ページトップ
  • 平成20年度|
  • 第3章 個別の検査結果|
  • 第1節 省庁別の検査結果|
  • 第8 文部科学省|
  • 不当事項|
  • 補助金

公立学校等施設整備費補助金が過大に交付されているもの


(3) 公立学校等施設整備費補助金が過大に交付されているもの

3件 不当と認める国庫補助金 6,684,000円

 文部科学省は、校舎等の建物の地震補強及び大規模改造を行う地方公共団体に対して、それぞれ次の補助金を交付している。

ア 公立学校等施設整備費補助金(地震補強事業)

 この補助金は、校舎の耐震性能を確保し地震防災対策の促進を図ることを目的として、公立の小中学校等の木造以外の校舎の地震補強を行う地方公共団体に対し、当該事業に要する経費の一部を国が補助するものである。
 この補助金の交付額は、校舎の柱、壁、梁(はり)等の補強に必要な耐震補強工事等に係る経費を補助対象経費として、これに原則として補助率2分の1を乗じて算定することとなっている。

イ 公立学校等施設整備費補助金(大規模改造事業)

 この補助金は、教育環境の改善及び建物の耐久性の確保を図ることを目的として、公立の小中学校等の建物の機能低下等に対する復旧措置及び用途変更に伴う改装等の大規模改造を行う地方公共団体に対し、当該事業に要する経費の一部を国が補助するものである。
 この補助金の交付額は、〔1〕 老朽建物の外部及び内部について同時に行う改造工事(老朽施設改造)、〔2〕 余裕教室等を改造して「地域・学校連携施設」を整備するための内部改造工事(地域・学校連携施設整備)、〔3〕 昭和56年以前に建築された学校建物の耐震補強工事等(耐震補強)に係る経費を補助対象経費として、これに原則として補助率3分の1を乗じて算定することとなっている。
 本院が、25都道府県の1府、2県、96市区町村計99事業主体において会計実地検査を行ったところ、3都府県の3事業主体において、工事費の積算を誤るなどしていたため、国庫補助金6,684,000円が過大に交付されていて、不当と認められる。
 このような事態が生じていたのは、事業主体において補助対象経費の算定方法等についての理解が十分でなかったこと、都府県教育委員会において実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。
 これを、都府県別に示すと次のとおりである。

  部局等 事業主体 補助事業等 年度 補助対象経費 左に対する国庫補助金等交付額 不当と認める補助対象経費 不当と認める国庫補助金等 摘要
          千円 千円 千円 千円  
(32) 東京都 小平市 小平第十五小学校校舎地震補強 15、16 120,925 60,462 3,650 1,825 補助金の過大交付

 小平市は、上記の事業として平成15、16両年度に実施した耐震補強工事等に係る経費を対象として、補助対象経費を120,925,000円(国庫補助金60,462,000円)としていた。
 しかし、同市は、上記耐震補強工事費の算定に当たり、K型鉄骨ブレース(注) (以下「ブレース」という。)を固定するために使用する無収縮モルタルを注入する際などに使用する型枠の所要量をブレースの周囲の長さとすべきであるのに、誤って、その2倍の長さとするなどしていたため工事費が過大となっていた。
 したがって、適正な工事費により補助対象経費を算定すると117,275,000円(国庫補助金58,637,000円)となり、国庫補助金1,825,000円が過大に交付されていた。

 K型鉄骨ブレース  K型の形状をした鉄骨筋かいの外周に鉄骨枠を取り付けたもの


(33) 大阪府 熊取町 熊取北中学校校舎地震補強、大規模改造(老朽施設改造、地域・学校連携施設整備) 15 173,186 62,739 9,886 3,556 補助金の過大交付

 熊取町は、上記の一括して平成15年度に実施した3事業の工事に係る経費を対象として、補助対象経費を173,186,000円(国庫補助金62,739,000円)としていた。
 しかし、同町は、上記3事業の工事費の算定に当たり、下請諸経費は共通の経費として各事業の直接工事費等の金額の割合により案分した額を各事業の工事費に計上すべきであるのに、誤って、案分せずに下請諸経費全額をそれぞれ各事業の工事費に計上するなどしていたため工事費が過大となっていた。
 したがって、適正な工事費により補助対象経費を算定すると163,300,000円(国庫補助金59,183,000円)となり、国庫補助金3,556,000円が過大に交付されていた。


(34) 香川県 三豊市 吉津小学校校舎大規模改造(耐震補強) 17 20,810 6,936 3,910 1,303 補助金の過大交付

 三豊市は、上記の事業として平成17年度に実施した耐震補強工事等に係る経費を対象として、補助対象経費を20,810,000円(国庫補助金6,936,000円)としていた。
 しかし、同市は、上記耐震補強工事費の算定に当たり、ブレースを固定するために使用する無収縮モルタルの所要量を、設計書に誤って過大に転記するなどしていたため工事費が過大となっていた。
 したがって、適正な工事費により補助対象経費を算定すると16,900,000円(国庫補助金5,633,000円)となり、国庫補助金1,303,000円が過大に交付されていた。

(32)—(34)の計 314,921 130,137 17,446 6,684