公立学校施設整備費国庫負担金(小中学校校舎の新増築事業)は、公立の小中学校における教室の不足を解消することを目的として、校舎の新築又は増築を行う地方公共団体に対し、当該事業に要する経費の一部を国が負担するものである。
この負担金の交付額は、事業実施年度の5月1日における児童生徒数に基づいて当該学校の学級数を算定し、この学級数に基づく必要面積から同日における保有面積を控除した国庫負担金の対象面積に、1m2
当たりの単価を乗ずるなどして国庫負担対象経費を算定し、これに原則として負担率2分の1を乗じて算定することとなっている。
また、集団住宅等が建設されて当該学校の教室に不足を生ずるおそれがあるなどの場合には、事業実施年度の5月1日における児童生徒数に、5月2日以降に増加が見込まれる児童生徒数を加えて、上記の必要面積の基礎となる学級数を算定することとなっている(以下、これにより算定した必要面積を「前向き整備面積」という。)。そして、5月2日以降に増加が見込まれる児童生徒数は、当該集団住宅等の戸数に所定の率を乗ずるなどして算定することとなっている。
本院が、20都道府県の31市区町村において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 事業主体 | 補助事業等 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金等 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(31) | 千葉県 | 八千代市 | 萱田小学校校舎増築 | 19 | 274,539 | 137,269 | 33,477 | 16,738 | 国庫負担金の過大交付 |
八千代市は、平成19年度の萱田小学校校舎増築事業の実施に当たり、集団住宅等の建設が進行していることなどを考慮して集団住宅等の戸数を402戸とし、これに所定の率を乗じて5月2日以降に増加が見込まれる児童数を算定するなどして前向き整備面積を算定し、国庫負担対象経費を274,539,000円(国庫負担金137,269,000円)としていた。
しかし、同市は、上記の前向き整備面積の算定に当たり、集団住宅等の戸数402戸のうち326戸については5月1日において既に入居済であったことなどから、5月2日以降の児童数の増加の要因とならないのに、上記の326戸を加えていたことから前向き整備面積が過大に算定されていた。
したがって、これを除外して前向き整備面積を算定し、適正な国庫負担対象経費を算定すると241,062,000円となり、国庫負担金16,738,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同市において前向き整備面積の算定方法等についての理解が十分でなかったこと、県教育委員会において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。