国際文化交流促進費補助金(沖縄県の国際化に対応できる人材育成事業補助)は、沖縄県の国際化に対応できる人材育成に資することを目的として、財団法人沖縄県国際交流・人材育成財団が行う沖縄県同時通訳者養成事業(以下「同時通訳者事業」という。)、沖縄県人材育成海外派遣事業(以下「人材育成事業」という。)等に対してその経費の一部を国が補助するものである(平成18年度までは、国はユネスコ・文化交流協会を通じて同法人に補助している。)。
この補助金の交付額は、事業を実施するために必要な経費のうち文部科学大臣が認める経費を補助対象経費とし、予算の範囲内で定額となっている。
本院が、同法人において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 事業主体 | 補助事業等 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金等 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(30) | 文部科学本省 | 財団法人沖縄県国際交流・人材育成財団 | 沖縄県同時通訳者養成、沖縄県人材育成海外派遣 | 15〜19 | 389,909 | 389,909 | 21,734 | 21,734 | 補助の対象外 |
ア 同時通訳者事業
同法人は、平成15年度から19年度までに実施した同時通訳者事業について、補助対象経費を計212,722,540円とする実績報告書を文部科学省(15年度から18年度まではユネスコ・文化交流協会)に提出して、同額の補助金の交付を受けていた。
しかし、同法人は、上記各年度の補助対象経費の算定に当たり、同時通訳者養成機関への派遣期間外の研修生の生活費等、同法人が研修生に対する助成の対象としていない経費計12,844,064円を含めたり、19年度の交付申請に当たり、18年度に交付申請を行って補助金の交付を受けていた生活費3,057,600円について、二重に申請を行って補助金の交付を受けたりしていた。
イ 人材育成事業
同法人は、15年度から19年度までに実施した人材育成事業について、補助対象経費を計177,187,116円とする実績報告書を文部科学省(15年度から18年度まではユネスコ・文化交流協会)に提出して、同額の補助金の交付を受けていた。
しかし、同法人は、上記各年度の補助対象経費の算定に当たり、嘱託員の人件費に本件人材育成事業以外の業務に係る嘱託員の人件費計4,913,947円を含めたり、同法人が留学生に対する助成の対象としている授業料等の上限額を超えた額計3,342,242円を含めたりしていた。
したがって、上記ア及びイについて、適正な補助対象経費により補助金の額を算定すると、計368,175,272円となり、前記の補助金交付額の計389,909,656円との差額計21,734,384円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同法人において補助対象経費を適正に算定することなどについての認識が十分でなかったこと、文部科学省及びユネスコ・文化交流協会において同法人から提出された実績報告書等の審査、確認が十分でなかったことなどによると認められる。