い必要となるもの以外のものとされており、一般の犯罪捜査、防犯活動及び交通取締りに要する経費等が該当する。
 そして、警察事務等で使用する消耗品、備品の物品の購入等に係る経費については、管区警察経費又は国庫支弁経費に該当するものは、庁費、校費、警察装備費等の国の予算科目から支払い、補助対象経費に該当するものは、需用費等の都道府県の予算科目から支払っている。
 管区警察局、管区警察学校及び都道府県警察における物品の購入等に係る契約、支払等の会計事務手続は、会計法(昭和22年法律第35号)、予算決算及び会計令(昭和22年勅令第165号)等の会計法令等に基づき、おおむね次のとおり行われることとなっている。
〔1〕  管区警察局及び管区警察学校の会計課長並びに都道府県警察の本部長等は、警察本部の各課等から物品の取得請求を受けたときは、在庫を確認し、所要の品目、規格、数量等を明らかにした上で、支出負担行為担当官として競争契約による場合は入札を、また随意契約による場合は見積合わせを行うなどした上で、契約業者を決定し、支出負担行為決議を行って契約を締結する。
〔2〕  支出負担行為担当官は、上記の契約が適正に履行されたかを確認するため、自ら又は補助者として委任した検査職員に命じて、納入された物品の品目、規格、数量、納品時期等について、契約書、仕様書等に基づき、必要な検査(以下「検収」という。)を行う。
〔3〕  管区警察局の総務監察部長等、管区警察学校の校長及び都道府県警察の本部長等は、それぞれ官署支出官として、業者から代金の支払請求を受けたときは、上記の検収が適正に行われたことを確認の上、請求書等に基づき支出決議を行い、業者に代金を支払う。

2 検査の結果

(1) 検査の観点、着眼点、対象及び方法

 本院は、3管区警察局、3管区警察学校及び10都道県警察(注1) において、合規性等の観点から、物品の購入等は会計法令等に基づき適正に行われているかなどに着眼して、平成15年度から20年度までの間に支払っていた物品の購入等に係る警察装備費、需用費等を対象として、支出決定決議書等の書類により会計実地検査を行った。そして、不適正な会計経理による支払があった場合には、更に管区警察局、管区警察学校、都道県警察及び業者に事態の詳細について調査及び報告を求めて、その内容を確認するなどの方法により検査を行った。

(2) 検査の結果

 検査したところ、2管区警察学校及び7都県警察(注2) において、15年度から20年度までの間に、虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って警察装備費、需用費等を支払っていたものが、管区警察経費で1,960,791円、国庫支弁経費で12,401,091円及び補助対象経費で14,657,621円(国庫補助金相当額5,746,081円)あった。
 これを態様別に示すと、次のとおりである(表参照)

ア 預け金

業者に架空取引を指示するなどして、契約した物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより校費、警察装備費及び需用費を支払い、当該支払金を業者に預け金として保有させて、後日、これを利用して契約した物品とは異なる物品を納入させていたもの

1県警察 国庫支弁経費 656,250円  
  補助対象経費 86,047円 (国庫補助金相当額  37,041円)

イ 一括払

支出負担行為等の正規の会計経理を行わないまま、随時、業者に物品を納入させた上で、後日、納入された物品とは異なる物品の請求書等を提出させて、これらの物品が納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより校費を一括して支払うなどしていたもの

1県警察 国庫支弁経費 476,910円  

ウ 差替え

業者に虚偽の請求書等を提出させて、契約した物品が納入されていないのに納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成することなどにより、校費、警察装備費及び需用費を支払い、実際には契約した物品とは異なる物品に差し替えて納入させていたもの

1県警察 国庫支弁経費 161,490円  
  補助対象経費 68,145円 (国庫補助金相当額  29,773円)

エ 翌年度納入

物品が翌年度に納入されているのに、支出決定決議書等の書類に実際の納品日より前の日付を検収日として記載することなどにより、物品が現年度に納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成するなどして庁費、校費、警察装備費、需用費及び備品購入費を支払っていたもの

1管区警察学校 管区警察経費 1,684,431円  
6県警察 国庫支弁経費 5,589,768円  
  補助対象経費 10,820,344円 (国庫補助金相当額4,831,259円)

オ 先払い

物品は年度内に納入されていたが、当該物品が納入される前に、これらが納入されたとする虚偽の内容の関係書類を作成するなどして警察装備費を先に支払っていたもの

3県警察 国庫支弁経費 119,157円  

カ 前年度納入

物品が前年度に納入されていたのに、支出決定決議書等の書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品が現年度に納入されたこととして校費、警察装備費及び需用費を支払っていたもの

1管区警察学校 管区警察経費 276,360円  
1都警察 国庫支弁経費 3,278,625円  
  補助対象経費 948,255円 (国庫補助金相当額 206,336円)

