会計名及び科目 | 登記特別会計 | (項)事務取扱費 | |
部局等 | 法務本省、5法務局、11地方法務局 | ||
契約名 | 各種図面の入力作業契約等33件 | ||
契約の概要 | 登記所に紙で備え付けられている各種図面を地図情報システムに登録するため、各種図面の電子化作業を行わせて、電子化したデータ等を保存した記録媒体を納入させるもの | ||
契約の相手方 | 19会社等 | ||
契約 | 平成19年11月〜20年11月 一般競争契約 | ||
契約件数及び契約金額 | 33件 | 3億0087万余円 | (平成19、20両年度) |
上記のうち契約金額の減額の変更を要すると認められた契約件数及び契約金額 | 30件 | 2億7044万余円 | |
節減できた契約金額 | 2863万円 | (平成19、20両年度) |
法務省は、平成22年度までに、全国の法務局若しくは地方法務局若しくはこれらの支局又はこれらの出張所(以下、これらを合わせて「登記所」という。)において、地図情報システムを導入し運用することとしている。
地図情報システムは、登記所に備え付けられている地図等を電子化してその事務処理を行うコンピュータシステムであり、登記情報システムと連動させることにより登記と地図等の一体的な事務処理を可能とするとともに、新たな地図等の公開方法や証明制度も可能とし、行政サービスの向上を図ることを目的として構築されている。
このため、全国の法務局及び地方法務局(以下「法務局等」という。)は、19年度から、紙の土地所在図、地積測量図、地役権図面、建物図面及び各階平面図(以下、これらを合わせて「各種図面」という。)を地図情報システムに登録するために、一般競争により、次のとおり、各種図面の入力作業請負契約等(以下「作業契約」という。)を締結している。
〔1〕 当該年度に作業を実施する登記所を決定した上で、作業対象である各種図面の予定枚数(以下「作業予定枚数」という。)を当該登記所における各種図面のつづり込み帳のサンプル調査等により決定し、一般競争参加業者に提示するとともに、決定した作業予定枚数に1枚当たりの積算単価を乗ずるなどして、予定価格を決定する。
〔2〕 法務局等は、一般競争入札を実施して、落札した業者と作業契約を締結する。
〔3〕 作業契約の相手方は、法務局等が準備した登記所内の作業場所及び作業用機器を利用して、契約書及び仕様書に基づき、各種図面を電子化する作業を実施し、そのデータ等を保存した記録媒体(DVD—R)を成果品として法務局等に納入し、法務局等は速やかに成果品の検査を行う。
〔4〕 検査に合格した作業契約の相手方は法務局等に契約金額の支払を請求して、請求を受けた法務局等は所定の期間内に契約金額を支払う。
本院は、16法務局等(注) において、経済性等の観点から、支払われた契約金額は作業の実態に適合したものとなっているかなどに着眼して、19、20両年度に締結された作業契約33件、契約金額計3億0087万余円を対象として、契約書、仕様書等の書類及び成果品である記録媒体(DVD—R)を確認するなどして会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
法務省は、法務局等に対して、作業契約の契約書の書式を参考として示しており、法務局等はこの書式に基づいて作業契約を締結していたが、書式には実際に作業を実施した各種図面の枚数(以下「作業実施枚数」という。)が作業予定枚数と異なった場合における契約金額の変更に係る規定が定められていなかったため、作業契約33件のうちの32件において、当初の契約金額どおりに支払が行われていた。
しかし、本院が、この32件の作業契約について、成果品である記録媒体(DVD—R)に保存されている各種図面の枚数により作業実施枚数を確認し、作業予定枚数と比較したところ、次表のとおり、30件(19年度14件、20年度16件)の作業契約については、作業実施枚数が作業予定枚数を下回っており、通算すると作業実施枚数11,316,003枚は作業予定枚数12,475,192枚の90.8%となっており、中には、作業実施枚数が作業予定枚数の52.7%にとどまっている作業契約も見受けられた。
検査実施 | 年度 | 契約件数 | 作業予定枚数(A) | 作業実施枚数(B) | 作業実施割合(B)/(A)(%) |
16法務局等 | 作業実施枚数が作業予定枚数を上回った作業契約( 2 法務局等) | ||||
平成19 | 2 | 413,368 | 440,578 | 106.6 | |
作業実施枚数が作業予定枚数を下回った作業契約(15 法務局等) | |||||
19 | 14 | 3,632,121 | 3,137,803 | 86.4 | |
20 | 16 | 8,843,071 | 8,178,200 | 92.5 | |
計 | 30 | 12,475,192 | 11,316,003 | 90.8 |
そこで、この作業実施枚数が作業予定枚数を下回っていた作業契約30件、契約金額計2億7044万余円について、作業契約ごとに、契約金額を作業予定枚数で除して得られる各種図面1枚当たりの金額を作業単価として、この作業単価に作業実施枚数を乗じて契約金額を修正すると計2億4181万余円となり、実際に支払われていた契約金額は計2863万余円過大になっていた。
このように、多くの作業契約において作業実施枚数が作業予定枚数を下回っているのに、当初の契約金額を変更しないまま支払っている事態は適切とは認められず、改善の必要があると認められた。
このような事態が生じていたのは、作業予定枚数は各種図面のつづり込み帳のサンプル調査等によって決定しているものであることから作業予定枚数と作業実施枚数との間に開差が生じたり、作業予定枚数の決定後に各種図面の新規提出等により作業実施枚数が変動したりすることが予想されるのに、法務省が各法務局等に参考として示した作業契約の契約書の書式に、作業実施枚数が作業予定枚数と異なった場合における契約金額の変更に係る規定が定められていなかったことによると認められた。
上記についての本院の指摘に基づき、法務省は、21年8月までに、各法務局等に対して通知を発するなどして、21年度の作業契約から、作業実施枚数が作業予定枚数と異なった場合における契約金額の変更に係る規定を契約書に追加し、作業実施枚数が作業予定枚数を下回った場合には、下回った枚数に相当する額を契約金額から減額することとする処置を講じた。