国立大学法人施設整備費補助金は、我が国の高等教育及び学術の水準の向上と均衡ある発展を図ることを目的として、国立大学法人が行う施設・設備の整備及び不動産の購入に要する経費の一部を国が補助するものであり、運営費交付金とは別に交付されるものである。
この補助金の交付額は、国立大学法人が行う補助事業に必要な経費のうち、補助金交付の対象として文部科学大臣が認める経費を補助対象経費とし、予算の範囲内で定額となっている。
本院が、32国立大学法人において会計実地検査を行ったところ、次のような事態が見受けられた。
部局等 | 事業主体 | 補助事業等 | 年度 | 補助対象経費 | 左に対する国庫補助金等交付額 | 不当と認める補助対象経費 | 不当と認める国庫補助金等 | 摘要 | |
千円 | 千円 | 千円 | 千円 | ||||||
(35) | 文部科学本省 | 国立大学法人滋賀医科大学 | アスベスト対策 | 17、18 | 111,004 | 111,004 | 2,659 | 2,659 | 補助の対象外 |
国立大学法人滋賀医科大学は、補助金の交付対象事業の一つとされていて、アスベストによる健康障害を防止するため国立大学法人が緊急にアスベスト対策工事等を施行するアスベスト対策事業を補助対象経費111,004,000円で実施したとして同額の補助金の交付を受けていた。
しかし、同法人は、本件補助事業の実施前に行った調査において使用する建材等からアスベストが検出されていないことが確認できていて、アスベスト対策事業の対象とは認められない建物に係る工事費2,659,650円を補助対象経費に含めていた。
したがって、適正な補助対象経費により補助金の額を算定すると、108,344,350円となり、前記の補助金交付額111,004,000円との差額2,659,650円が過大に交付されていて、不当と認められる。
このような事態が生じていたのは、同法人において補助事業の適正な実施に対する認識が十分でなかったこと、文部科学省において同法人から提出された実績報告書等に対する審査が十分でなかったことなどによると認められる。