キ 契約前納入

年度内において、契約手続を行わないまま物品を納入させていたのに、支出決定決議書等の書類に実際の納品日より後の日付を検収日として記載することなどにより、物品が契約締結後に納入されたこととして校費、警察装備費及び需用費を支払っていたもの

2都県警察 国庫支弁経費 2,118,900円  
  補助対象経費 2,734,830円 (国庫補助金相当額 641,672円)

 不適正な会計経理により支払われた警察装備費、需用費等の額の管区警察学校、都県警察別・態様別内訳
  (単位:円)
管区警察学校名又は都県警察名 ア 預け金 イ 一括払 ウ 差替え エ 翌年度納入 オ 先払い カ 前年度納入 キ 契約前納入
(ア+イ+ウ+エ+オ+カ+キ)
東北管区警察学校

(—)


(—)


(—)
1,684,431

(—)


(—)


(—)


(—)
1,684,431

(—)
中部管区警察学校

(—)


(—)


(—)


(—)


(—)
276,360

(—)


(—)
276,360

(—)
警視庁

(—)


(—)


(—)


(—)


(—)
3,278,625
948,255
(206,336)
2,047,500
2,734,830
(641,672)
5,326,125
3,683,085
(848,008)
岩手県警察 656,250
86,047
(37,041)
476,910

(—)
161,490
68,145
(29,773)
1,021,189
10,496,734
(4,672,364)
16,065

(—)


(—)
71,400

(—)
2,403,304
10,650,926
(4,739,178)
宮城県警察

(—)


(—)


(—)
619,920

(—)


(—)


(—)


(—)
619,920

(—)
滋賀県警察

(—)


(—)


(—)
132,300

(—)


(—)


(—)


(—)
132,300

(—)
山口県警察

(—)


(—)


(—)
49,140

(—)
36,120

(—)


(—)


(—)
85,260

(—)
香川県警察

(—)


(—)


(—)
3,112,430
323,610
(158,895)


(—)


(—)


(—)
3,112,430
323,610
(158,895)
宮崎県警察

(—)


(—)


(—)
654,783

(—)
66,969

(—)


(—)


(—)
721,752

(—)
656,250
86,047
(37,041)
476,910

(—)
161,490
68,145
(29,773)
7,274,193
10,820,344
(4,831,259)
119,154

(—)
3,554,985
948,255
(206,336)
2,118,900
2,734,830
(641,672)
14,361,882
14,657,621
(5,746,081)
(注)
 上段:管区警察経費又は国庫支弁経費
 中段:補助対象経費
 下段:うち国庫補助金相当額

 これらのアからキの事態は、2管区警察学校及び7都県警察において、契約した物品が納入されていないのに納入されたこととして虚偽の内容の関係書類を作成するなど不適正な会計経理を行って警察装備費、需用費等を支払っていたもので、これに係る管区警察経費19,60,791円、国庫支弁経費12,401,091円及び補助対象経費14,657,621円の国庫補助金相当額5,746,081円、計20,107,963円が不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、物品の購入等に係る会計経理を行うに当たり、2管区警察学校においては管区警察経費の、7都県警察においては国庫支弁経費及び補助対象経費の適正な会計経理に関する認識が十分でなかったことによると認められる。
 前記のアからキを管区警察学校別、都県警察別に示すと次のとおりである。

  管区警察学校名又は都県警察名 年度 不適正な会計経理により支払われた国費 不適正な会計経理により支払われた補助対象経費 不当と認める国庫補助金相当額 不当と認める国費及び国庫補助金相当額の合計額 適用
      (a)   (b) (a)+(b)  
       
(1) 東北管区警察学校 18、19 1,684,431 1,684,431
(2) 中部管区警察学校 19、20 276,360 276,360
(3) 警視庁 16〜20 5,326,125 3,683,085 848,008 6,174,133 カ、キ
(4) 岩手県警察 15〜20 2,403,304 10,650,926 4,739,178 7,142,482 ア〜オ、キ
(5) 宮城県警察 16、18 619,920 619,920
(6) 滋賀県警察 16、17、19 132,300 132,300
(7) 山口県警察 16、17 85,260 85,260 エ、オ
(8) 香川県警察 15、16、19 3,112,430 323,610 158,895 3,271,325
(9) 宮崎県警察 16、18、19 721,752 721,752 エ、オ
(1)—(9)の計 14,361,882 14,657,621 5,746,081 20,107,963  
 3管区警察局、3管区警察学校及び10都道県警察  東北、中部、近畿各管区警察局、東北、中部、近畿各管区警察学校、警視庁、北海道、岩手県、宮城県、岐阜県、滋賀県、山口県、香川県、宮崎県各警察本部、北海道警察釧路方面本部

 2管区警察学校及び7都県警察  東北、中部両管区警察学校、警視庁、岩手県、宮城県、滋賀県、山口県、香川県、宮崎県各警察本部