会計名及び科目 | 一般会計 | (組織)文化庁 | (項)文化振興費 |
部局等 | 文化庁 | ||
契約名 | 平成19年度芸術創造活動重点支援事業等19請負契約 | ||
契約の概要 | 我が国の芸術水準向上の直接的な牽(けん)引力となる芸術性の高い、優れた公演等を請け負わせるもの | ||
契約の相手方 | 3団体 | ||
契約 | 平成19年4月ほか 随意契約 | ||
支払額 | 155,468,835円
(平成19年度)
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過大となっている支払額 | 9,266,564円
(平成19年度)
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文化庁は、我が国の創造活動の充実及び国際芸術交流の推進を図るとともに、世界水準の芸術家の養成に資することを目的として、我が国の芸術水準向上の直接的な牽(けん)引力となる芸術性の高い、優れた公演に対して支援を行う芸術創造活動重点支援事業及び世界のフェスティバル等に参加して行う公演に対して支援を行う国際芸術交流支援事業を、それぞれ支援を受けることを希望する芸術団体に請け負わせて実施している。
文化庁は、公演終了後、芸術団体から公演の実施に要した経費等を記載した実績報告書等を提出させて、以下のとおり、前記の事業ごとに定められている支援の対象となる経費(以下「支援対象経費」という。)等に基づいて、同庁が負担する経費(以下「支援金」という。)を算定している。
ア 芸術創造活動重点支援事業
支援対象経費は、出演費(俳優等出演料等)、文芸費(演出料等)等とされており、次の算式により算定した金額〔1〕 と金額〔2〕 とのうちいずれか低い額を限度として支援金を算定している。
金額〔1〕 =支援対象経費×1/3
金額〔2〕 =支援対象経費+支援対象外経費−収入
イ 国際芸術交流支援事業(海外公演)
支援対象経費は、旅費(国内交通費及び日当を除く。)及び舞台費(大道具費、小道具費 等)とされており、次の算式により算定した金額〔1〕 と金額〔2〕 とのうちいずれか低い額を限度として支援金を算定している。
金額〔1〕 =支援対象経費
金額〔2〕 =支援対象経費+支援対象外経費−収入
そして、文化庁は、上記の方法により算定した支援金をそのまま請負代金として芸術団体に支払っている。
本院は、平成19年次の検査において、本件事業に係る請負契約について、公演終了後の精算手続を行うことなく支払っていた事態を指摘したところ、文化庁において、19年度以降の同事業については、芸術団体と請負契約を締結する際に使用する契約書に精算条項を加えて、実績額に基づき精算を行うこととする処置を講じたことから、平成18年度決算検査報告に本院の指摘に基づき当局において改善の処置を講じた事項として掲記した。
そこで、本年次においては、合規性等の観点から、上記の処置に基づき請負代金の支払等が適切に行われているかなどに着眼して、文化庁が19年度に請負契約を締結した862契約のうち60契約を対象として、実績報告書、領収書等の書類により会計実地検査を行った。
検査したところ、次のような事態が見受けられた。
文化庁は、3団体(注)
と締結した19 契約について、3 団体から提出された実績報告書等に基づき、請負代金を計155,468,835円と確定して支払っていた。
しかし、支払の事実を証する領収書等を確認したところ、実績報告書等に記載された経費が事実と相違するなどしていたものが見受けられた。
したがって、本件19契約について、実際に公演に要した経費に基づいて適正な請負代金を算定すると、計146,202,271円となり、前記の支払額との差額計9,266,564円が過大に支払われていて、不当と認められる。
上記の事態について、事例を示すと、次のとおりである。
文化庁は、平成19年度芸術創造活動重点支援事業についてキャメルアーツ株式会社 と請負契約を締結して、公演終了後、同社から提出された実績報告書等に基づき、請負代金を20,120,673 円と確定して支払っていた。
しかし、支払の事実を証する領収書等により実績報告書等に記載された経費を確認したところ、15,850,000円とされていた俳優等に係る出演費は、実際には11,808,000円であるなどして、支援対象経費計9,893,004円が過大になっていた。
したがって、適正な請負代金を算定すると、16,823,005円となり、前記の支払額との差額3,297,668円が過大に支払われていた。
このような事態が生じていたのは、3団体において、実績報告書等を正確に記入しなければならないことの理解が十分でなかったこと、文化庁において、実績報告書等に対する審査確認が十分でなかったことなどによると認められる。